文献情報
文献番号
202222071A
報告書区分
総括
研究課題名
死因究明により得られる情報を活用する方策についての研究
課題番号
22IA2009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 一博(公益社団法人日本医師会 総合政策研究機構)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,155,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
令和3年6月1日に閣議決定された「死因究明等推進計画」において、死亡診断書(死体検案書)の電子的交付について、関係省庁と連携して検討を進め、実現可能な体制等の方向性を示すことが明記され、また、デジタル・ガバメント実行計画(令和2年12月25日閣議決定)においては、死亡に関する手続(死亡届及び死亡診断書(死体検案書))をオンラインで完結する仕組みの構築に向けて、課題を整理の上措置することが盛り込まれた。
そこで、令和3年度に、死亡診断書(死体検案書)を電子的に交付する基盤を整備することを念頭に、クラウドサービスを用いて電子的に作成した死亡診断書(死体検案書)を自治体にオンライン提出する枠組みを実証的に検討した。本研究は、それを更に進め、死亡届および死亡診断書(死体検案書)を一体的に電子化して自治体にオンライン提出する枠組みを検証し、行政手続きのみならず、民間手続きも含めた死亡届手続きのワンストップ化のあり方を検討することを目的とする。
そこで、令和3年度に、死亡診断書(死体検案書)を電子的に交付する基盤を整備することを念頭に、クラウドサービスを用いて電子的に作成した死亡診断書(死体検案書)を自治体にオンライン提出する枠組みを実証的に検討した。本研究は、それを更に進め、死亡届および死亡診断書(死体検案書)を一体的に電子化して自治体にオンライン提出する枠組みを検証し、行政手続きのみならず、民間手続きも含めた死亡届手続きのワンストップ化のあり方を検討することを目的とする。
研究方法
本研究は、死亡届および死亡診断書(死体検案書)を一体的に電子化して自治体にオンライン提出する枠組みの検証を行うことから、以下の手順で進める。
(1)医師が死亡診断書を電子的に作成、市区町村に送付、市区町村側は電子死亡診断書(死体検案書)を受け取り、死亡届と突合して人口動態調査事務システムに反映させるという一連の流れの中で、死亡届と一体的に電子化を検討し、それぞれのプロセスにおける課題や留意点を抽出し、技術的課題、運用(制度)的課題と体系立てて整理する。
(2)死亡届手続きは、行政手続きであることから、遺族によるマイナンバーカードを用いた、マイナポータル経由での死亡届手続きの仕組みを検討する。これと(1)で整理した事項を組み合わせて検証し、死亡届手続きのワンストップ化の流れを研究する。
(3)死亡診断書(死体検案書)の電子的な構造体定義(CDA)としては、平成18年度に「医療機関等が主に対外的に交付するために作成する書類の電子化の様式に関する包括的調査研究」(研究代表者:山本隆一)によって提案がなされていることから、一連の戸籍事務のプロセスをDX化するために、このCDAを活用した死亡届ワンストップ化の検証を行う。
(1)医師が死亡診断書を電子的に作成、市区町村に送付、市区町村側は電子死亡診断書(死体検案書)を受け取り、死亡届と突合して人口動態調査事務システムに反映させるという一連の流れの中で、死亡届と一体的に電子化を検討し、それぞれのプロセスにおける課題や留意点を抽出し、技術的課題、運用(制度)的課題と体系立てて整理する。
(2)死亡届手続きは、行政手続きであることから、遺族によるマイナンバーカードを用いた、マイナポータル経由での死亡届手続きの仕組みを検討する。これと(1)で整理した事項を組み合わせて検証し、死亡届手続きのワンストップ化の流れを研究する。
(3)死亡診断書(死体検案書)の電子的な構造体定義(CDA)としては、平成18年度に「医療機関等が主に対外的に交付するために作成する書類の電子化の様式に関する包括的調査研究」(研究代表者:山本隆一)によって提案がなされていることから、一連の戸籍事務のプロセスをDX化するために、このCDAを活用した死亡届ワンストップ化の検証を行う。
結果と考察
戸籍情報システムは電算化やオンライン化はされていても、基本的には自治体内に閉じた仕組みであり、一部、複数の自治体での共同利用型システムでの運用が可能であるとされているだけである。ただ、戸籍副本データ管理システムがLGWANと接続されている。一方、マイナポータルもLGWANに繋がっている。したがって、マイナポータル上に死亡届に係る申請を作り、遺族が故人の死亡診断書をアクセスコードで指定することで手続きを実現することが可能である。
しかし、ここで課題となるのは、戸籍副本データ管理システムは、あくまで副本データの管理であり、そのデータに死亡届の処理をしても意味がない。このことから、自治体の戸籍情報システムを直接LGWANに接続する必要がある。
次にデータ構造に関しては、「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書」において、各種の情報項目は、XMLで定義されている。これは、提案されている死亡診断書(死体検案書)の構造体がHL7 CDA R2でXMLであることから、親和性が高い。
以上を踏まえて、死亡届のワンストップ化は、自治体のネットワーク環境、マイナポータルの活用、情報利活用のためのデータ構造、いずれに関しても実現可能性は十分に高い状況にあるが、それを全て繋いで行くための自治体側の戸籍情報システム自体のオンライン化が最後で最大の課題と思われる。
しかし、ここで課題となるのは、戸籍副本データ管理システムは、あくまで副本データの管理であり、そのデータに死亡届の処理をしても意味がない。このことから、自治体の戸籍情報システムを直接LGWANに接続する必要がある。
次にデータ構造に関しては、「戸籍手続オンラインシステム構築のための標準仕様書」において、各種の情報項目は、XMLで定義されている。これは、提案されている死亡診断書(死体検案書)の構造体がHL7 CDA R2でXMLであることから、親和性が高い。
以上を踏まえて、死亡届のワンストップ化は、自治体のネットワーク環境、マイナポータルの活用、情報利活用のためのデータ構造、いずれに関しても実現可能性は十分に高い状況にあるが、それを全て繋いで行くための自治体側の戸籍情報システム自体のオンライン化が最後で最大の課題と思われる。
結論
令和3年度の研究では、現行の死亡診断書(死体検案書)を電子化し、市役所で死亡届を受け取り、送られてきた死亡診断書(死体検案書)と突合することで、死亡に係る業務を実施することは実現できていおり、外形的には目的は達成していた。ただし、単に書類のデジタル化を行い、何らかの方法で相手方に送るという試みであって、いわゆるDXが実現できたものではなかった。本来であれば、死亡診断書(死体検案書)を電子化して、死亡届も電子的に申請でき、市役所では紙を意識することなく、戸籍システムへの入力までが電子化されて初めてDXと言える。
本研究は、あくまで現状の把握、確認、それに対する未来への提案として取りまとめを行った。
今後、死亡に関わる業務のDX推進、その結果による死因情報の利活用の効率化による日本の公衆衛生上の施策の正確性確保、迅速化が国の重要なテーマのひとつとして位置付けて、推進されることを望む。
本研究は、あくまで現状の把握、確認、それに対する未来への提案として取りまとめを行った。
今後、死亡に関わる業務のDX推進、その結果による死因情報の利活用の効率化による日本の公衆衛生上の施策の正確性確保、迅速化が国の重要なテーマのひとつとして位置付けて、推進されることを望む。
公開日・更新日
公開日
2023-06-09
更新日
-