適切な医薬品開発環境・安定供給及び流通環境の維持・向上に関する研究

文献情報

文献番号
202222074A
報告書区分
総括
研究課題名
適切な医薬品開発環境・安定供給及び流通環境の維持・向上に関する研究
課題番号
22IA2012
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(学校法人北里研究所 北里大学)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 江梨子(千葉大学 大学院薬学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,210,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、我が国における医薬品の適切な開発環境、安定供給及び流通環境の維持・向上を図るため、医薬品の上市及びその後の安定供給の推進における障壁を調査・分析し、薬価制度を含めた対策を提言することを目的とした。
研究方法
本研究は、大きく(1)医薬品の安定供給の強化に関する研究、(2)新薬の開発及び上市環境の改善に係る研究からなる。
(1)医薬品の安定供給の強化に関しては、個別の後発医薬品企業を対象に、医薬品の安定供給、品質確保及び透明性確保に向けた取組み等に関するヒアリング調査を行い、さらに公表情報を用いて医薬品の回収実態に関する調査を行った。これらに基づき、後発医薬品の安定供給の強化に向けた方策について考察した。
(2)新薬の開発及び上市環境の改善に関しては、日本の製薬企業による臨床試験の実施状況、新薬の日米欧での開発・承認のタイミング、新規モダリティ品目の日米欧における開発状況、外資系企業による国際共同臨床試験への日本の参加状況、海外での保険償還医薬品価格リスト、新薬の薬価算定における類似薬効比較方式の適用状況に関する調査等を行い、革新的な新薬の日本市場への早期導入に向けた対応策の探索を行った。
結果と考察
医薬品(特に後発医薬品)の安定供給の強化に向けては、研究結果に示した事項を基礎情報として用いながら、今後、各企業における医薬品の安定的な供給の確保に向けた対応を評価するための指標を作成することとしたい。当該企業指標及び(又は)個別医薬品の特徴との組合せに基づいて、要件を満たす品目については、その初回収載時又は薬価改定時に何らかの薬価上の配慮を行うことを検討する意義はあるものと考える。これらに加え、後発医薬品の共同開発に関する取扱いの適正化や、いわゆるオーソライズド・ジェネリックの取扱いなどについては継続的な検討が必要である。さらに、薬機法違反等による重大な供給不安を起こした場合に、第三者的な組織による検証及び当該結果の公表を行う仕組みを設けることも検討の余地があると考える。
医薬品開発環境に関しては、各種調査研究を通じて、過去10年間程度における、日本を含む国際共同臨床試験の増加、日本と欧米間の新薬の申請及び承認の時間差の短縮など、我が国の新薬開発環境の好転が示されたが、ここ数年はそのような環境の改善に陰りが見えている。日本の新薬研究開発の環境が今後どのように変化し、どのような方向に向かうことになるのかは、新しい治療法への国民のアクセスを左右する重要な関心事項である。医薬品の研究開発には長期の時間を要することから、薬価制度を含めた種々の制度改正が新薬開発の動向に明確な影響を与えるまでにはタイムラグがあるものと推察され、今後も、多面的な情報の収集及び分析を継続してその影響の兆しを早期に掴み、必要な対応策を講じていく必要がある。
新薬の薬価算定においては、各医薬品が有する臨床上の有益性、革新性を適切に評価する仕組みと併せ、価格の予見性を高める取組みも重要である。また、革新的な新薬を欧米諸国に遅れることなく日本で上市しようとする際のインセンティブ(あるいはその逆の状況へのディスインセンティブ)を直接意識した対応や、新興バイオファーマに対して日本の医薬品市場の魅力を高めるという視点も重要であると考える。
結論
医薬品(特に後発医薬品)の安定供給の強化に向けては、本年度の研究結果を基礎情報として用いながら、今後、各企業における医薬品の安定的な供給の確保に向けた対応を評価するための指標を作成することとしたい。新薬の開発及び上市環境の改善に向けては、今後も、多面的な情報の収集及び分析を継続するとともに、日本の医薬品市場の魅力を高めるという視点を持ちながら、新薬が有する臨床上の有益性、革新性の適切な評価、価格の予見性の向上に向けた対応策を検討していくこととする。

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
2023-06-16

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222074Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,723,000円
(2)補助金確定額
2,201,000円
差引額 [(1)-(2)]
522,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 607,018円
人件費・謝金 589,995円
旅費 1,570円
その他 489,968円
間接経費 513,000円
合計 2,201,551円

備考

備考
実績報告にあたり、支出合計の1,000円未満の端数について切り捨て処理を行ったため

公開日・更新日

公開日
2024-05-17
更新日
-