食品添加物の指定等手続きの国際整合に資する研究

文献情報

文献番号
202224028A
報告書区分
総括
研究課題名
食品添加物の指定等手続きの国際整合に資する研究
課題番号
22KA1008
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
窪崎 敦隆(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 恭子(国立医薬品食品衛生研究所 食品添加物部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国では、食品添加物の指定や使用基準改正の要請に際し、要請者が有効性、安全性等に関する資料を添えた要請書(以下「要請資料」という。)を作成して厚生労働省へ提出することになっている。厚生労働省は、2014年に要請者が容易にかつ的確に要請資料を作成できるように、「食品添加物の指定及び使用基準改正要請資料作成に関する手引(以下「手引」という。)」を通知し、要請資料の作成等の支援に寄与する組織として、食品添加物指定等相談センター(FADCC)を設立した。現在、2014年の取組により食品添加物の指定手続きは円滑に行われているが、内閣府食品安全委員会の「添加物に関する食品健康影響評価指針」が改訂されたこと、国内外での手続きの差異等を踏まえた記載内容への手引の更新が必要との指摘があること、日EU経済連携協定等の貿易協定の締結により食品添加物の指定等の要望が増大していること、欧州において食品添加物等のリスク評価の透明性向上の取組が進められていることなどから、我が国の指定手続きの更なる最適化を進めることが急務となっている。そこで、本研究では、我が国における食品添加物の指定等に関する要請資料作成の実態及び国際的なリスクアナリシスの動向を踏まえ、手引及びその英語版の改正案を作成することで、更なる食品添加物指定等手続きの公平性と透明性を深化させ、国内外における信頼性を向上させることを目的とした。
研究方法
本年度は、「リスク評価の透明性向上に関する国際的な動向の把握」に加え、「FADCCにおける相談業務の実態調査」と「国内外の申請手続きの比較整理」を行うとともに、FADCCが助言を行う要請資料作成工程の透明性の向上に資する情報発信案の作成を行った。
結果と考察
まず、リスク評価の透明性向上に関する国際的な動向の把握として、欧州連合が2021年3月27日から施行した「フードチェーンにおけるEUのリスク評価の透明性及び持続可能性に関する欧州議会及び理事会規則REGULATION(EU) 2019/1381」に伴う食品添加物の使用許可申請の手続きに関して、新たに公表された情報に着目して収集及び整理を行った。その結果、標準的な処理時間を含めて、要請者等にとって有益な情報が多岐にわたり開示されていることが明らかとなった。次に、FADCCにおける相談業務の実態を相談員等に聞き取り調査をした結果を踏まえ、以下の3点について情報の収集及び整理を行った。(1)食品添加物の成分規格試験に用いる分析法についての留意事項(2)日本における食品添加物指定申請代行を行う企業の情報(3)我が国の毒性試験受託企業に関する情報。また、FADCCが公開している情報を確認したところ、欧州と比較すると必ずしも十分とは言えない情報公開状況であったこと、2022年4月よりFADCCにおいて要請資料の段階的な作成に向けた新たな議論が始まっていたことから、FADCCの相談員等から得られた情報を基に、FADCCが助言を行う要請資料作成工程に関して可能な箇所から整理し情報発信案として取りまとめる作業を進めた。これまでに完成した情報発信案のうち、すぐに活用可能であると判断された情報は、FADCCのホームページに掲載を行った。さらに、国内外の申請手続きの比較として、摂取量推計に着目して、2020年11月に大幅な改正が行われた「食品中の化学物質のリスク評価の原則と手法(EHC240)」の第6章「Dietary Exposure Assessment of Chemicals in Food」の中で食品添加物に対して利用できるとされていた欧州のデータベースや支援ツール、例えば欧州の食品分類記述体系である「The food classification and description system (FoodEx2)」、について基礎的な情報を収集して整理を進めた。加えて、欧州において食品添加物の再評価の際に活用している食品表示の情報が、我が国での食品添加物の摂取量推計に活用できるか検討するための基礎情報を収集した。
結論
本研究は、協力研究者であるFADCCの相談員への聞き取り等を行うことや食品添加物の指定及び使用基準改正に関する要請資料作成に関連する諸外国の動向に関する調査を行うことで、国内外及び周辺環境の詳細な実態を把握する計画であり、本研究の成果物である手引の改正案は、厚生労働行政の施策に直接反映させることができる。また、FADCCにおける要請資料作成工程を可視化したり、手引の改正案の英語版を公表したりすることで、我が国の食品添加物の指定等手続きの透明性を高め、食品安全行政における取組みの整合性や公平性を確保し、国内外における信頼性を向上させることが期待できる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-02
更新日
-

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倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-06-02
更新日
-

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収支報告書

文献番号
202224028Z