文献情報
文献番号
202224043A
報告書区分
総括
研究課題名
専門家と非専門家(消費者)のリスク認知の差に配慮した消費者の行動変容を促す効果的なベネフィットリスクコミュニケーション推進確保に関する研究
課題番号
21KA3002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
種村 菜奈枝(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部)
研究分担者(所属機関)
- 楠見 孝(京都大学 教育学研究科)
- 富永 佳子(新潟薬科大学 薬学部)
- 小野寺 理恵(大阪公立大学 大学院医学研究科)
- 柿崎 真沙子(名古屋市立大学 医学部)
- 荒木 通啓(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 AI栄養チーム・AI健康医薬研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,049,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
専門家と非専門家(消費者)のリスク認知の差に配慮した効果的な食品のリスクコミュニケーション推進のため、食品のベネフィットリスク評価に基づいた消費者への伝達技法を提言する。
研究方法
■ 分担研究1:
新たな健康影響評価手法であるベネフィットリスク評価に基づく新規型メッセージまたは従来型メッセージが一般消費者の正しい理解の促進に対してどの程度寄与しているのかを明らかにすることを目的にランダム化比較調査を行った。
■ 分担研究2:
一般消費者7,200名を対象に、ベネフィットやリスク情報伝達形式の違い(記載量と記載順)によるベネフィット認知やリスク認知の変化を明らかにすることを目的にランダム化比較調査を実施した。提示情報は、魚介類に含まれるメチル化水銀をトピックとし、ベネフィット(詳しく[栄養素+主な機能]またはシンプル[栄養素])2パターンとリスク(詳しく[全般のリスク+注意事項])1パターンから構成した(グループ1~4)の4種とした。
新たな健康影響評価手法であるベネフィットリスク評価に基づく新規型メッセージまたは従来型メッセージが一般消費者の正しい理解の促進に対してどの程度寄与しているのかを明らかにすることを目的にランダム化比較調査を行った。
■ 分担研究2:
一般消費者7,200名を対象に、ベネフィットやリスク情報伝達形式の違い(記載量と記載順)によるベネフィット認知やリスク認知の変化を明らかにすることを目的にランダム化比較調査を実施した。提示情報は、魚介類に含まれるメチル化水銀をトピックとし、ベネフィット(詳しく[栄養素+主な機能]またはシンプル[栄養素])2パターンとリスク(詳しく[全般のリスク+注意事項])1パターンから構成した(グループ1~4)の4種とした。
結果と考察
■ 分担研究1:
いずれのメッセージにおいても理解度に違いがないことが明らかになった。しかし、リスク認知や不安度が高いリスクコミュニケーションにおいて配慮すべき集団において、新規型メッセージが役立つ可能性が示唆された。
■ 分担研究2:
一般消費者に対して、4種の提示情報のうちランダム割り付けされた1種を提示した結果、ベネフィット認知またはリスク認知は、群間差はなかった。さらに、対象者の背景でグループ解析したところ、同様の結果であった。
さらに、ロジスティクス回帰分析にて、リスク受容の影響因子を検討したところ、提示情報の違いではなく、性別(女性で受容が下がる)やベネフィット認知(高いと受容が高い)の2因子が影響していることが特定された。
いずれのメッセージにおいても理解度に違いがないことが明らかになった。しかし、リスク認知や不安度が高いリスクコミュニケーションにおいて配慮すべき集団において、新規型メッセージが役立つ可能性が示唆された。
■ 分担研究2:
一般消費者に対して、4種の提示情報のうちランダム割り付けされた1種を提示した結果、ベネフィット認知またはリスク認知は、群間差はなかった。さらに、対象者の背景でグループ解析したところ、同様の結果であった。
さらに、ロジスティクス回帰分析にて、リスク受容の影響因子を検討したところ、提示情報の違いではなく、性別(女性で受容が下がる)やベネフィット認知(高いと受容が高い)の2因子が影響していることが特定された。
結論
今後、ベネフィットから見たリスクという表裏の関係を考慮すると、リスクのみならずベネフィットも踏まえた健康影響評価およびそのコミュニケーションがリスク受容を高めるために重要な要素となる可能性が考えられた。
公開日・更新日
公開日
2023-06-02
更新日
-