ヒトT細胞白血病ウイルス1型関連疾患における感受性遺伝子多型の同定と発症危険群へのアプローチ

文献情報

文献番号
200924043A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒトT細胞白血病ウイルス1型関連疾患における感受性遺伝子多型の同定と発症危険群へのアプローチ
課題番号
H21-3次がん・一般-004
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松岡 雅雄(京都大学ウイルス研究所 附属エイズ研究施設ウイルス制御研究領域)
研究分担者(所属機関)
  • 松田文彦(京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター)
  • 齊藤峰輝(琉球大学医学部 免疫学)
  • 野坂生郷(熊本大学大学院医学薬学研究部 血液内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
37,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
成人T細胞白血病(ATL)、HTLV-1脊髄症(HAM)も引き起こすヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)感染者数は日本で約100万人と推定されている。ATL, HAMでは家族内発症が認められ遺伝的背景が密接に関連している。本研究では発症に関与する遺伝子多型を解析し発症危険群を同定することで発症予防法確立につなげる。
研究方法
イルミナ社のHuman610k-Quad BeadChipを用いて熊本で収集されたATL患者258検体と無症候性HTLV-1感染者182検体 (Set1)、鹿児島で収集されたHAM患者296検体と無症候性HTLV-1感染者100検体 (Set2)の全ゲノム関連解析(GWAS)を行った。
結果と考察
タイピング結果の品質管理として患者、対照群両群に関してアッセイ成功率が90%以上、マイナーアリル頻度が0.01以上、対照群のジェノタイプ分布がハーディー・ワインバーグ平衡に達しているもの(p>10-7)を選び、条件を満たした477,250 SNPsのみを解析にまわした。サンプルの品質管理後、最終的にATL患者238検体と無症候性HTLV-1感染者165検体 (Set1)、HAM患者278検体と無症候性HTLV-1感染者97検体 (Set2)を統計解析した。
 有意差の得られたSNPsについては、それを含むハプロタイプの頻度に差があるか否かを検討し、その結果Set1に関しては、p=2.50x10-7をはじめとして、p<1x10-5のSNPが29個、Set2に関してはp=2.00x10-6をはじめとして、p<1x10-5のSNPが52個得られた。二次スクリーニングでも関連性が確認されたSNPの連鎖不平衡(r2およびD')を調べ、さらに、我々が既に所有するデータベースおよび国際HapMap計画データベースから、連鎖不平衡ブロック(LDブロック)を特定する。
ATL、HAMに関連するSNPに関して、いくつかの報告があったが解析数も限られてた。今回の研究では既に500例以上のATLサンプル、300検体のHAMサンプルを集めている。今年度の解析で既に疾患感受性遺伝子候補を同定できた。これらの多型は疾患感受性遺伝子の候補となるものであるが独立した集団の検体を用いた再現性検証が必須である。

結論
今年度の解析でATL、HAMの疾患感受性と関連するゲノム上の多型の候補を複数個同定した。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-