食品行政における国際整合性の確保と食品分野の国際動向に関する研究

文献情報

文献番号
202224030A
報告書区分
総括
研究課題名
食品行政における国際整合性の確保と食品分野の国際動向に関する研究
課題番号
20KA2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
8,087,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202224030B
報告書区分
総合
研究課題名
食品行政における国際整合性の確保と食品分野の国際動向に関する研究
課題番号
20KA2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
研究分担者(所属機関)
  • 豊福 肇(国立大学法人山口大学 共同獣医学部)
  • 千葉 剛(国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所)
  • 登田 美桜(国立医薬品食品衛生研究所  安全情報部第三室)
  • 坂井 隆敏(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 窪崎 敦隆(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
  • 松尾 真紀子(東京大学 大学院公共政策学連携研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班の主たる目的は、Codex委員会下に設置された部会の中から食品安全の観点から選択した9つの部会を対象とし、それら部会におけるわが国政府の活動を支援することである。この目的の達成のため、Codex委員会への対応に必要な科学的知見や国際動向の情報を整理・分析し、今後検討すべき事項を提言する。その他に、社会認識の醸成に資する国際的な食品安全に関する事項のリスクコミュニケーション推進や、食品安全行政に係る国際交渉等を行う政府職員の能力向上も目的とする。
研究方法
Codex委員会下の各部会及びその関連会議における過去の議論、各国の立場、わが国政府の対応を報告書等の詳細な検討により整理すると共に、リスクアナリシスに係る各種データ等の科学的知見や情報を、各国政府機関や学術領域、また関連食品事業分野から収集し分析する。さらに必要に応じて、加盟各国が実施する施策等の情報も同様に収集し、分析する。それら結果のとりまとめ等を通じて基礎資料を作成するとともに、電子的作業部会等へのコメントや会合対処方針の作成、さらに議場での政府職員による発言等の活動を支援するとともに、部会報告書の作成に協力する。また、食品安全に関する国際的な情報を広く社会に発信するシンポジウムを企画・開催するほか、政府職員の国際対応能力向上のための教育プログラムを開発するとともに研修のあり方について検討する。
結果と考察
食品衛生部会、食品汚染物質部会、食品残留動物用医薬品部会、残留農薬部会、栄養・特殊用途食品部会、分析・サンプリング法部会、食品輸出入検査・認証制度部会、一般原則部会を研究対象とした。令和2年度に計画されていた物理的会合は、COVID-19拡大防止の観点からほぼ全てが延期された。その後、電子的作業部会による積極的な議論の継続を経て、令和3年度にはハイブリッド形式により会合が開催されるようになり、令和4年度には、従来の物理的会合が開催されるようになった。このような3年間に渡るコロナ禍における会合形式の変化にもよらず、本研究班各分担研究者は、それぞれが研究対象とするCodex部会に日本代表団の一員として臨み、政府担当者によるコメント作成や発言等の活動を全面的に継続して支援した。部会の成果としては、不確かさの一般ガイドライン(CXG 54)の改訂案、健康への悪影響への懸念が低く、CXLの設定を免除し得る物質に関するガイドライン、年長乳児向けフォローアップフォーミュラ及び栄養素を添加した年少幼児向け飲料/製品または年少幼児向け飲料の規格等が、Codex総会による最終採択に諮られるなどした。また、農薬や動物用医薬品の最大残留基準値が多数設定される等もした。さらに、一般原則部会における現在の議論の動向についても整理された。その他、今後のCodex委員会への対応に必要な各種行動規範、Environmental Health Criteria (EHC) 240の第5章並びに第6章といった重要文書が翻訳され、その一部はHPにおいて公開された。国内課題への取組として、ミネラル摂取に関する国民意識が調査される等もした。令和2年度~令和4年度を通じて3つのシンポジウム「食品安全確保の強化を目指して-WHOの食品安全決議をふまえた日本の取り組み」、「今後の衛生管理に果たすHACCPの役割-コーデックスからのメッセージと国内完全施行の先」、「コーデックス60周年記念プレイベント-コーデックスの60年を振り返る」を開催し、行政、食品事業者、消費者、アカデミア、分析機関等の多様な主体と交流し、リスクコミュニケーションを推進した。その他にも、厚生労働省や農林水産省と協働して世界フードセーフィティーデイの日本語版公式パンフレット「世界フードセーフティーデイ202xへのガイド」を毎年作成し、FAOや厚生労働省のwebサイトに掲載するなどの活動を行った。なお本研究を実施した3年間のテーマは「フードセーフティーはみんなの仕事」、「健康な明日のために、今、安全な食品を」、「より安全な食品で、より健康に」であった。
厚生労働省が毎年開催した食品安全行政の国際化戦略のためのリスク管理者向け研修の企画立案に協力し、教材の提供及び講師を担当した。
結論
計9つのCodex部会の議論等を解析して論点を明らかにすることを通じて、適宜政府職員によるコメント作成や発言を支援した。その結果、多数のCodex規格や文書が策定された。WHO事務局長補、食品衛生部会議長、Codex委員会議長、Codex事務局長等を招聘し、Codex委員会の活動とそれへのわが国の取組に関する情報を共有するためのシンポジウムを開催した。研修の受講を通じて、政府食品の食品安全分野における国際対応力の養成と強化が図られた。

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202224030C

成果

専門的・学術的観点からの成果
Codex規格等の策定に関与するわが国政府職員を科学的側面から支援するためには、十分な経験の蓄積と高い専門性が必要である。コロナ禍にあった約3年間の研究期間中にも、Codex委員会により多数のガイドライン等文書の開発や見直しが行われたが、それらにわが国政府職員が貢献できたことは、他に類を見ない本研究独自の成果である。その他に政府職員の国際交渉力向上のための研修実施、食品安全に関するリスクコミュニケーション推進のためのシンポジウムの開催等も本研究の成果の一部である。
臨床的観点からの成果
特になし。
ガイドライン等の開発
本研究の活動の成果は、国内におけるガイドライン等の開発には直接的に反映されていない。しかし、本研究により支援されたわが国政府職員もその開発や改訂に貢献したCodexガイドライン等としては、「食品衛生の一般原則」、「測定の不確かさに関するガイドライン」、「年長乳児向けフォローアップフォーミュラ及び栄養素を添加した年少幼児向け飲料/製品又は年少幼児向け飲料の規格」等が挙げられる。
その他行政的観点からの成果
本研究の活動の成果として、わが国政府職員がCodex委員会による議論をより深く知り、貢献するための検討を重ねることを通じて、わが国において実行すべき、国際整合しかつ国民の健康や生活を守る施策を立案できる能力を養成することは、将来につながる大きな成果になると期待する。
その他のインパクト
WHO事務局長補、食品衛生部会議長、Codex委員会議長、Codex事務局長等を招聘し、「食品安全確保の強化を目指して-WHOの食品安全決議をふまえた日本の取り組み」、「今後の衛生管理に果たすHACCPの役割-コーデックスからのメッセージと国内完全施行の先」、「コーデックス60周年記念プレイベント-コーデックスの60年を振り返る」の3つのシンポジウムをウェビナー形式にて開催した。行政、食品事業者、消費者、アカデミア、分析機関等の多様な主体から各会300名以上が参加し、盛況を得た。

発表件数

原著論文(和文)
2件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
19件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
シンポジウム3件、世界フードセーフティーデイリーフレットのHP公開3件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
202224030Z