医療機器の安定供給のための体制整備に資する研究

文献情報

文献番号
202222073A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機器の安定供給のための体制整備に資する研究
課題番号
22IA2011
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
櫻井 淳(国立大学法人 岡山大学 岡山大学病院 新医療研究開発センター)
研究分担者(所属機関)
  • 伊東 孝(岡山大学 新医療研究開発センター)
  • 渡利 彰浩(国立大学法人大阪大学 大学院薬学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,937,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
新型コロナウイルス感染症流行時に、医療機器の供給が不安定となったことから、安定供給への関心が高まっている。また,医療機器基本計画改定案策定タスクフォースでも医療機器の安定供給に関して議論されている。
医療機器の供給不安は国民の安全・安心に対する新たなリスクとして顕在化しており,安定供給のための体制整備は今後の課題となっている。例えば経済安全保障法案策定に向けた動きが加速している中,医療機器が途絶または不足した場合の国民生命への影響が著しい製品に関しては供給不安リスクの調査や対応策の検討が特に必要とされる可能性がある。また,将来的にはパンデミック等の有事に対応するべく保健・医療分野の対応力の強化が求められるはずである。
上記背景を踏まえ、本研究では、患者の治療に必要な医療機器が安定的に供給されることを目的に「医療機器の安定供給のための体制整備に資する研究」をテーマとし、今後実施される法整備及び診療報酬改定において対応すべき施策の元となるデータ収集を行う。
具体的には国内の医療機器の安定供給の推進における障壁を調査する。昨年度は地域医療基盤開発推進研究事業「国内医療機器産業の業界支援に関する研究」において、特定保険医療材料について、価格面から安定供給に支障を来す可能性が高い汎用医療機器を類型化・報告体制等を体系化し、中央社会保険医療協議会及び医療機器基本計画改定案策定タスクフォースに報告し、令和4年度診療報酬改定及び基本計画改定に向けて活用された。2022年度は昨年度のノウハウを応用し,医療材料のうち災害や新興感染症発生時等の特定状況下で安定供給に支障をきたした場合、医療に影響を及ぼす医療機器を階層化することを試みた。
研究方法
患者の治療に必要な医療機器が安定的に供給されることを念頭に、a: 特定重要物資の候補となる医療機器(途絶または不足した場合に国民の生命に著しい影響を及ぼす医療機器)、b: a以外の安定確保すべき医療機器(対象疾病・病態において重篤性・緊急性がある、かつ代替機器・代替療法がない医療機器)、c: それ以外の医療機器としての階層化を試みた。
a: 特定重要物資の候補となる医療機器の選定においては「途絶または不足した場合に国民の生命に著しい影響を及ぼす医療機器」としての調査を、特定重要物資の指定も視野に入れつつ、供給不安リスクの調査や対応策の検討を実施した。
b: a以外の安定確保すべき医療機器に関しては「対象疾病・病態において重篤性・緊急性がある、かつ代替機器・代替療法がない医療機器」としての調査を実施した。既存統計調査及び業界ヒアリングに基付いて安定供給に支障をきたした場合、医療に影響を及ぼす医療機器をリストアップし、医療関係者へのヒアリングを行った。
結果と考察
a: 特定重要物資の候補となる医療機器の選定においては「途絶または不足した場合に国民の生命に著しい影響を及ぼす医療機器に関する調査」を実施した。調査の結果、途絶または不足した場合に国民の生命に著しい影響を及ぼす医療機器として、「人工呼吸器」「持続緩徐式血液濾過透析(CHDF)にかかる機器」「一時的ペーシングにかかる機器」「電気除細動器」「体外式膜型人工肺(ECMO)にかかる機器」「透析関連装置」を選定した。
b: a以外の安定確保すべき医療機器に関しては「対象疾病・病態において重篤性・緊急性がある、かつ代替機器・代替療法がない医療機器」としての調査を実施した。最終的に医療関係者へのヒアリングを行うことで約200品目の医療機器の一般的名称を抽出することができた。
安定供給を確保する医療機器の調査において、品目が多岐にわたることから、特定保険医療材料のNDBオープンデータ、薬事工業生産動態統計調査など様々なオープンリソースを複合的に評価することが実質困難である。また医療機器自体の特性からも優先的に供給されるべき根拠の提示が医療者も困難であることが示唆された。しかし、供給にかかるサプライチェーンが世界規模に至るまで発展した近年において、今後どのような問題が発生するかは予想できない。当然、今の世界情勢は今後も影響を及ぼすため、今後も対策強化するにおいて優先的な医療機器の選定、すなわち医療機器の階層化は必要である。
結論
a: 特定重要物資の候補となる医療機器(途絶または不足した場合に国民の生命に著しい影響を及ぼす医療機器)、b: a以外の安定確保すべき医療機器(対象疾病・病態において重篤性・緊急性がある、かつ代替機器・代替療法がない医療機器)、c: それ以外の医療機器としての階層化については試案となるべき資料ができた。今後網羅性を充足させたデータ作りを行っていく。本結果については医薬品・医療機器のサプライチェーン実態把握のための調査事業における第一回有識者会議(2022年8月29日)で報告を行った。

公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222073Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,518,000円
(2)補助金確定額
2,518,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,852,740円
人件費・謝金 0円
旅費 84,260円
その他 0円
間接経費 581,000円
合計 2,518,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-07-27
更新日
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