診断用機器および診断方法の開発に基づいたがん診断能向上に関する研究

文献情報

文献番号
200924017A
報告書区分
総括
研究課題名
診断用機器および診断方法の開発に基づいたがん診断能向上に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-017
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森山 紀之(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 博史(国立がんセンター 東病院 臨床開発センター)
  • 柿沼 龍太郎(国立がんセンター がん予防・検診研究センター 検診開発部)
  • 岩田 良子(国立がんセンター 東病院)
  • 黒木 嘉典(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 仁木 登(徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部)
  • 津田 均(国立がんセンター 中央病院 臨床検査部)
  • 井野 彰浩(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター)
  • 佐藤 均(東京医療保健大学医療保健学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
80,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①診断用ME機器の開発を進め,臨床,がん検診における画像診断の向上を目指す ②マルチスライスCT,MRI,PET,消化管内視鏡検査,超音波等を用いた高精度がん検診を実際に行い各種検査方法による診断精度を明らかとしこの結果から今後の理想的ながん検診方法を構築する ③臨床画像,病理画像のデーターベース化を行い画像診断の均てん化を進める ④コンピュータ支援がん画像診断装置(CAD)の開発とその普及を行う
研究方法
①大腸がんに対する仮想内視鏡,肺がんに対するトモシンセシス,120マイクロメータ-の解像度を有する拡大CTの開発と臨床応用を行い診断精度の検証を行った ②高精度がん検診を実際に施行し各種診断方法によるがん検出率の評価および検診間隔期間別のがん発見率の評価を行った ③典型例,稀な症例,教育的な症例に対し病理および臨床画像を収集しデーターベース化した。患者および家族に対する"癒し・憩"の画像データーベースを構築した ④仮想内視鏡,マンモグラフィ,肺CTに対するCADの開発,臨床応用を行った
結果と考察
①仮想内視鏡による進行大腸がん,5mm以上の隆起型早期大腸がんに対する検出能は100%であり,トモシンセシスによる肺病変の検出能はCTの1/10の線量で5mm大の病変が発見可能,乳がんに対してはマンモグラフィで発見不能であった病変の発見も可能であった.拡大CTは通常のCTより優れた診断を有し精査に有用と考えられた ②高精度がん検診によって7,610人中398人(5.23%)に何らかのがんが発見され潜在するがんの多さが確認された ③臨床画像データーベースが登録公開された ④仮想内視鏡,マンモグラフィ,肺CT対するCADの有用性が確認された
結論
①大腸がんに対する仮想内視鏡は臨床応用で優れた検出能を示し,肺がんに対するトモシンセシスは低線量で小病変の発見が可能,乳がんに対しても優れた診断能を有し検診への応用が期待された.拡大CTは小病変の質的診断に優れ病変発見後の精査に有用であった ②高精度のがん検診によって約20人に1人は何らかのがんを有しており検診の重要性が確認できた ③2万画像を超える臨床,病理,患者および家族向けの画像を データーベース化し公開した ④仮想内視鏡,マンモグラフィ,肺CTのCADの臨床応用を行い有用性が確認された

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

文献情報

文献番号
200924017B
報告書区分
総合
研究課題名
診断用機器および診断方法の開発に基づいたがん診断能向上に関する研究
課題番号
H19-3次がん・一般-017
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
森山 紀之(国立がんセンター がん予防・検診研究センター)
研究分担者(所属機関)
  • 藤井 博史(国立がんセンター 東病院臨床開発センター)
  • 柿沼 龍太郎(国立がんセンター がん予防・検診研究センター検診開発研究部)
  • 岩田 良子(国立がんセンター 東病院放射線部)
  • 黒木 嘉典(栃木県立がんセンター 画像診断部)
  • 仁木 登(徳島大学大学院 ソシオテクノサイエンス研究部)
  • 松野 吉宏(北海道大学病院 病理部)
  • 津田 均(国立がんセンター 中央病院臨床検査部)
  • 井野 彰浩(独立行政法人国立病院機構九州がんセンター 内視鏡科)
  • 佐藤 均(東京医療保健大学)
  • 村松 幸男(国立がんセンター がん予防・検診研究センター検診開発研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 第3次対がん総合戦略研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
①診断用ME機器の開発を行い検診,臨床におけるがん画像診断能の向上を目指す ②高精度がん検診を実際に行い各種検査法による診断精度を明らかとする ③大腸がんに対する仮想内視鏡検査方法の確立と臨床への応用 ④病理画像,臨床画像のデーターベース化を行い画像診断に対する均てん化を進める ⑤コンピューター支援がん画像診断装置(CAD)の開発を進め普及させる
研究方法
①250列マルチスライスCT,120マイクロメーターの解像度を有する拡大CT,肺がん,乳がんに対するトモシンセシスの開発と臨床撮影実験を行った ②PET,CT,内視鏡,US等を用いた高精度がん検診を行った ③大腸がんに対する仮想内視鏡・臨床応用を行い精度の確認と画像表示方法の開発を行った ④典型例,稀な症例,教育的な症例に対し病理および臨床画像のデーターベース化.患者および患者家族に対する"癒し・憩"の画像データーベース化の構築を進めた5)肺がん,乳がんに対するCADの開ュと臨床応用を進め臨床症例に対する読影実験を行った
結果と考察
①256?320列マルチスライスCTの臨床応用により時間軸を考慮に入れた画像構成に成功した.人体用拡大CTでは肺の小結節に対してトモシンセシスは肺がん,乳がんに優れた診断能を有することが判明した ②高精度がん検診では7,610人中398人(5.23%)に何らかのがんが発見された ③仮想内視鏡による大腸がん検査の結果,進行がんと5mm以上の隆起性病変に対しては100%の診断能であった ④病理,臨床画像データーベース構築に関しては縦隔,消化管,腹部実質臓器を中心とした画像の登録が進められた ⑤肺がん,乳がんに対するCADの開発では実用化に向けてのデータ取得が行われた
結論
①256列CTによって時間軸方向の情報を有するCT診断が可能となった.拡大CTによって肺の小結節に対する質的診断能が飛躍的に向上した.肺がん,乳がんに対してトモシンセシスは高い診断能を示した ②高精度のがん検診を行うことにより40歳以上の男女で5.23%の割合で何らかのがんが発見された ③大腸がんにたいする仮想内視鏡は低侵襲で高い診断能を示した ④病理,臨床画像データーベース構築により画像診断に対する均てん化が得られる ⑤肺がん,乳がんに対するCADの開発を行い臨床で使用可能なシステムの構築を行った

公開日・更新日

公開日
2010-05-31
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200924017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
①256,320列マルチスライスCTの開発による時間軸方向の情報を有するCT診断が可能.拡大CTによる肺,骨病変の質的診断能の向上.肺がん,乳がんへのトモシンセシス応用で診断能向上と被曝低減が可能②高精度がん検診により7610人中398人(5.23%)に何らかのがんが発見③大腸仮想内視鏡臨床応用で進行大腸がんおよび5mm以上の隆起性病変に対して100%の検出能が可能④病理,臨床画像データーベースの登録,インターネット上での公開⑤肺がん,乳がんに対するコンピュータ支援診断装置の開発と臨床応用
臨床的観点からの成果
①256,320列CTの開発で造影CTの診断能が向上.トモシンセシスは乳がんでマンモグラフィで検出不可の病変発見,肺がんでCT1/8のX線量で6mm大の結節検出可能②高精度がん検診で40歳以上の無症状男女5.23%の高い担がん率,1年後の再検受診者発見率は1/5に低下③大腸仮想内視鏡での高い診断能が確認,検診を含む臨床での使用が可能④病理,臨床画像データーベース構築で総合的がん画像診断,効率的教育が可能⑤仮想内視鏡,マンモグラフィ,肺CTに対するCADの臨床応用で使用に耐えうる検出能取得
ガイドライン等の開発
①256,320列CT における時間軸の情報を持った造影CT撮影では連続したX線照射は被曝線量が多くなるため各臓器別に時間間隔を定めたパルス状の照射を提案 ②乳がん発見に対するCADの国産CADとしては最初の薬事承認 ③がん画像レファレンスデーターベース構築の一環としてがん.患者およびその家族に対する"癒し・憩"の画像データーベース化のインターネット上での公開
その他行政的観点からの成果
①256,320列マルチスライスCT,拡大CTおよびトモシンセシスにより無駄な検査の繰り返しが減少 ②症状のない40歳以上の男女において5.23%に何らかのがんが存在することが判明,今後のがん検診の動向に対して行政的な検診のあり方についての重要なデータが得られた ③病理、臨床画像のレファレンスデーターベースの構築およびCADの普及によりがん画像診断に対する均てん化が得られる
その他のインパクト
①マンモグラフィによるCADについては本研究でのデータと成果を基に国産メーカーとの協力により国産としては初となる薬事承認を取得 ②高精度がん検診により症状の無い40歳以上の男女で5.23%の高率でがんが発見されることについてはNHKをはじめとするテレビ番組,雑誌等で取り上げられている

発表件数

原著論文(和文)
6件
FCRを用いたマンモグラフィシステム専用品質管理ツールとしての1shoto Phantomの評価 ,他
原著論文(英文等)
74件
Previously reported lung cancer growth curves ,他
その他論文(和文)
632件
CT colonographyは大腸内視鏡検査を超えるか ,他
その他論文(英文等)
36件
Clinical impact of whole body FDG-PET for recurrent biliary cancer: a multicenter study ,他
学会発表(国内学会)
256件
第67回日本医学放射線学会総会(横浜市),他
学会発表(国際学会等)
32件
第5回Shadon医用画像フォーラム(中国北京) ,他
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計2件
その他成果(特許の取得)
0件
①投影画像生成装置、方法、およびプログラム ②医療画像表示制御装置及びプログラム(申請中)
その他成果(施策への反映)
3件
がん画像診断に対する均てん化
その他成果(普及・啓発活動)
5件
市民公開講座講演、政府広報(政府インターネットテレビ)

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
Masayuki Kanematsu,Satoshi Goshima,Noriyuki Moriyama,et al.
Gadolinium-Enhanced Multiphasic 3D MRI of the Liver with Prospective Adaptive Navigator Correction: Phantom Study and Preliminary Clinical Evalution
AJR , 188 , 309-316  (2007)
原著論文2
Hiroshi Kondo, Masayuki Kanematsu,Noriyuki Moriyama,et al.
Abdominal Multidetector CT in Patients with Varying Body FatPercentateges:Estimation of Optimal Contrast Material Dose1
Radiology , 249 (3) , 872-877  (2008)
原著論文3
Satoshi Goshima, Masayuki Kanematsu,Noriyuki Moriyama,et al.
Diffusion-Weighted Imaging of the Liver:Optimizing b Value for the Ditectin and Characterization of Benign and Malignant Hepatic Lesions
Journal of magnetic resonance imaging , 28 , 691-697  (2008)
原著論文4
Tatsushi Kobayashi, Takayuki Hayashi,Noriyuki Moriyama,et al.
Three-dimensional perfusion imaging of hepatocellular carcinoma using 256-slice multidetector-row computed tomography
Radiat Mad , 26 , 557-561  (2008)
原著論文5
Inoue K, Sato T,Noriyuki Moriyama,et al.
Improvement of the diagnostic accuracy of lymph node metastases of colorectal cancer in (18)F-FDG-PET/CT by optimizing the iteration number for the image reconstruction
Ann Nucl Med , 22 (6) , 465-473  (2008)
原著論文6
Gomi S,Muramatsu Y,Noriyuki Moriyama,et al.
Low-dose CT screening for lung cancer with automatic exposure control: phantom study
Radiological Physics and Technology , 1 , 244-250  (2008)
原著論文7
河田佳樹,仁木登,森山紀之,他
CT像からのPSF測定法
電子情報通信学会論文誌 , 91 (7) , 1766-1777  (2008)
原著論文8
H.Suzuki,N.Niki,Noriyuki Moriyama,et al.
An automated distinction of DICOM image for lung cancer CAD system
Medical Imaging , 7264 , 1-9  (2009)
原著論文9
M.Matsuhiro, N.Niki,Noriyuki Moriyama,et al.
Classification method of pulmonary vein and artery based on multi-slice CT images
International Forum on Medical Imaging in Asia , 108 (385) , 101-104  (2009)
原著論文10
K.Kageyama,N.Niki,N.Moriyama,et al.
Structure analysis of the secondary Palmonary Lobules by using synchrotron radiation CT images
International Forum on Medical Imaging in Asia 2009 , 108 (385) , 111-114  (2009)
原著論文11
Sadako Akashi-Tanaka, Tadahiko Shien,N.Moriyama,et al.
Whole-breast volume perfusion images using 256-row multislice computed tomography:visualization of lesions with ductal spread
Breast Cancer , 16 , 62-67  (2009)
原著論文12
Kazumasa Inoue,Noriyuki Moriyama,Hirofumi Fujii,et al.
An anthropomorphic pelvis phantom for optimization of the diagnosis of lymph node metastases in the pelvis
Springer Ann Nucl Med , 23 , 245-288  (2009)
原著論文13
長島千恵子,内山菜智子,森山紀之,他
FCRを用いたマンモグラフィシステム専用品質管理ツールとしての1shoto Phantomの評価
日本放射線技術会雑誌 , 6 (7) , 921-930  (2009)
原著論文14
Taiki Yamaji,Noriyuki Moriyama,Shoichiro Tsugane,et al.
Visceral Fat Volume and the Prevalence of Colorectal Adenoma
Am J Epidemiol , 170 (12) , 1502-1511  (2009)
原著論文15
Seiko Kuroki-Suzuki, Yoshimumi Kuroki,Noriyuki Moriyama,et al.
Diagnosis of breast cancer with multidetector computed tomography:analysis of optimal delay time after contrast media injection
Clinical Imaging , 34 (1) , 14-19  (2010)
原著論文16
Hiroshi Kondo,Masayuki Kanematsu,Noriyuki Moriyama,et al.
Body Size Indexes for Optimizing lodine Dose for Aortic and Hepatic Enhancement at Multidetectior CT:Comparison of Total Body Weight,Lean body Weight,and Blood Volume
Radiology , 254 (1) , 163-169  (2010)
原著論文17
Ryutaro Kakinuma, Noriyuki Moriyama, Kenji Eguchi,et al.
Previ- ously reported lung cancer growth curves
Chest 2010 ,  (137) , 1002-1003  (2010)
原著論文18
Seki N, Kakinuma R, Moriyama N, et al.
The adenocarcinoma-specific stage shift in the Anti-lung Cancer Associa- tion project: significance of repeated screening for lung cancer for more than 5 years with low-dose helical computed tomography in a high-risk cohort
Lung Cancer , 67 , 318-324  (2010)
原著論文19
Y.Kawata,N.Niki, N.Moriyama, et al.
Microstructural analysis of secondary pulmonary lobule imaged by synchrotron radiation micro CT using offset scan mode
Medical Imaging , 7626 , 1-9  (2010)
原著論文20
Hitosi Satoh, Noboru Niki, Noriyuki Moriyama
Computer-aided diagnosis workstation and teleradiology network system for chest diagnosis using the web medical image conference system with a new information security solution
Medical Imaging  (2010)

公開日・更新日

公開日
2015-09-30
更新日
-