医師の労働時間短縮のための手法に関する検討

文献情報

文献番号
202222045A
報告書区分
総括
研究課題名
医師の労働時間短縮のための手法に関する検討
課題番号
21IA2002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
馬場 秀夫(熊本大学大学院生命科学研究部 消化器外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 掛地 吉弘(神戸大学大学院医学研究院 食道胃腸外学)
  • 武冨 紹信(北海道大学大学院医学研究科 外科学講座消化器外科学分野I)
  • 平井 俊範(国立大学法人 熊本大学 放射線診断学講座)
  • 生田 義浩(熊本大学病院 中央手術部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
1,185,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医師の時間外労働の上限規制が適用される2024年4月に向け、「厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」がとりまとめた報告書において、医師の労働時間短縮のためには「医療従事者の合意形成のもとでの業務の移管や共同化(タスク・シフティング、タスク・シェアリング)」を徹底して取り組んでいく必要があるとされた。さらに、「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフト/シェアの推進に関する検討会」において、医療専門職種の法令等を精査した上で、タスク・シフト/シェアの具体的な検討が行われ、令和2年12月に「議論の整理」がとりまとめられた。その中で、現行制度の下で実施可能な業務のうち特に推進するものとして、患者への説明と同意の取得、各種書類の下書き・仮作成、診察前の予診・問診、患者の誘導が挙げられている。医師が行う業務には、患者毎に医学的な判断のもと異なった対応を必要とする業務がある一方、上述の特に推進するとされたタスク・シフト/シェア対象の業務は、一定程度、定型的な対応が可能であると考えられる。これらの業務についてタスク・シフト/シェアを推進するに当たっては、定型事項に関して、音声付き動画による説明(検査・輸血・麻酔・手術他)用のDVD等の資材を作成することで、医師の説明時間の大幅な短縮と業務の効率化が図られ、臨床上極めて有用と考えられる。
本研究においては、そうした定型的な対応が可能な業務を抽出し、当該事項についてのDVD等の資材の作成やその有効性の検証等を行い、各医療機関における実装を進めることで、医師の働き方改革に関わる一連の制度の円滑な運用に資することを目的とする。
研究方法
前年度の研究結果において、画像診断、輸血、麻酔、手術、内視鏡検査の同意書が、取得された同意書のおよそ半数を占めていることがわかったことから、これらの同意書について優先的に資材を作成することとした。作成に当たっては多診療科、多職種において検証を行った。また、資材の活用を行う上で、医師の労働時間がどれくらい短縮されるかを評価するためにアンケートの作成を行った。
結果と考察
研究1年目の令和3年度に行った調査では、電子カルテシステムを用いて2020年4月~6月における熊本大学全体で患者から取得された同意書の種別、件数、発行診療科等を抽出した。該当する同意書取得件数は27,710件であった。診療科別の上位3診療科は消化器内科(3,867件)、消化器外科(3,559件)、循環器内科(1,860件)であった。同意書の種類としては画像診断(造影CT、MRI、PET-CT)に関する同意書が6,293件と最も多く、続いて輸血に関する同意書(2,745件)、手術に関する同意書(1,653件)、内視鏡に関する同意書(1,535件)、麻酔に関する同意書(1,363件)でおよそ半数を占めていた。
研究2年目の令和4年度において、令和3年度の結果を基に、資材の作成を行った。資材の作成に当たっては、院内の関連診療科及び多職種にて検討したほか、関連施設や関連学会等にも適宜情報共有を行い、目的としていた画像診断(造影CT)、輸血、麻酔に関する同意取得の内容について音声付きの動画を作成した。また、研究代表者の専門分野と関連する、消化管内視鏡検査及び消化器手術に関する動画の作成も行った。
資材の作成については班会議において適宜進捗状況を共有しながら、必要な内容等の修正を行った。また、今後資材の活用を行うにあたり、医師の労働時間の変化を定量的に評価する方法について検討し、アンケート調査を行うこととした。
結論
今後作成した資材を実際の臨床現場において用いながら医師の労働時間の短縮効果について検証していく。

公開日・更新日

公開日
2023-06-14
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-14
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222045Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,540,000円
(2)補助金確定額
1,474,000円
差引額 [(1)-(2)]
66,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 825,727円
人件費・謝金 210,039円
旅費 71,700円
その他 15,000円
間接経費 355,000円
合計 1,477,466円

備考

備考
自己資金:3,466円

公開日・更新日

公開日
2024-02-28
更新日
-