臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師のタスクシフテイング/タスクシェアリングの安全性と有効性評価

文献情報

文献番号
202222072A
報告書区分
総括
研究課題名
臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師のタスクシフテイング/タスクシェアリングの安全性と有効性評価
課題番号
22IA2010
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小坂 鎮太郎(公益社団法人地域医療振興協会 地域医療研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 北村 聖(公益社団法人地域医療振興協会)
  • 藤谷 茂樹(聖マリアンナ医科大学 医学部救急医学)
  • 青木 郁香(中村 郁香)(公益財団法人医療機器センター 医療機器産業研究所)
  • 益田 泰蔵(一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
2,913,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師については、「良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律」(令和3年5月28日公布)により、医療関係職種の業務範囲の見直しが行われ、20の行為(診療放射線技師6、臨床検査技師8、臨床工学技士6)が実施可能になった。
また令和3年9月30日付で医政局長通知が発出され、現行制度下でタスクシフトが可能な行為が示された。
業務範囲に追加された行為を行うとするときは、あらかじめ厚生労働大臣が指定する研修会を受けなければならない。
今後、各施設で医師の業務の他職種へのタスクシフトが進む上で、安全なタスクシフト推進が不可欠である。このため、本研究では、先駆的にタスクシフトを実施している施設の実施状況を確認し、安全性の検証を行い、その中でも、好事例の施設における成功の要因となる方策について明らかにし、それを普及させることを目的に調査・研究を実施することとした。
研究方法
2022年度においては、3技師においてタスクシフトを先駆的に実施しているいくつかの好事例施設を視察して、安全性評価とその確保方法について検証することとした。好事例施設として、社会福祉法人 恩賜財団 済生会熊本病院:熊本県熊本市(以下、「済生会熊本病院」という。)、医療法人鉄蕉会 亀田総合病院:千葉県鴨川市(以下、「亀田総合病院」という。)、藤田医科大学病院:愛知県豊明市、社会福祉法人 恩賜財団 済生会松阪総合病院:三重県松阪市(以下、「済生会松阪総合病院」という。)、社会福祉法人 聖隷福祉事業団 聖隷浜松病院:静岡県浜松市(以下、「聖隷浜松病院」という。)、社会福祉法人 恩賜財団 済生会川口総合病院:埼玉県川口市(以下、「済生会川口総合病院」という。)について、現地視察を行い現状調査した。
安全性の評価方法として、国内で一般的に使用されているインシデント、アクシデント、ヒヤリハットの報告数とタスクシフトの実施行為数の割合を「タスクシフト安全性指数」と評価することが比較可能な標準的方法になると考えて測定することとした。「安全性指数=(インシデント+アクシデント+ヒヤリハット)の数/タスクシフト行為実施数」
調査内容は、整備されている手順書などの書類等の確認、インシデント/アクシデント/ヒヤリハットの数と事例、院内の認定制度、フィードバック方法、実施体制の確認等を行った。
倫理面への配慮として、インシデント/アクシデントの事例について、タスクシフトの行為実施者及び患者の個人が特定されないよう個人情報を保護した状態で提供してもらうようにして、多施設での検証を実施するにあたって倫理委員会での承認を得て、オプトアウトすることとした。
結果と考察
医療機関の機能や規模などは異なっているが、その施設が必要とするタスクシフテトが各職種で選択されて実施されていた。
安全性=(インシデント+アクシデント+ヒヤリハットの数)/行為実施数で評価したところ、現時点では大きな問題はないと考えられるが、一定数の機械的合併症は他職種と同じ程度の割合で発生すること、新しい行為が通常業務の上乗せになることで通常業務に支障が出ないよう人員配置などに注意する必要があると考えられた。
タスクシフトを安全に実施する上の方策としては、手順書の作成、研修プロクラムの明確化、新たな業務に対しての力量の確認がされており、タスクシフトが安全に実施されるように構築されていた。
また新たな業務を取り組む上で、職場長をはじめ現場の臨床検査技師の他部門との良好な関係が重要であった。医師や看護師らとコミュニケーションをとり業務を進めることが安全に実施する上でのポイントであった。
今後は、この安全性評価方法をより多施設で実施してタスクシフトの安全性と課題をより明らかにしていくことが必要だと考えられた。その結果をもとに、国内におけるタスクシフトの安全基準と安全性確保の方策を示し、各施設での安全なタスクシフトの実現が可能となると考えた。
結論
臨床検査技師、臨床工学技士、診療放射線技師においてタスクシフトを先駆的に実施している好事例施設の実施状況を確認した。
インシデント、アクシデント、ヒヤリハットを調査したところ、現時点では安全な範囲で実施されていると考えられた。
その安全性保証の方策として、手順書の準備や施設内行為実施認定制度といった力量評価等が適切に行われていることが重要だと考えられ、好事例施設の安全性方策が多くの施設に共有されることが今後のタスクシフトの拡大において重要であると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,313,000円
(2)補助金確定額
3,303,590円
差引額 [(1)-(2)]
9,410円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,793,498円
人件費・謝金 0円
旅費 395,092円
その他 715,000円
間接経費 400,000円
合計 3,303,590円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
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