外国人患者の効果的な受入環境整備に向けた研究

文献情報

文献番号
202222063A
報告書区分
総括
研究課題名
外国人患者の効果的な受入環境整備に向けた研究
課題番号
22IA2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
北川 雄光(慶應義塾大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 八木 洋(慶應義塾大学 医学部 外科学(一般・消化器))
  • 岡村 世里奈(国際医療福祉大学大学院 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
5,731,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 今後、訪日・在留外国人のさらなる増加が見込まれることから、外国人患者が安心して医療機関を受診できる体制整備が重要となっている。そこで本研究では、外国人患者の効果的な受入環境整備の在り方を検討するため、1年目の本年は現状把握ならびに今後の検討の方向性を探るために、①厚生労働省が公表している「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」に掲載されている拠点的な医療機関に対して、外国人患者の受入れ体制整備状況に関するオンライン・アンケート調査、ならびに②外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)の認証を受けている医療機関(以下「JMIP病院」という。)を対象として、外国人患者の受入れ体制の整備や維持が、外国人患者の医療の質や安全に与える影響について調査を行う。
研究方法
 上記①の調査に関しては、厚生労働省が公表している「外国人患者を受け入れる医療機関の情報を取りまとめたリスト」に掲載されているカテゴリー1及びカテゴリー2の医療機関1,565医療機関に対して、外国人患者の受入れ体制整備状況に関するオンライン・アンケート調査を行った。 
 上記②の調査に関しては、73機関存在するJMIP病院のうち、【調査1】研究協力の意思表示を示した17機関の医師及び在留外国人患者各10人(合計医師170人、在留外国人患者170人)に対して、外国人患者の受入れ体制が整備された医療機関での診療の提供(医師対象)ならびに受診(在留外国人患者対象)に関するアンケート調査を実施するとともに、【調査2】研究協力の意思表示を示した17機関に対して、外国人患者受入れに伴う特有の費用負担に関するアンケート調査、【調査3】事前調査で在留外国人患者の受入れ人数が多く、研究協力の意思表示を示した上位10機関に対して、外国人患者の受入れに伴う特有の業務に関するインタビュー調査を行った。
結果と考察
 本研究から、①医療機関における外国人患者受入れ体制の整備は、医療の質や安全の向上につながっていること、②外国人患者の受入れに特有の業務に係る時間的・費用的負担が医療機関にとって不可避であること、③拠点的な医療機関については外国人患者の受入れ体制整備状況に差があること、等が明らかとなった。
 これまでわが国では、在留外国人や訪日外国人旅行者の増加を背景として、外国人患者が安心して医療機関を受診できるように、医療機関における外国人患者の受入れ体制を整備するための様々な取り組みを実施してきた。こうした取り組みは一定の成果を挙げてきているが、今回の調査において明らかになったように、外国人患者の受入れは、どんなに外国人患者の受入れ体制を整備したとしてもその性質上、一定の費用的・時間的負担等を避けることができない。そのため、個々の医療機関単位で外国人患者の受入れ体制を整備した上で、外国人患者の受け入れを進めていけば、一部の医療機関に負担が集中する可能性がある。このような事態を避けるためには、単に医療機関における外国人患者の受入れ体制の整備を進めていくのではなく、地域の外国人医療ニーズを踏まえた上で、JMIP病院や拠点的な医療機関のように、外国人患者への医療提供において重要な役割を果たす医療機関や、その他の医療機関の役割をどのように位置づけるのか、また、地域で効率的に外国人患者に対する医療を提供するためにはどのような取り組みが必要なのか、地域における関係者による協議に基づいて、外国人患者の受入れ体制を整備していくことが重要と考えらえる。
結論
 効果的な外国人患者の受入環境を整備していくためには、単に医療機関における外国人患者の受入れ体制の整備を進めていくだけではなく、地域における外国人患者の医療ニーズを踏まえた上で、医療機関間の効率的な機能分化や外国人患者の受入れに伴う時間的・費用的負担の軽減につながるような連携策について盛り込んだ、地域における外国人患者の医療提供体制を構築するとともに、必要に応じて関連する施策を検討することが重要と考えられる。また拠点的な医療機関については、選定基準の明確化を図り、その役割を果たせるような支援を進めていくことが重要と考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-11-24
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-11-30
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222063Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,450,000円
(2)補助金確定額
7,450,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 196,053円
人件費・謝金 2,056,378円
旅費 0円
その他 3,478,569円
間接経費 1,719,000円
合計 7,450,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-12-01
更新日
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