高齢者がん治療アルゴリズム開発のためのガイドポスト・データベ-スの構築と必須情報及びその推定モデルの策定

文献情報

文献番号
200924049A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢者がん治療アルゴリズム開発のためのガイドポスト・データベ-スの構築と必須情報及びその推定モデルの策定
課題番号
H21-3次がん・一般-010
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
西山 正彦(埼玉医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 岡崎 康司(埼玉医科大学 医学部)
  • 笹子 三津留(兵庫医科大学 医学部)
  • 渡邊 昌彦(北里大学 医学部)
  • 光冨 徹哉(愛知県がんセンター 中央病院)
  • 朴 成和(静岡県立がんセンター 病院)
  • 大江 裕一郎(国立がんセンター 東病院)
  • 中森 正二(国立病院機構 大阪医療センター)
  • 岩崎 基(国立がんセンター がん予防検診センター)
  • 坊農 秀雅(大学法人共同利用機関法人 情報・システム研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
35,181,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
3年間で、1) 後ろ向き、前向きに、臨床情報,疫学的調査による社会・生活情報,及びゲノム・遺伝子解析情報を収集してデータベースを構築し, 2)年齢階層別比較研究などを通じて、高齢者及び高齢者がん症例の生理的特性,腫瘍特性,治療応答特性を策定し, 3)有効な治療の候補を策定、4)これを適正に選択するための 臓器予備能,治療リスク,効果の推定初期モデルを確立する。
研究方法
研究初年度となる本年度は、全研究参加施設の治療状況概要調査と国内外の動向調査をもとに、2回の全体会議と施設訪問等を経て、データベース構築に不可欠な収集情報、治療決定に資する客観的・科学的指標の候補とその解析方法を確定し、がん症例(非高齢者を含める)及び非がん症例(循環器、呼吸器、糖尿病・腎障害を有する症例:非高齢者を含める)を対象とし、5年以上(死亡例では死亡時まで)の長期の治療経過観察情報を収集する後ろ向き研究、倫理委員会承認後に新たに治療を開始するがん症例を対象とし、治療経過観察情報と匿名化アンケート調査により高齢者の生理的、社会・経済的特性に関わる情報を収集する前向き研究、高齢者がん症例または高齢者腫瘍に特徴的なゲノム・遺伝子情報を明らかにするためのヒトゲノム・遺伝子解析研究、の3研究からなる詳細な計画を確定し、倫理審査委員会の承認を得て、登録・情報/試料の収集を開始する。
結果と考察
平成22年5月10日現在894例が登録され、データベースの構築が進んでいる。また、すでに一部のデータを用い、高齢者肺がんの特徴として、①男性優位、②喫煙者有意、③細気管支肺胞上皮がんが少ない、④KRAS変異が多く、⑤ALK, HER2変異が少ない、また、胃がんのS-1+CDDP併用療法において、①高齢者ではCDDPの上乗せ効果が少なく、血液毒性が強い、②S-1単独療法の毒性は非高齢者と大差ない、ことを示唆した。本邦の高齢者研究の遅れがさらに明らかとなり、一刻も早い正確な情報の収集と解析の開始が必要と考えられた。
結論
初年度の研究として、高齢者がん治療に影響を及ぼす諸要因を明らかにし、治療上の意思決定に資する客観的・科学的指標の候補と解析手法を確定した。また、過去の施設内諸例の検討を行い、高齢者がんの特性に関して、いくつかの示唆を得た。症例登録が順調に進んでおり、平成22年度中には全症例の登録が終了する見込みである。

公開日・更新日

公開日
2010-05-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2011-01-18
更新日
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