医療機関における医療機器安全管理の実態調査に関する研究

文献情報

文献番号
202222058A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関における医療機器安全管理の実態調査に関する研究
課題番号
21IA2015
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
菊地 眞(公益財団法人 医療機器センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,724,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療機器の保守点検については「医療機器の安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について」(平成19年3月厚生労働省医政局指導課長・研究開発振興課長通知)により具体的な内容等が示され、令和3年7月の改定後に医療機器の研修および保守点検指針が取り込まれた。一方、医療機器安全管理を適切に講じるには、医療機関に通知や指針が認知されて活用される必要があるが、安全管理の実態は、平成30年の通知発出後は明かではない。そこで、本研究では、医療機関に対して通知や指針の普及啓発に関する取り組みを行い、これらの取組を通して得られた知見から、医療機器の保守点検等の実行率を上げうる方策の検討を行う。また、通知及び指針の普及状況や実行率向上の方策に関する医療機器安全管理に対するサーベイ調査を行い、これらの結果と医療事故やインシデント分析および関係団体に対する意見聴取を実施して、今後の環境変化を踏まえた安全管理体制確保措置のあり方に関する提言を行う。
研究方法
今年度は医療機器安全管理に関するサーベイ調査と医療機器安全管理の普及啓発活動を実施した。サーベイ調査の内容は医療機器の研修、保守点検、情報収集、通知(「医療機器に係る安全管理のための体制確保に係る運用上の留意点について 」)の認知度などの内容とした。対象の医療機器は「特定保守管理医療機器」とし、全国の医療機関(8138施設、診療所を除く)の医療機器安全管理責任者に対して令和4年11月~12月上旬まで実施された。また、本調査の実施とともに普及啓発活動の取り組みとして、昨年度に開発した医療機器安全管理の普及啓発を目的としたウェブサイトおよびポスターを調査票とともに郵送して周知を行った。
結果と考察
サーベイ調査の結果は、2634施設から回答があり(回答率:約32%)、病床規模や所在地(都道府県)に大きく偏ることなく網羅的に回答を得ることができた。医療機器安全管理の実務に関する設問(研修の実施、保守点検の実施、安全情報の収集など)の結果は実施されている割合が高い傾向にあった。一方、保守点検(日常点検)が実施できていない医療機器には輸液ポンプやシリンジポンプ、生体情報モニタなどが多数挙げられた。通知の認知度については、「知っている」とされた割合が約60%であった。
調査結果より更なる分析を実施した。先ず自由意見の分析では、回答が得られた364件を「診療報酬の要望等」、「医療機器安全管理に関する制度設計の要望等」、「人員に関する要望等」、「人材教育に関する要望等」、「ガイドライン・指針の要望等」、「企業に対する要望等」、「医療機器安全管理の意識の課題」、「その他」に分類し、その結果は「診療報酬の要望等」は42.5%、「医療機器安全管理に関する制度設計の要望等」は15.3%、「人員に関する要望等」は11.1%、「人材教育に関する要望等」は6.6%、「ガイドライン・指針の要望等」は6.3%、「企業に対する要望等」は3.6%、「医療機器安全管理の意識の課題」は3.0%、「その他」は11.7%となった。
また、医療機器安全管理の研修の実施、施設内全ての医療機器の保守点検(日常点検、定期点検)の実施、情報収集、通知の認知などをすべからく実施できている施設(医療機器安全管理が十分に実施されている施設)の抽出を行った。その結果、80施設(回答施設全体の約3%)が該当した。さらに、当該施設における医療機器安全管理に充てる人員や予算に関する設問の結果を分析し、それ以外の施設との比較を行ったところ、人員や予算が確保されている傾向が見受けられた。
これらの二つの分析結果を総合すると、医療機器安全管理の実施には人材や予算が必要と考えられ、医療現場からも診療報酬としての要望が強いと考えられた。このため、医療機器安全管理を十分に講じていくためには、例えば、人材配置や通知で求められている実施項目が全て実施できている場合においては当該施設に対するインセンティブを与えることも必要ではないかと考えられた。
しかしながら、医療機器安全管理が十分に実施されている施設では医療機器安全管理に対する意識が高いことが予想されることから、回答結果にバイアスがかかっていることも考えられる。このため、次年度も引き続き調査結果の分析を実施し、新しいアプローチ(例えば病床数規模の違いによる比較など)で分析を進めていく。
結論
医療機器安全管理に関するサーベイ調査と医療機器安全管理の実施率向上を目的とした普及啓発活動を実施した。
サーベイ調査より、医療機器安全管理の現状と複数の課題を抽出することができ、安全管理体制確保措置のあり方に関する提言のための基礎資料とすることができた。

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222058Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,540,000円
(2)補助金確定額
3,540,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 331,600円
旅費 0円
その他 2,392,400円
間接経費 816,000円
合計 3,540,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-01-09
更新日
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