ドクターヘリの効果的な運用と安全管理に関する研究

文献情報

文献番号
202222060A
報告書区分
総括
研究課題名
ドクターヘリの効果的な運用と安全管理に関する研究
課題番号
21IA2017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
猪口 貞樹(東海大学 医学部医学科)
研究分担者(所属機関)
  • 荻野 隆光(川崎医科大学 救急医学)
  • 高山 隼人(長崎大学病院 地域医療支援センター)
  • 北村 伸哉(国保直営総合病院君津中央病院 救命救急センター)
  • 早川 達也(聖隷三方原病院 高度救命救急センター)
  • 中川 雄公(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)
  • 土谷 飛鳥(独立行政法人国立病院機構水戸医療センター 救急科)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 辻 友篤(東海大学 医学部)
  • 鵜飼 孝盛(慶應義塾大学 理工学部)
  • 高嶋 隆太(東京理科大学理工学部経営工学科)
  • 中村 隆宏(関西大学 社会安全学部)
  • 堤 悠介(独立行政法人国立病院機構水戸医療センター救急科)
  • 鳥海 重喜(中央大学 理工学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、持続可能なドクターヘリ運用体制の確立に向けて、日本航空医療学会のドクターヘリ症例登録(以下JSAS-R)およびインシデント/アクシデント データベース(以下JSAS-I/A)を活用したドクターヘリの包括的な品質評価システムを構築し、併せて必要な関連研究を行うことである。
研究方法
①品質評価システムの開発・構築:1)2)項は前年度で完了。3)システム原型の構築:1. JSAS-Rの登録状況と品質管理指標:昨年度作成した質的評価指標(QI)案に修正を加えて最終案を確定した。JSAS-Rのデータを用いて各QIを算出し、検証を実施した。2. JSAS-I/Aの登録状況と品質管理指標:JSAS-I/Aの登録症例を集計し、活用法について検討した。3. 品質評価指標の可視化と評価システム原型の構築:JSAS-Rのデータを用い、様々な方法で上記各QIの可視化を行った。
②項は前年度で完了。
③ドクターヘリの標準テキスト作成:1. 標準テキストの作成:若手医師、看護師、運航関係者育成のための標準テキスト項目案を確定、研究協力者に執筆依頼してテキスト草案を作成した。2.エビデンスの分析:ドクターヘリに関する系統的レビューの文献調査を行った。
④ドクターヘリ夜間運航に関する研究:1)文献調査:1. HEMS夜間飛行のリスクに関する文献調査:過去22年間のHEMS夜間飛行およびHEMS事故のリスクに関する論文18本を、課題別に整理・検討した。2.ヘリコプター夜間飛行の現状と課題:専門家によりヘリコプターが夜間飛行する際の課題を整理した。2)需要の調査:1.ドクターヘリ夜間運航の需要推定:総務省消防庁とJSAS-Rのデータを用いて、現運航時間外における全国ドクターヘリの需要を推定、さらに有視界飛行で到達可能な需要を検討した。
結果と考察
①品質評価システムの開発・構築:3):1. JSAS-Rの登録状況と品質管理指標:27項目のQI最終案を確定。令和4年度のJSAS-Rデータを用いて各QIの算出、可視化および相関分析を行い、概ね良好な結果が得られた。2. JSAS-I/Aの登録状況と品質管理指標:2年半で705件が登録されたが未入力施設が残存しており、次年度改善を行う。3.品質評価指標の可視化と評価システム原型の構築:横棒グラフや散布図などに加えコロプレス図や個々の施設と全国平均との比較が可能な表示手法をJSAS-Rのデータに適用し、各可視化手法の利用可能性を検討して良好な結果が得られた。
③ドクターヘリの標準テキスト作成:1. 標準テキストの作成:項目案を整理のうえ標準テキスト草案を作成した。2.エビデンスの分析:ドクターヘリに関連する系統的レビュー12(有用性4、要請基準2、費用対効果1ほか)を同定した。また外傷に関する系統的レビュー836本の一次スクリーニングを完了した。
④ドクターヘリ夜間運航に関する研究:1)文献調査:1. HEMS夜間飛行のリスクに関する文献調査:HEMS夜間飛行の実施状況、HEMS事故・死亡事故のリスクとその経年変化、HEMS死亡事故の要因、米連邦航空局のHEMSに関する規則の変更、について調査結果を整理した。2.ヘリコプター夜間飛行の現状と課題;昼間有視界飛行時にパイロットが得ている操縦のための視覚的な手がかりを補償して安全に夜間飛行を行うには、オートパイロットの適切な使用が重要と考えられた。2)需要の調査:ドクターヘリ夜間運航の需要推定:全国のドクターヘリ夜間潜在需要は約2.5万件/年と推定された。夜間有視界飛行で到達可能と思われる各都道府県のランデブーポイント1か所から5km範囲での推定夜間需要は3~132件と大きな地域差が見られた。
結論
①品質評価システムの開発・構築:JSAS-Rの品質指標(QI)として27項目を決定、試算および可視化を行い、良好な結果を得た。次年度は同評価システムをJSAS-Rに実装する。JSAS-I/Aは登録状況の改善を行う。
③ドクターヘリの標準テキスト作成:標準テキスト草案がほぼ完成した。一部項目のエビデンスを調査のうえ、次年度内に標準テキストを完成予定である。
④ドクターヘリ夜間運航に関する研究:夜間運航とリスクに関する文献調査:文献調査結果および専門家の意見を整理した。需要調査では、ドクターヘリ夜間潜在需要は約2.5万件/年、有視界飛行で対応可能な夜間需要には地域差が大きいと考えられた。次年度はパイロットの意見を聴取のうえ、夜間飛行に関する研究班の見解を取りまとめる。

公開日・更新日

公開日
2023-07-03
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-03
更新日
2023-11-10

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222060Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,700,000円
(2)補助金確定額
2,700,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 634,394円
人件費・謝金 0円
旅費 1,866円
その他 1,463,740円
間接経費 600,000円
合計 2,700,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-07-03
更新日
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