文献情報
文献番号
202222057A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代の医療情報標準規格への改定等に関する研究
課題番号
21IA2014
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(国立大学法人東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
- 河添 悦昌(東京大学大学院 医学系研究科 医療AI開発学講座)
- 木村 通男(国立大学法人浜松医科大学 医学部附属病院医療情報部)
- 中島 直樹(国立大学法人九州大学 大学病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
9,616,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
昨今、HL7 FHIRが次世代医療情報標準規格として注目され、米国等で急速に仕様策定と実装の試みが始まっている。既存3つの医療文書データ交換について代表者らは令和2年度の厚労科研で改訂案の策定を行い、22年3月にはこれらは厚労省標準規格となった。その他の厚労省標準をはじめ、これまで標準化が困難であった感染症届出個票情報の収集などの領域も含めてHL7 FHIRに対応した広範な領域での保健医療情報の標準規格を策定あるいは改訂していく必要が高まっている。本研究では、標準化の国際動向を調査し、新たな標準規格案の作成、その試行的検討を行うい、標準規格の見直し等を行う。これにより、改訂や見直しによる影響、今後の運用における課題等を洗い出し、課題を解決するための方策を検討する。
研究方法
次世代医療情報標準の利用場面ごとの検討やコア規格の検討について医療情報領域研究者を含む産学関係者50名以上から随時意見交換を行ってHL7FHIR日本実装検討を進め、関係標準化団体と連携する体制で実施した。1)国際化動向の調査と分析には、一般社団法人医療データ活用基盤整備機構に委託する形で実施した。2)アレルギーコード表JFAGYの改訂検討として、初年度に策定したアレルギーコードJFAGYの改訂検討を重ね、網羅性とコードの構造化を整理した。3)感染症届出個票から5様式を選択し効率的にFHIR仕様を策定する方法を検討、4) FHIRの国内コア仕様の拡張と改定を前述のHL7FHIR日本実装検討WGの場を活用して実施し、それを厚労省標準2文書の修正に反映させる方法をとった。5)臨床コア6情報(傷病、アレルギー、薬剤禁忌、検体検査、感染症、処方)を電子カルテ共有サービスに送信するユースケースを想定し、FHIR仕様の策定や緊急検査コアセットを含むコード表の整備を実施した。さらにシステム実装面の効率化や既存システム接続のあり方の検討として、質問票からのFHIRリソース自動生成、既存電子カルテDBデータからの変換、診療情報提供書作成システムでの試験的実装を検討し一部についてプロトタイプを開発した。
結果と考察
1)国際化動向の調査と分析
G7加盟国について、医療制度、医療体制、社会保障等の背景情報を明らかにした上で、各国における取り組みを整理した。いずれの国も国内標準があり、必要に応じて国際標準との対応がはかられている。欧米規制領域では顕著なFHIR活用が進んでおり、FHIRは情報技術基盤として既に定着していると考えられた。
2)アレルギーコード表案に改訂検討を重ね、FHIR仕様で使用できると考えられる網羅性とコードの構造化を整理した。この結果は日本医療情報学会で発表した。
3)次世代医療情報標準にもとづく既存厚労省標準の改訂案の策定
2022年11月にFHIR規格の日本国内様のコア仕様セットJP-CoreのVer1.1としてまとめ公表できた。これにもとづき、厚労省標準2文書等についてアップデート作業を行い、年度末までには逐次公表した。
4)感染症情報の届出票5種のFHIR準拠プロファイルと届出票の作成ができることを示した。この際に、エクセルで定義すれば簡単にこれらが生成可能な手法を提案し検証できた。
5)6情報についてFHIR仕様のプロファイル定義と実装ガイドを作成し、救急時等の検査項目表を含む検査項目について情報項目のFHIRへの適合性を検証できる手法を策定するとともに、暫定的な公開もしくは関係者への提供をおこなった。
FHIRを今後普及させていく上でのさまざまな仕様、ツール、検証や実装手法に関する知見、課題等が得られている。これらをわかりやすいひとつのドキュメントにするとともに、Q&A情報の充実、実装や普及に関するコンサルテーション体制を整備することも必要と考えられた。
G7加盟国について、医療制度、医療体制、社会保障等の背景情報を明らかにした上で、各国における取り組みを整理した。いずれの国も国内標準があり、必要に応じて国際標準との対応がはかられている。欧米規制領域では顕著なFHIR活用が進んでおり、FHIRは情報技術基盤として既に定着していると考えられた。
2)アレルギーコード表案に改訂検討を重ね、FHIR仕様で使用できると考えられる網羅性とコードの構造化を整理した。この結果は日本医療情報学会で発表した。
3)次世代医療情報標準にもとづく既存厚労省標準の改訂案の策定
2022年11月にFHIR規格の日本国内様のコア仕様セットJP-CoreのVer1.1としてまとめ公表できた。これにもとづき、厚労省標準2文書等についてアップデート作業を行い、年度末までには逐次公表した。
4)感染症情報の届出票5種のFHIR準拠プロファイルと届出票の作成ができることを示した。この際に、エクセルで定義すれば簡単にこれらが生成可能な手法を提案し検証できた。
5)6情報についてFHIR仕様のプロファイル定義と実装ガイドを作成し、救急時等の検査項目表を含む検査項目について情報項目のFHIRへの適合性を検証できる手法を策定するとともに、暫定的な公開もしくは関係者への提供をおこなった。
FHIRを今後普及させていく上でのさまざまな仕様、ツール、検証や実装手法に関する知見、課題等が得られている。これらをわかりやすいひとつのドキュメントにするとともに、Q&A情報の充実、実装や普及に関するコンサルテーション体制を整備することも必要と考えられた。
結論
HL7 FHIRについて、厚生労働省標準規格をはじめとする標準化の国際動向を調査、次世代の新たな標準規格として今後必要となる規格案の作成、その試行的運用、規格の検証方法、実装方法、既存の標準からの変換方法などについて幅広い知見が得られるとともに、これまでの研究開発により策定、公表されたFHIR準拠仕様の効率的な実装とシステム検証の方法について成果が得られた。またコアとなる日本実装規格JP-COREの改訂公表、感染症情報報告のFHIR仕様作成手法の提案、アレルギーコードの整備、厚生労働省の提示するいわゆる臨床6情報のFHIR仕様について策定、実装ガイドが策定でき、それぞれ公表もしくは関係者に提供された。
公開日・更新日
公開日
2023-06-06
更新日
-