食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究

文献情報

文献番号
202224001A
報告書区分
総括
研究課題名
食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究
課題番号
20KA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 卓穂(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 公益事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
25,717,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品の安全性を確保するために外部精度管理調査プログラムの改善と開発を実施し、食品衛生検査施設等の分析値の信頼性の維持に寄与することを目的とした。
研究方法
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いた残留農薬検査用試料及び器具・容器包装用試料の開発を検討し、微生物検査については、一般細菌検査用試料の開発を行った。また、特定原材料検査においては、パイロットスタディを実施した。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、E.coli定性試験法及び黄色ブドウ球菌定性試験法について複数機関による共同試験を実施した。食品添加物試験法の妥当性評価では、「サイクラミン酸」試験法で性能基準を満たさなかった「ビスケット」「たくわん漬け」について改良法を検討した。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、カカオを含む精度管理用試料を使用して小麦の室間共同試験を実施した。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、均質性を評価したホタテガイ試料を用いてパイロットスタディを実施した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤで作製した残留農薬検査用外部精度管理調査試料に分析値を付与した。
結果と考察
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いて玄米粉を基材として残留農薬検査用試料の作製条件を検討し、回収率の良好な最適条件が確認された。微生物学検査では、コメを基材とした一般細菌数検査用試料を開発し、食品衛生外部精度管理調査試料として用いることできることが示された。また、24機関参加の下、かぼちゃペーストを基材とした特定原材料検査(乳)と(卵)の複合試料を作製し、パイロットスタディを実施した。その結果、これまでの外部精度管理調査結果と大きな違いはなく、カクテル基材の有用性が示された。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、試験室間で算出されたLOD50に大きな差は認められなかったことから、推定したLOD50は妥当な数値であることが確認された。食品添加物試験法では、サイクラミン酸試験法で、加温抽出からメスアップの間の工程において、試料をホモゲナイザーで粉砕・微粒子化することにより、添加回収試験における回収率が向上した。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、精度管理用試料を28機関に送付して評価を行った結果、通常法では回収率の低下が確認された。一方で、改良抽出法では小麦の回収率の改善が確認された。また、良好な室間再現精度が確認されたため、改良抽出法の妥当性を評価することができた。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、パイロットスタディの結果、参加機関間の分析値のバラツキ(室間精度)は23%(オカダ酸)及び27%(ジノフィシストキシン-1)と良好であった。また、マトリックスの影響を低減するために、高分子固相カートリッジを用いた定量方法を分析試料の安定性評価に適用した結果、この分析法は、アサリ、カキ、ムラサキイガイにも適用可能であることも示した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤにより開発した残留農薬検査用玄米試料中のクロルピリホス、ダイアジノン、フェニトロチオン、マラチオンを対象とし、IDMSを用いて高精度化した一斉試験法および超臨界抽出法(SFE法)により分析値を付与した。なお本法を適用するにあたり、添加回収試験により正確さを精密に評価し、対象農薬について一斉試験法とSFE法で同等の分析値が得られることも確認した。
結論
外部精度管理調査プログラムに使用する適正試料の開発において、スプレードライヤで作製した玄米粉の残留農薬用試料は、安定性が期待できる乾試料の作製が可能となった。微生物学検査においてコメを基材とした一般細菌数検査用試料を開発し、実運用できた。また、E.coli及び黄色ブドウ球菌定性試験法についてLODを推定できた。一方、食品添加物の妥当性評価において、サイクラミン酸試験法の改良法を検討し、添加回収試験における回収率が向上した。アレルギー物質検査では、パイロットスタディの結果、改良抽出法では小麦の回収率の改善が確認された。また、下痢性貝毒検査用試料を用いたパイロットスタディでは、参加機関間のオカダ酸及びジノフィシストキシン-1のバラツキが良好であった。さらに、スプレードライヤで作製した残留農薬用玄米試料をIDMSによる高信頼性分析により分析値を付与した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-25
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-08-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202224001B
報告書区分
総合
研究課題名
食品衛生検査施設等の検査の信頼性確保に関する研究
課題番号
20KA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
渡辺 卓穂(一般財団法人食品薬品安全センター 秦野研究所 公益事業部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食品の安全性を確保するために外部精度管理調査プログラムの改善と開発を実施し、食品衛生検査施設等の分析値の信頼性の維持に寄与することを目的とした。
研究方法
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いた残留農薬検査用試料及び器具・容器包装用試料の開発を検討し、微生物検査については、一般細菌検査用試料の開発を行った。また、特定原材料検査においては、パイロットスタディを実施した。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、E.coli定性試験法及び黄色ブドウ球菌定性試験法について複数機関による共同試験を実施した。食品添加物試験法の妥当性評価では、「サイクラミン酸」試験法で性能基準を満たさなかった「ビスケット」「たくわん漬け」について改良法を検討した。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、精度管理用試料の調製及びカカオを含む精度管理用試料を使用して小麦の室間共同試験を実施した。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、均質性を評価したホタテガイ試料を用いてパイロットスタディを実施した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤで作製した残留農薬検査用外部精度管理調査試料にIDMSを用いた高精度化した分析で分析値を付与した。
結果と考察
外部精度管理調査プログラム用適正試料の改善と開発に関する研究では、スプレードライヤを用いて玄米粉を基材として残留農薬検査用試料の作製条件を検討し、回収率の良好な最適条件が確認された。微生物学検査では、コメを基材とした一般細菌数検査用試料を開発し、見立て食材としての弁当、冷凍食品の食品衛生外部精度管理調査試料として実運用できた。また、24機関参加の下、かぼちゃペーストを基材とした特定原材料検査(乳)と(卵)の複合試料を作製し、パイロットスタディを実施した。その結果、これまでの外部精度管理調査結果と大きな違いはなく、カクテル基材の有用性が示された。微生物定性試験法における検出下限値の推定及び食品添加物試験法の妥当性評価に関する研究では、試験室間で算出されたLOD50に大きな差は認められなかったことから、推定したLOD50は妥当な数値であることが確認された。食品添加物試験法では、サイクラミン酸試験法で、加温抽出からメスアップの間の工程において、試料をホモゲナイザーで粉砕・微粒子化することにより、添加回収試験における回収率が向上した。アレルギー物質検査の改良と開発に関する研究では、精度管理用試料を28機関に送付して評価を行った結果、通常法では回収率の低下が確認された。一方で、改良抽出法では小麦の回収率の改善が確認された。また、良好な室間再現精度が確認されたため、改良抽出法の妥当性を評価することができた。下痢性貝毒検査の外部精度管理に関する研究では、作製したホタテガイ試料が十分均質であることを確認した。また、パイロットスタディの結果、参加機関間の分析値のバラツキ(室間精度)は23%(オカダ酸)及び27%(ジノフィシストキシン-1)と良好であった。マトリックスの影響を低減するために、高分子固相カートリッジを用いた定量方法を分析試料の安定性評価に適用した結果、この分析法は、アサリ、カキ、ムラサキイガイにも適用可能であることも示した。分析法の開発及び高精度化と外部精度管理試料への適用では、スプレードライヤにより開発した残留農薬検査用玄米試料中のクロルピリホス、ダイアジノン、フェニトロチオン、マラチオンを対象とし、IDMSを用いて高精度化した一斉試験法および超臨界抽出法(SFE法)により分析値を付与した。なお本法を適用するにあたり、添加回収試験により正確さを精密に評価し、対象農薬について一斉試験法とSFE法で同等の分析値が得られることも確認した。
結論
外部精度管理調査プログラムに使用する適正試料の開発において、スプレードライヤで作製した玄米粉の残留農薬用試料は、安定性が期待できる乾試料の作製が可能となった。微生物学検査においてコメを基材とした一般細菌数検査用試料を開発し、実運用できた。また、E.coli及び黄色ブドウ球菌定性試験法についてLODを推定できた。一方、食品添加物の妥当性評価において、サイクラミン酸試験法の改良法を検討し、添加回収試験における回収率が向上した。アレルギー物質検査では、パイロットスタディの結果、改良抽出法では小麦の回収率の改善が確認された。また、下痢性貝毒検査用試料を用いたパイロットスタディでは、参加機関間のオカダ酸及びジノフィシストキシン-1のバラツキが良好であった。さらに、スプレードライヤで作製した残留農薬用玄米試料をIDMSによる高信頼性分析により分析値を付与した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202224001C

収支報告書

文献番号
202224001Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
33,430,000円
(2)補助金確定額
33,430,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 18,624,579円
人件費・謝金 5,268,532円
旅費 643,253円
その他 1,180,636円
間接経費 7,713,000円
合計 33,430,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-11-11
更新日
-