特定行為にかかる評価指標を用いた活動実態調査研究

文献情報

文献番号
202222069A
報告書区分
総括
研究課題名
特定行為にかかる評価指標を用いた活動実態調査研究
課題番号
22IA2007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
真田 弘美(石川県立看護大学)
研究分担者(所属機関)
  • 康永 秀生(国立大学法人東京大学 大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学)
  • 仲上 豪二朗(東京大学大学院医学系研究科 老年看護学/創傷看護学分野)
  • 紺家 千津子(石川県立看護大学 看護学部)
  • 須釜 淳子(藤田医科大学 社会実装看護創成研究センター)
  • 春山 早苗(自治医科大学 看護学部)
  • 磯部 陽(国際医療福祉大学 消化器センター)
  • 太田 秀樹(医療法人 アスムス)
  • 吉田 美香子(東北大学大学院医学系研究科ウィメンズヘルス・周産期看護学分野)
  • 北村 言(東京大学 大学院医学系研究科看護管理学/看護体系・機能学分野)
  • 森田 光治良(東京大学 医学系研究科附属グローバルナーシングリサーチセンター)
  • 三浦 由佳(藤田医科大学 社会実装看護創成研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
4,642,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、特定行為研修修了者(修了者)の活動の効果について、修了者の就業する施設を対象に収集されたアウトカム指標の大規模データを分析し、医療の質向上への影響や業務の効率化といった修了者の成果を示すことを目的とする。また、これまで研究班が担ってきた恒久的なデータ収集・分析を可能とするための一連のプロトコルを標準化することで、修了者である看護師の行う特定行為のアウトカムを恒久的に収集・分析可能とする大規模データベースの構築方法を確立することを目的とする。
研究方法
令和4年度は研究1-1: 既存資料 令和3年度厚生労働科学研究「特定行為研修の活用に際しての方策に関する研究」(研究代表者:真田弘美)の全国調査のデータ再分析と研究1-2: 調査手法の改良を行った。研究1-1では、急性期医療、慢性期医療、在宅のセッティングから得られたすべてのデータ(N = 195)を対象に、修了者属性(認定看護師であるか、診療看護師であるか、一般の修了者であるか)、年齢(70歳以上)、性別、要介護度、セッティング、観察開始時のBarthel Indexの合計得点、病床数、100病床あたりの医師数、10病床あたりの看護師数、100病床あたりの修了者数、修了者の医師との協働の程度、を独立変数に投入し、Barthel Indexの観察開始時と観察終了時の差分を従属変数とした重回帰分析を行った。さらに、急性期医療のデータ(N = 39)を対象に、修了者属性、年齢(70歳以上)、性別、セッティング、観察開始時のBarthel Indexの合計得点、病床数、観察開始時のDESIGN-R2020®合計得点、観察週数を独立変数に投入し、DESIGN-R2020®の観察開始時と観察終了時の差分を従属変数とした重回帰分析を行った。研究1-2では、Web上でのデータ収集ではなく、紙の調査票やエクセルの回答フォームといった方法を用いるようプロトコルを修正した。修正した調査プロトコルにもとづき厚生労働省からの事業委託を受けて三菱UFJリサーチ&コンサルティング会社が実施した令和4年度厚生労働省補助事業のデータを今後受領する予定である。
結果と考察
研究1-1では、男性であること(β = -9.64; p = 0.012)、病床数が多いこと(β = -0.05; p = 0.034)がBarthel Indexの低下に、病床あたりの医師数が多いこと(β = 1.16; p = 0.001)が上昇に有意に影響していた。DESIGN-R2020®の点数の低下つまり褥瘡の改善については、観察開始時のBarthel Indexの合計得点が高いこと(β = 0.14; p = 0.030)、観察開始時のDESIGN-R2020®の合計得点が高いこと(β = 0.65; p < 0.001)、が褥瘡の改善に有意に影響していた。修了者属性、病床数は褥瘡の改善に有意な影響を与えなかった。
 研究1-2では調査依頼数1342施設に対し393件の回収があり回収率は29.2%であった。修了者の特徴について回答する修了者票は1398件、患者アウトカムについて回答する患者票は817件の回収であった。なお、令和3年度厚生労働科学研究「特定行為研修の活用に際しての方策に関する研究」における全国調査ではデータ回収率は5.1%、修了者票、患者票の回収件数はそれぞれ148件、172件であった。
研究1-1の結果からは、どのような修了者をどのような施設にどの程度配置すれば患者アウトカムの向上に効果的であるかといった示唆を得ることは困難であった。この要因として、データ数が少なく個々の患者・利用者の特性のばらつきの与える影響が大きかったことが挙げられる。紙の回答用紙やエクセルの回答フォームといった方法を用いることでデータ数の増加を試みた結果、データ回収率が5.1%から29.2%へと大幅に増加した。このことから、今回の調査手法の改良は妥当であったと考える。今後は、今後更新制度が定められた際に、修了者本人や指定研修機関の更新の要件にアウトカム指標となるデータの入力を含めていく、といった修了者本人や施設にインセンティブをもたらす対策もデータ数増加に向けて必要だろう。また、診療報酬の算定の要件に含めていくといった案も考えられる。そして、アウトカム収集のために新たな労力を必要としないよう、特定行為を診療報酬と紐づけて自動でアウトカムデータが収集できるようにする、といった対策も有用だと考えられる。
結論
既存資料のデータ解析から修了者の効果を示す上でこれまでの調査プロトコルは妥当であるものの、入力数を増やす必要があることを見出した。そして、これまでの調査結果を踏まえ改良した調査手法にもとづく調査プロトコルを遂行することで、入力数が大幅に増加することを見出した。

公開日・更新日

公開日
2023-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-16
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222069Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,032,000円
(2)補助金確定額
6,032,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 953,642円
人件費・謝金 150,000円
旅費 295,060円
その他 3,243,457円
間接経費 1,390,000円
合計 6,032,159円

備考

備考
支出に自己資金159円を含むため収入の「(2)補助金確定額」と支出の「合計」に差異が生じた

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-