海外の制度等の状況を踏まえた離島・へき地等におけるオンライン診療の体制の構築についての研究

文献情報

文献番号
202222050A
報告書区分
総括
研究課題名
海外の制度等の状況を踏まえた離島・へき地等におけるオンライン診療の体制の構築についての研究
課題番号
21IA2007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
原田 昌範(公益社団法人地域医療振興協会 地域医療研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 古城 隆雄(自治医科大学地域医療学センター)
  • 阿江 竜介(自治医科大学医学部)
  • 山本 隆一(一般財団法人医療情報システム開発センター 理事長室)
  • 岡本 左和子(公立大学法人奈良県立医科大学  医学部 教育開発センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,675,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
コロナ禍における諸外国のオンライン診療の現状を追加調査し、我が国の制度と比較し、指針の改訂等に活かす。山口県の実証や全国の有効な実例を集積・整理し、モデル事例がどうすれば全国のへき地で安全性・信頼性を担保して活用できるのかを明らかにする。また、へき地医療の確保につながるオンライン服薬指導や電子処方箋、遠隔医療健康相談の活用についても実証を行う。
研究方法
国内へき地におけるオンライン療の実態および諸外国のオンライン診療の実施状況を調査した。令和元年からの山口県のへき地における実証を継続し、異なる場所で新規実証も検討した。へき地におけるオンライン服薬指導、ネットワークやセキュリティ等に関する課題を整理した。また、医師不足地域における5G回線を用いた遠隔支援や遠隔健康医療相談の活用、近年課題となったオンライン診療におけるセキュリティ要件の見直しや不適切な診療に関する研究も行った。
具体的な方法は、次の7項目(①〜⑦)に分けて記載する。なお、オンライン診療のニーズに関する調査(古城班)、へき地医療におけるオンライン診療の有用性の高い対象の特定のための研究(阿江班)については、それぞれ分担研究報告書にて報告する。

① 国内へき地におけるオンライン診療の実態に関する研究
② 諸外国におけるオンライン診療の実施状況の調査
③ 山口県内の離島・へき地における地域特性に合わせたオンライン診療の活用についての研究など
④ へき地診療所における遠隔診療支援システムの利用可能性
⑤ オンライン服薬指導と電子処方箋
⑥ 小児科・産婦人科・助産師による遠隔健康医療相談の実態調査
⑦ 不適切診療等について
結果と考察
山口県内では、令和元年からへき地4箇所で実証を開始し、令和3年度から、非常勤体制となった離島やへき地の病院等など新たに4箇所を加えたところ、オンライン診療支援者(特に看護師)の存在が重要であることが共有された。県外でも佐賀県や和歌山県など好事例を調査した。へき地に勤務する若手医師等を5G回線や新たなデバイスでリアルタイムに遠隔支援できる仕組み(D to P with D)についても県内で実証を進めた。今年度は、山口県内におけるコロナ陽性患者(第8波)のへき地でのオンライン診療の利用状況を分析し、時間的・経済的コストについて試算した。2023年1月に運用が始まった電子処方箋について、アンケート調査を行い、離島・へき地の住民に対する薬学的サービスの提供に有用であると期待された。遠隔健康医療相談は、へき地住民だけでなく、医療機関向けに提供することについて、医療機関側にも一定のニーズがあることが確認された。
 コロナウイルス感染症がきっかけで、オンライン診療の規制が世界的に大幅に緩和されたが、セキュリティの問題、ダイエット目的に糖尿病治療薬を処方するなどの不適切な処方、へき地と都市部のデジタル・デバイドという新たな課題も生じた。分担研究の阿江班では、どの地域に、どのような患者にオンライン診療を優先的に導入すべきか、具体的にスコア化するなどして示すことを進めている。医師が不足するへき地においても地域包括ケアを推進するために、どのようにオンライン診療を組み合わせるのか、多くの課題に対して、海外の好事例を調査しつつ、実証を重ねていく必要がある。
結論
元来、医療へのアクセスが制限される離島・へき地においてオンライン診療は期待され限定的に認められてきたが、様々規制等により十分に活用されてこなかった。新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、オンライン診療に関する規制が国内外で大幅に緩和されたが、分担研究の古城班の報告によるとはへき地での活用の余地は大きい。そのため、国内外の好事例を参考に、オンライン診療がどのような場面で、どのように役立つかといった具体的な提案を示すことが重要である。

公開日・更新日

公開日
2023-07-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-07-21
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222050Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,000,000円
(2)補助金確定額
2,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 693,600円
人件費・謝金 148,800円
旅費 39,100円
その他 793,500円
間接経費 325,000円
合計 2,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2023-07-21
更新日
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