死因究明等の推進に関する研究

文献情報

文献番号
202222049A
報告書区分
総括
研究課題名
死因究明等の推進に関する研究
課題番号
21IA2006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
細川 秀一(公益社団法人日本医師会)
研究分担者(所属機関)
  • 渡辺 弘司(公益社団法人 日本医師会)
  • 澤 倫太郎(公益社団法人 日本医師会 総合政策研究機構)
  • 上野 智明(日本医師会ORCA管理機構株式会社)
  • 水谷 渉(公益社団法人 日本医師会 総合政策研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,050,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
高齢化の進展に伴う死亡数増加や、新興感染症や大規模災害の発生時の検案等、死因究明とその体制強化の重要性はますます高まっている。令和3年6月には、新たな「死因究明等推進計画」が閣議決定され、そこでは、“死亡診断書(死体検案書)の様式、その電子的提出等の在り方についての検討の必要性”が課題として指摘されている他、①死亡診断書(死体検案書)の様式等の必要な見直しと、死亡診断書(死体検案書)の電子的交付の実現可能な体制等の方向性を示すこと、②検案に際して行われる検査の費用や検案書発行料等の金額の基準や算定根拠の在り方についての、地方公共団体への還元、といった事項が、死因究明等に関し講ずべき施策として記されている。そこで、令和4年度の研究においては、①については、死亡診断書(死体検案書)の電子化によって得られる死因情報の活用の在り方を課題とし、死亡届のワンストップ化を目指した構想の検証を目標とした。②については、本研究における検案料の考え方を精査し、地域の地方協議会での議論の場に還元することをめざした。
研究方法
死亡診断書(死体検案書)の電子化によって得られる死因情報の活用の在り方については、本研究の成果物である死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフト(以下、『「DiedAi」』という。)の機能追加を行うとともに、令和3年度、死亡診断書(死体検案書)の電子的交付の実証的運用のために立ち上げられた研究班で指摘された課題を踏まえ、死亡届も含めた電子化、電子的送付、また戸籍システムと一貫してつなげる構想について検証した。死体検案時の諸検査、体制及び費用負担の在り方については、これまでの検討内容をもとに、日本医師会内の関係委員会委員に対してヒアリングを実施し、寄せられた意見をとりまとめ、総括的な検証を行った。
結果と考察
死亡診断書(死体検案書)の電子化においては、「DiedAi」に基本的な機能追加を実施した。今後、死亡診断書(死体検案書)のみならず、死亡届の電子的交付がなされることも視野に入れて、機能をさらに追加して開発を継続していくことが必要と考えられた。電子化によって得られる死因情報の活用の在り方については、上記の実証的運用のための研究班において、死亡届のワンストップ化の流れのイメージを描き、次年度研究での実証実験を見据えた構想をとりまとめた。死亡届(電子申請)のワンストップ化、自治体システムの統一・標準化、民間とのやりとりのDX化が実現されれば、医療機関や関連機関でのデータ共有のみならず、将来的には国が保有するデータとしての利活用の推進に結び付くのではないかと考えられる。死因情報の活用という点では、過去の研究において考察した、死因情報を公衆衛生に活かすという視点を踏まえ、大規模災害下での起こり得る事態を想定し、二次的にもたらされる事象を例示した。一方で、得られた死因情報を公衆衛生向上に活用するという点では、来年度以降、大規模災害発生時の死因究明、検案体制の在り方、遺体の保存・搬送、死亡診断書等の発行、埋火葬とこれらの手続きといった視点も含めて検討を進めることが必要と考えられた。検案の際の検査費用や検案書発行料等の金額の基準や算定根拠の在り方については、警察活動に協力する医師へのヒアリングによって、本研究において策定した検案料についての考え方が実体性のあるものと確認され、次年度研究において実施予定の、検案医や警察医を対象とした全国的な調査に活かせる成果が得られた。同一の都道府県の中でも検案料の考え方にばらつきが見受けられることから、地域の状況を把握しつつ、今回実施した警察活動等へ協力する医師等へのヒアリング結果をもとに、検案医に対して全国的な調査を実施することを目標としたい。
結論
国においては、令和5年度より、令和3年6月に策定された死因究明等推進計画の見直しに向けた検討が開始される。新たな推進計画の策定に関しては、本研究班の研究成果をもとに効果的な提言や新たな施策として具現化できるよう、次年度の研究においても、引き続き議論を深化されることが必要と考えられた。研究によって得られた結果を各地域の死因究明等推進協議会に還元することによって、協議会での具体的な議論の発展に寄与したい。

公開日・更新日

公開日
2023-06-12
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222049Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,050,000円
(2)補助金確定額
953,000円
差引額 [(1)-(2)]
97,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 0円
人件費・謝金 90,000円
旅費 59,180円
その他 804,375円
間接経費 0円
合計 953,555円

備考

備考
自己資金555円

公開日・更新日

公開日
2024-03-01
更新日
-