JAMEP基本的臨床能力評価試験(GM-ITE:General Medicine In-Training Examination)質向上についての研究

文献情報

文献番号
202222047A
報告書区分
総括
研究課題名
JAMEP基本的臨床能力評価試験(GM-ITE:General Medicine In-Training Examination)質向上についての研究
課題番号
21IA2004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
西崎 祐史(順天堂大学医学部 医学教育研究室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,347,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究班では、初期臨床研修医の客観的臨床能力評価のために開発された「基本的臨床能力評価試験(GM-ITE: General Medicine In-Training Examination)」の質向上を主な目的とする。また、GM-ITEの結果及び研修環境調査アンケートの結果を活用したデータ解析を実施し、至適な研修教育環境に関するエビデンスを発信する。
研究方法
「GM-ITE問題作成プロセスのブラッシュアップ」、「CBT(Computer-Based-Testing)導入による試験問題管理の効率化」、「実践経験の評価に即した問題作成」、「GM-ITEバリデーション(GM-ITEの国際的妥当性等の検証)」、「研修医労働時間及び研修環境と基本的臨床能力評価試験等との関連性の検討」、「新旧臨床研修プログラムの比較」の6つのプロジェクトを同時進行している。
結果と考察
「GM-ITE問題作成プロセスのブラッシュアップ」については、2022年度問題作成に向けて、11回のウェブ会議を行い、問題作成委員を中心にのべ60名が会議に参加した。2021年度の試験結果データを基に、本年度試験の出題分野や難易度等について、活発な議論がなされ、問題作成プロセスのブラッシュアップが図られた。「CBT導入による試験問題管理の効率化」については、2021年度に引き続きMoodleを使用したCBTを実施し大きな問題はなかった。試験の更なる質向上を目指し、厚労科研「ICTを利用した医学教育コンテンツの開発と活用に向けた研究(河北班)」と会議(2022年8月3日)を行い、主にCBT運用面について意見交換を行った。「実践経験の評価に即した問題作成」については、56名の研修医がパイロット的に受験した患者再現VTR問題の試験結果を解析した。その結果、本問題は「総論(医療面接・プロフェッショナリズム)」、「症候学・臨床推論」、「身体診察法・臨床手技」、「疾病各論」の4つのドメインで高い識別指数を示した。「GM-ITEバリデーション(GM-ITEの国際的妥当性等の検証)」については、タイのマヒドン大学の研究グループとの国際共同研究が進捗した。具体的には、タイにおける倫理委員会での承認が得られ、タイの医学生と研修医を対象とした国際比較研究実施の準備が整った。「研修医労働時間及び研修環境と基本的臨床能力評価試験等との関連性の検討」については、研修医のメンタルヘルスという観点では、うつ、バーンアウト、高ストレスの有病率は週平均労働時間が90時間以上で有意に増加することが分かった。新型コロナウィルス感染症診療に関しては、2021年2月に実施した研修環境調査アンケート(n=5,976)の結果から、47%(2,807名)の研修医が新型コロナウィルス感染症診療を経験していないことが分かった。また、1年後(2022年2月)に実施したアンケート(n=3,869)の結果からは、30.9%(1,195名)の研修医が新型コロナウィルス感染症診療未経験であることが分かった。さらに、過剰な新型コロナウィルス感染症診療経験は研修医のバーンアウトと有意な関連性を示し、個人防護具(Personal Protective Equipment; PPE)の十分な支給が、研修医バーンアウト罹患割合と、負の関連性を示した。「新旧臨床研修プログラムの比較」については、解析可能なデータ規模の拡張を目的とした研究計画変更の申請を行った。倫理委員会における審査により、2022年9月に研究計画変更が承認された。
 本研究班の様々な取組みが功を奏し、GM-ITE受験者数および参加施設数は前年度の数を上回った。また、本研究班から発信されるエビデンスは、研修医の働き方改革や新興感染症流行時の研修医教育の在り方等を検討する上で、貴重な資料となる。本研究班から発信される情報が、研修医教育に関する医療政策に資する資料となることが期待される。
結論
2022年度GM-ITEには、全国662施設、9,011名の研修医が参加し、前年度の受験者数を上回った。GM-ITEの問題作成に向けた問題作成委員会等の体制強化、CBT導入による効率化、動画問題や患者再現VTR問題を中心とした実践経験の評価に即した試験問題の充実化、GM-ITEの妥当性の検証等に基づいた様々な取組みが、受験者数の増加に繋がった。また、研修医のうつ、バーンアウト、高ストレスの有病率は週平均労働時間が90時間以上で有意に増加する可能性が示された。研修指導責任者は、研修医の基本的臨床能力の開発とメンタルヘルスの保護の両方のバランスを取りながら研修指導に取り組む必要がある。

公開日・更新日

公開日
2023-05-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222047Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,750,000円
(2)補助金確定額
1,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 19,250円
人件費・謝金 205,760円
旅費 46,260円
その他 1,075,803円
間接経費 403,000円
合計 1,750,073円

備考

備考
自己資金73円

公開日・更新日

公開日
2024-02-08
更新日
-