標準的検診法と精度管理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究

文献情報

文献番号
200924045A
報告書区分
総括
研究課題名
標準的検診法と精度管理に係る新たなシステムなどの開発に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
斎藤 博(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 検診研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐川 元保(金沢医科大学)
  • 青木 大輔(慶應義塾大学医学部)
  • 渋谷 大助(宮城県対がん協会がん検診センター)
  • 西田 博(パナソニック健康保険組合健康管理センター)
  • 松田 一夫(福井県健康管理協会)
  • 中山 富雄(地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪府立成人病センターがん予防情報センター疫学予防課)
  • 笠原 善郎(福井県済生会病院)
  • 濱島 ちさと(国立がんセンターがん予防・検診研究センター 検診研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
48,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
死亡率減少実現可能ながん検診の品質保証/管理(Quality assurance:QA)体制の構築のため 1)精度管理の目標・標準の設定、2)検診データ(精度指標)の精度の向上、3)改善の手段を講じる、というQAの3段階について検討した。
研究方法
Step 1:①がん検診実施体制指標としてのがん検診チェックリスト(以下CL)のうち、肺がんCL(検診機関用)の適切性をコンセンサスパネルにより評価した。②CLの精度向上のため、CL回答基準を標準化した質問票でH21年度の全国の検診実施体制を把握した。Step 2:③昨年完成したデータ入力システムによる集計の実行可能性を、福岡県の検診事業で用いて検討した。また、④昨年開発した方法で全国市区町村のH19年度の標準化受診率を算出し、同年度の老人保健事業報告値と比較した。Step 3:⑤ ①で得られたCLとプロセス指標による精度管理水準評価シートを作成し、評価結果の還元の精度管理向上に対する効果を評価する介入試験を設計した。さらに⑥国の事業でのクーポンの配布の受診率向上効果の評価研究を行った。
結果と考察
①CLの殆どの項目の適切性が認められ、一部の項目について改善案が提示された。
②CLとプロセス指標との関連分析において、「対象者への均等な受診勧奨」などcall-recallシステム関連項目と受診率、精検受診率関連項目と精検受診率とに有意な相関があり、CLによる精度評価が可能と示された。
③65市町村、40検診機関による入力作業、県によるデータの回収が支障なく完了し集計の実行可能性が示された。
④両者の値を比較したところ、人口規模が小さくなるにつれ相関係数は低くなり、従来の市町村から報告される対象者数の算出方法が統一されていないと判明した。
⑤都道府県の同意の下、介入試験を開始しえた。
⑥クーポン券送付群で受診率が高かったが、事業の体制上、重要な交絡要因が存在し、配付から時間をおかずに調査する必要性が判明した。
結論
当初目標としたQAに必要な各段階の手法・ツールについて、それらの有用性、妥当性、問題点等、重要な知見が得られ、これら本年度の成果を用いて今後の精度管理体制構築につなげることが期待出来る。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
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