看護と歯科口腔ケア分野の医療情報標準化とFHIR仕様策定に関する研究

文献情報

文献番号
202222041A
報告書区分
総括
研究課題名
看護と歯科口腔ケア分野の医療情報標準化とFHIR仕様策定に関する研究
課題番号
22IA1015
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(国立大学法人東京大学)
研究分担者(所属機関)
  • 秋山 智弥(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 井田 有亮(東京大学 医学部附属病院)
  • 鈴木 志保子(神奈川県立保健福祉大学 保健福祉)
  • 利光 久美子(愛媛大学医学部附属病院 栄養部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,300,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、データ利活用のための標準規格の確立等に向け、訪問看護や栄養管理などを含めた看護・歯科口腔ケア等の領域における医療の質・利便性の向上を図るため、これらの重要な領域において、標準化が必要な 文書・情報等を検討し、次世代医療情報標準規格である HL7FHIR 等に適用可能な規格を策定することが重要である。これら看護、栄養、歯科高校の3領域は密接、医療、看護、介護連携において密接に関連する情報が多く、重なる情報項目も多いことから一体的に検討することにより、保険医療機関、歯科診療期間、介護施設等との相互間の健康医療介護情報の連携を効率的に実施できるこれら情報の次世代標準化案の策定を目的とする。
研究方法
看護、歯科、栄養情報の 3 分野に分けて並行して実施し、常に3分野全員が研究班会議に出席して情報共有を行い、全体として一体的に進めた。(1)看護領域においては、診療報酬算定における別紙様式 50「看護及び栄養管理等に関する情報」をもとに標準化を検討した。項目は、必須・選択、項目分類(大分類、中分類)、項目表示名、数値型形式、表示用単位、データタイプ、コード内容とした。以上の整理結果をFHIRリソースとFHIR要素(FHIR path記述)を対応付け、課題を整理した。また、訪問看護事業所等を対象に医療、介護、看護連携情報の洗い出し、整理を実施した。さらに(2)栄養管理、在宅訪問栄養食事指導時の栄養情報、介護報酬で活用している様式を中心に標準化を検討した。(3)歯科口腔ケア領域では、診療報酬加算等における情報記載様式をもとにこれらの標準化を検討した。なお、遂行にあたって、細野純(日本歯科医師会理事)、吉江悟(一般社団法人Neighborhood Care)、青木美和(東京大大学院医学系研究科)の各氏が研究協力者として参画した。
結果と考察
看護情報の標準化:他施設との情報連携の観点から診療報酬算定における別紙様式50における看護情報提供データは全133項目で、大分類としては7つに設定された。整理したリソースの種類は、15リソースであった。今後、看護・歯科口腔ケア・栄養等の特定分野において情報連携のための FHIR 準拠の標準仕様を策定していく。それらの標準仕様をもとに、計算機処理可能な形で情報共有や相互運用が将来可能となれば、医療、栄養、看護、歯科口腔ケアやリハビリを含む介護等の各施設間でそれぞれ別々に行われている情報連携が、一体的に行われ効率のよい情報共有とそれによる歯科口腔ケアを含めた医療看護介護連携の質の向上が期待できると考えられる。訪問看護拠点連携では、共有されると良い情報の範囲については、各事業所(やその事業所が所在する地域)で使われている記録媒体や情報基盤の状況によって左右される様子であった。日次、月次の記録・入力の負担が増加しないことを求める声が多く聴かれ、今後こうした入力負荷に対する考慮も非常に重要であると考えられた。
結論
看護において、様式50の最初の2ページの全項目を分解して整理表を作成でき、HL7FHIR規格におけるリソースタイプと要素項目への対応づけ案が作成された。また、訪問看護拠点連携では、共有されると良い情報の範囲については、各事業所やその事業所が所在する地域で使われている記録媒体や情報基盤の状況によって左右される状況が把握できた。日次、月次の記録・入力の負担の軽減を考慮することも今後の課題である。さらに栄養情報領域では、栄養管理情報の項目についてFHIR仕様化に必要なコード表が試作できた。
看護情報の標準化は、継続看護の推進に大きく繋がるものであり、保健医療介護の情報の利活用とともに、国民一人ひとりの健康増進、疾病予防・重症化予防、重度化予防・介護予防に寄与することができる。リソースマッピングの観点から区別し難い項目もあり、看護情報提供書の項目についても更に分析が必要である。今後、FHIR準拠仕様の策定を進め、profileに基づきvalidationを実施していく必要がある。また、・看護、歯科口腔、栄誉の各領域について、標準化対象様式の整理表、リストをもとに、来年度のFHIR化作業の基礎資料と基礎的な検討ができているが、米国のFHIR規格において対応する情報項目が必ずしも存在しないものについてFHIRの枠組みを使用しつつも、国ごと領域ごとに再定義が認められている拡張(FHIR Extension)の仕様を使った拡張定義を行なっていく必要がある。

公開日・更新日

公開日
2023-06-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222041Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,990,000円
(2)補助金確定額
2,183,000円
差引額 [(1)-(2)]
807,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 443,483円
人件費・謝金 60,280円
旅費 0円
その他 990,000円
間接経費 690,000円
合計 2,183,763円

備考

備考
自己資金 763円

公開日・更新日

公開日
2023-12-20
更新日
-