小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備

文献情報

文献番号
200923022A
報告書区分
総括
研究課題名
小児先天性疾患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備
課題番号
H21-子ども・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
緒方 勤(国立成育医療センター研究所 小児思春期発育研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 福嶋義光(信州大学医学部 遺伝医学・予防医学講座)
  • 斎藤加代子(東京女子医科大学 遺伝子医療センター)
  • 大喜多肇(国立成育医療センター研究所 発生・分化研究部)
  • 松原洋一(東北大学医学部 遺伝病学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 子ども家庭総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
21,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、小児先天性疾患および難治性疾患の臨床的遺伝子診断の継続的実施を可能とする基盤を整備することである。本邦における遺伝子解析研究は、新規あるいは同定直後の既知遺伝子を対象とし、患者検体は通常研究者の個人的ネットワークを介して集積されている。一方、臨床応用としての遺伝子診断は、その情報が公開され一般医師に広く認知されることで需要が高まるが、この段階では研究メリットに乏しく、遺伝子診断の継続が困難となっている。本研究の必要性は、この乖離を埋めることにある。
研究方法
本研究の遂行にあたっては本研究で実施した遺伝子検査については、10学会が2003年に制定した「遺伝学的検査に関するガイドライン 」およびヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針(平成17年6月文部科学省厚生労働省経済産業省告示第1号)に従っている。また、国立成育医療センターおよび各検体の収集施設において予め倫理委員会の承認を得た後、書面によるインフォームド・コンセントを取得している。
結果と考察
主たる成果は以下の通りである。(1) 遺伝子診断法の開発としてインプリンティング疾患解析、欠失解析、腫瘍発症原因の網羅的解析法を構築した。(2) 倫理的基盤整備のために全国共通で使用できる倫理書式の雛形を作成し、また、現在の問題点を明らかとした。(3) 遺伝カウンセリングの体制整備のために全国実態調査を行い、現状把握と今後の課題を明確とした。(4) 経済的基盤の確立のために、NPO法人を設立・稼動させ、円滑な運営を行っている。これらの成果は、次年度からの研究遂行の基礎となると考えられる。そして、本研究は、遺伝子解析に関する倫理的基盤整備、遺伝カウンセリングシステム整備、臨床的遺伝子診断における費用負担の整備などの直接的成果と、医療の均てん化への貢献、国内データベースの整備による有用な情報の臨床還元および検体と臨床情報集積による遺伝子解析研究の促進という長期的成果の両者を有する。
結論
小児先天性疾患および難治性疾患の臨床的遺伝子診断の継続的実施を可能とする基盤を整備に向けて、遺伝子診断法の開発としてインプリンティング疾患解析、欠失解析、腫瘍発症原因の網羅的解析法の構築、倫理的基盤整備のための倫理書式雛形の作成し、遺伝カウンセリングの体制整備のための全国実態調査、経済的基盤の確立のためのNPO法人も設立・稼動を行った。

公開日・更新日

公開日
2010-05-25
更新日
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