大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価

文献情報

文献番号
200924038A
報告書区分
総括
研究課題名
大腸内視鏡検査による大腸がん検診の有効性評価
課題番号
H20-3次がん・一般-001
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
工藤 進英(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
研究分担者(所属機関)
  • 斎藤 博(国立がんセンター がん予防・検診技術開発部)
  • 西野 克寛(市立角館総合病院 脳神経外科学)
  • 石田 文生(昭和大学横浜市北部病院 消化器センター)
  • 山野 泰穂(秋田赤十字病院 消化器センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
40,250,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
便潜血検査(FOBT)に大腸内視鏡検査(TCS)を組み入れた、次世代の大腸がん検診プログラムの有効性(死亡率減少効果)を検証する。
また、実態が不明なTCS検診の不利益(偶発症等)をモニターし、将来の対策型検診としての検討のためにTCS検診のリスクを検証する。
研究方法
秋田県仙北市で研究参加に応諾した40~74歳の男女約10,000人を対象に、FOBTにTCSを併用する介入群と、TCSを併用しない対照群に個人別無作為割付し、ランダム化比較試験(RCT)を行う。
プライマリ・エンドポイントとして大腸がん死亡率、セカンダリ・エンドポイントとして大腸がんに対する感度・特異度、累積進行がん罹患率、不利益を両群で比較する。
研究期間は割り付け終了後10年とする。
本年度は、リクルートと検診を各群1400例以上を目標として開始した。また、非参加者へのインタビュー調査を行うなど参加率向上のための調査・分析を行った。
結果と考察
市の住民基本健診受診者を中心に、年間を通じてリクルートを行った。参加者は1,669名となり、年度当初予定の約60%にとどまった。データモニタリングの結果、2群へのランダム割付は順調に行われており(TCS群/FOBT群、数834/835、平均年齢61.3/61.5、大腸がん家族歴無し85%/86%)、TCSの苦痛評価については中等度以上を合計しても15%程度であった。
非参加者にインタビュー調査を行った結果、『大腸がんは自分たちには無関係という思い込み』など、参加を妨げる幾つかの主たる要因が明らかになった。
今後の参加率向上の為、上記を踏まえた受診勧奨ツールを作成中である。
本研究は死亡率をエンドポイントとしたがん検診RCTとしてはわが国初めてのものであり、かつTCSのRCTとしては世界に先駆けるものである。本研究の重要性は高く、最終結果が得られるように研究を進めていくべきと考えられる。
結論
本年度は、参加者のリクルート、及びFOBT、TCSそれぞれの検診を実施した。TCS検診による偶発症や苦痛については、研究進捗上、大きな問題とならない事を確認した。参加者数は年度目標の60%にとどまったが、地域住民へのインタビュー調査により、大腸がん検診未受診、及び研究への不参加理由が明確になり、来年度以降のリクルート戦略策定への根拠が明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-