生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
200924042A
報告書区分
総括
研究課題名
生活習慣改善によるがん予防法の開発に関する研究
課題番号
H21-3次がん・一般-003
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
津金 昌一郎(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 予防研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 辻一郎(東北大学 大学院医学系研究科 )
  • 若井建志(名古屋大学 医学系研究科)
  • 永田知里(岐阜大学 医学系研究科)
  • 溝上哲也(国立国際医療センター(研究所)国際保健医療研究部)
  • 田中恵太郎(佐賀大学 医学部)
  • 松尾恵太郎(愛知県がんセンター(研究所) 疫学・予防部)
  • 笹月静(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 予防研究部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
68,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は日本人ががんを予防するために行うべき適切な生活習慣をエビデンスに基づいて提示すると同時に、実践に結びつけるための具体的方法及び行動変容支援のためのツールを開発し、わが国のがん罹患率の減少を目指すものである。
研究方法
これまでに日本人を対象とした疫学研究から得られたエビデンスを整理し、共通基準に基づいて関連の強さを評価した。さらに、現行の疫学研究集団を用いて不足している証拠をプール解析の手法により新たに構築し、日本人ががんを予防するために行うべき最も効率的かつ効果的な生活習慣を、がん全体及び部位別に提示した。
結果と考察
栄養素(イソフラボン、カロテノイド、ビタミン)と全がん及び部位別がん(胃・大腸・肺・乳・肝・食道・膵・前立腺)との関連について、日本人を対象とした疫学研究を収集・総括したところ、イソフラボンと乳がん・前立腺がんに関してpossibleな関連がみられた。他の部位、また、カロテノイド・ビタミンについてはいずれの部位においても判定するには証拠が不十分であった。今後栄養素に関して、日本からの更なる研究が必要である。プール解析について、共通カテゴリーを用い、BMIと全死亡及び主要死因死亡(がん、心疾患、脳血管疾患)、飲酒と全死亡及び主要死因死亡との関連に関する統合解析を行った。BMI 23-25を基準とした場合、男性では23未満の痩せで、女性は30以上の肥満においてそれぞれ1.1-1.4, 1,4倍のリスク上昇が見られた。エタノール量で1日69g以上の飲酒で男性の全がん死亡のリスクが1.2-1.4倍上昇すると推定された。また、検診・職域集団などにおいて、がん予防をめざした介入研究及びそのための基礎的検討を開始・進捗させた。また、エビデンスの収集・統合に際して、その前提となる各個別研究におけるエビデンスの構築を進めた。Web上での簡単な入力により個人のがんのリスクが算出されるソフトを開発し、素案を作成した。
結論
研究によって得られた知見については、ホームページ上で公表し、積極的に日本国民への情報還元につなげている。今後も更なるエビデンスの蓄積と実践に結びつけるための支援を行うことは重要である。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
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