献体による効果的医療技術教育システムの普及促進に関する研究

文献情報

文献番号
202222054A
報告書区分
総括
研究課題名
献体による効果的医療技術教育システムの普及促進に関する研究
課題番号
21IA2011
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
波多野 悦朗(一般社団法人日本外科学会)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
977,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高度な手術治療を安全に提供するにはトレーニングが欠かせない。従来手術手技の修練にはOJT(on the job training)が行われてきたが、高難度手術や希な疾患の手術法の習得には、献体を使用した手術手技研修(CST: Cadaver Surgical Training)が有効である。国内でのCSTは2012年に日本外科学会と日本解剖学会により『臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン』を制定したことにより可能となった。また、厚労省の『実践的な手術手技向上研修事業』の予算措置により、実施例は全国で増加の一途にあり、ガイドライン公表後の10年間で38の医科大学で2,677回CST等が実施され、のべ26,123人が参加している(文献1)。
これまで、ガイドラインの記載に沿って、日本外科学会CST推進委員会が各大学のCST等の報告書を受理し、実施内容の妥当性、予算運営の公正性、企業関連のCOI等に関する透明性を審査し、必要に応じて指導を行い承認してきたが、CSTの普及に伴い報告書の約4/5は日本外科学会の領域外となっているのが現状である(図1)。このような背景から、これまで日本外科学会が行ってきた各大学のCSTの審査、ガイドライン改訂などのルール策定、並びに将来構想の策定等の業務は、将来的には外科系各領域を統括する組織が行いつつ、各領域でプロフェッショナル・オートノミーを強化することで、CSTを健全に普及させる必要性も生じてきた。
そこで、本研究は、これまでの地域医療基盤開発推進研究事業「献体による効果的医療技術教育システムの普及促進に関する研究」の成果を踏まえ、新団体の設立や、日本医学会連合による統括体制の移行などを想定し、新たなCSTを統括する組織の構築のために、これまでのCST報告の問題点を洗い出し、提言案をまとめることを目的とした。
研究方法
CSTの普及により、これまで日本外科学会が行ってきた各大学のCSTの審査、ガイドライン改訂などのルール策定、並びに将来構想の策定等の業務は、日本医学会連合等の組織のような、外科系の各領域と解剖学を統括する組織が行う必要性が生じてきた。そこで、本研究では、これまでの地域医療基盤開発推進研究事業「献体による効果的医療技術教育システムの普及促進に関する研究」の成果を踏まえ、日本外科学会CST推進委員会、日本解剖学会、臨床系各領域の専門学会、ならびに日本医学会連合の協力を得て、下記の4つの課題を掲げた活動を行ってきた。本年度は、新たなCSTを統括する組織“CST評価委員会(仮称)”の確立を前提とした組織の再編成と、新ガイドラインの作成の準備などを行うこととした。
本研究の4つの課題
・現行の報告システムの改善
・プロフェッショナル・オートノミーの強化
・CSTの課題を解決する新ガイドラインの作成
・一般市民に理解していただくための啓発活動
結果と考察
ガイドラインの公表から10年が経過し、これまでCSTは順調に普及してきたが、一度不適切な実施が社会問題になると、これまで普及のために行ってきた活動全てが水泡に帰す可能性がある。今後わが国のCSTをさらに健全に発展させるためには、外科系学会全体にCSTガイドラインを周知させ、各学会のプロフェッショナル・オートノミーを高める必要がある。また、今まで日本外科学会が担ってきたCSTを統括する業務は、外科系各学会を統括する新団体や日本医学会連合などの上位の学術団体へ移行するのが理想的であり、それに伴い審査システムの改善と、新体制によるガイドライン改訂を行うことが望ましい。
結論
初年度に提示した4提案に沿って研究を進めた。今後わが国のCSTをさらに健全に発展させるためには、外科系学会全体でCSTガイドラインを周知させ、各学会のプロフェッショナル・オートノミーを高める必要がある。最終年度には、日本外科学会に代わる新団体の設立や、日本医学会連合へのCST機能の移転の可能性を多角的に検討するとともに、それに伴う審査システムの改善と、新体制によるガイドライン改訂を検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
2023-07-21

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222054Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,260,000円
(2)補助金確定額
1,260,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 145,805円
人件費・謝金 80,000円
旅費 1,027,110円
その他 938,009円
間接経費 283,000円
合計 2,473,924円

備考

備考
対面会議のために予定より旅費が多くかかってしまった。

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-