文献情報
文献番号
202222040A
報告書区分
総括
研究課題名
希少疾病・難病等の分野における診療ガイドライン等の評価に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
22IA1014
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
堀田 信之(横浜市立大学 附属病院 化学療法センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
公益財団法人日本医療機能評価機構(Minds)では、ガイドラインを「システマティックレビューによりエビデンス総体を評価し(略)推奨を提示する文書」と定義している。Mindsではガイドラインについて2つの異なるレベルの評価法を提唱しており、いずれも国際的に使われている基準である。(Minds診療ガイドライン作成マニュアル2020 ver.3.0)
1つ目はガイドライン全体の評価であり AGREE IIを用いる。AGREE IIの評価項目は「問1、ガイドライン全体の目的が具体的に記載されている」のように、非希少・非難病の疾患(以下一般疾患)でも希少疾患・難病等でも達成可能な内容が多い。
2つ目は採用したエビデンスの評価であり、GRADEを用い、現代の診療ガイドライン作成の中核である(Schünemann. GRADE Handbook)。GRADEはエビデンスの確実性を「A(強い)」「B(中程度)」「C(弱い)」「D(とても弱い)」の4段階で評価する。A(強い)は質の高いランダム化比較試験、C(弱い)は比較群のある質の高い観察研究、が概ね相当する。希少疾病・難病等の場合、ランダム化試験や大規模観察研究が行われておらず、小規模観察研究やケースシリーズ等からエビデンスを抽出せざるを得ないことがほとんどである。結果として、希少疾患に関するエビデンスの大半は「エビデンスの確実性D(とても弱い)」と評価されてしまう。希少疾患・難病ガイドラインでは「エビデンスの確実性D(とても弱い)」を細かく評価する必要性がある。
GRADEシステムにより希少疾患のエビデンスに与えられるD(とても弱い)の評価はA(強い)、B(中程度)、C(弱い)と同一スペクトラムに乗っている。そのため、希少疾患・難病独自のエビデンススケールを開発するより、「D(とても弱い)」の細分化(例えばD1~D4)を行った方が利便性があり、国内外の研究者に受け入れられるであろう。「エビデンスの確実性D(とても弱い)」の細分化は国内外で試みがなく、本研究の特色・独創的な点である。
本研究の目的は、希少疾患・難病ガイドライン作成における諸問題を整理するとともに、希少疾患用に適用できるエビデンス評価スケールを作成することである。
1つ目はガイドライン全体の評価であり AGREE IIを用いる。AGREE IIの評価項目は「問1、ガイドライン全体の目的が具体的に記載されている」のように、非希少・非難病の疾患(以下一般疾患)でも希少疾患・難病等でも達成可能な内容が多い。
2つ目は採用したエビデンスの評価であり、GRADEを用い、現代の診療ガイドライン作成の中核である(Schünemann. GRADE Handbook)。GRADEはエビデンスの確実性を「A(強い)」「B(中程度)」「C(弱い)」「D(とても弱い)」の4段階で評価する。A(強い)は質の高いランダム化比較試験、C(弱い)は比較群のある質の高い観察研究、が概ね相当する。希少疾病・難病等の場合、ランダム化試験や大規模観察研究が行われておらず、小規模観察研究やケースシリーズ等からエビデンスを抽出せざるを得ないことがほとんどである。結果として、希少疾患に関するエビデンスの大半は「エビデンスの確実性D(とても弱い)」と評価されてしまう。希少疾患・難病ガイドラインでは「エビデンスの確実性D(とても弱い)」を細かく評価する必要性がある。
GRADEシステムにより希少疾患のエビデンスに与えられるD(とても弱い)の評価はA(強い)、B(中程度)、C(弱い)と同一スペクトラムに乗っている。そのため、希少疾患・難病独自のエビデンススケールを開発するより、「D(とても弱い)」の細分化(例えばD1~D4)を行った方が利便性があり、国内外の研究者に受け入れられるであろう。「エビデンスの確実性D(とても弱い)」の細分化は国内外で試みがなく、本研究の特色・独創的な点である。
本研究の目的は、希少疾患・難病ガイドライン作成における諸問題を整理するとともに、希少疾患用に適用できるエビデンス評価スケールを作成することである。
研究方法
肺外結核・希少癌・希少膠原病・ベーチェット病につき、日本・英国・米国のガイドラインがどのようなエビデンスに基づき、どのような推奨を行っているのかを調査する。調査においては、PubMed、Web of Science、Embaseにより論文化されているガイドライン(ステートメントを含む)を網羅的に検索する。Web of Scienceは有償契約だが、所属先で契約があり利用可能である。Embaseも有償契約だが、堀田は英国Royal Society of Medicineの会員であり、利用が可能である。これらのデータベースから漏れている書籍を検索するために、Google、Amazonの検索機能を活用する。
検出されたガイドラインの作成過程を調査する。特に、策定された診療ガイドラインが国際的に評価されている NICEを有する英国のガイドラインおよびその作成過程は詳細に確認する。
検出されたガイドラインの作成過程を調査する。特に、策定された診療ガイドラインが国際的に評価されている NICEを有する英国のガイドラインおよびその作成過程は詳細に確認する。
結果と考察
一般にガイドラインに引用される臨床研究は、疾患により性質が大きく異なることが確認された。希少疾患・難病の臨床研究は、患者集積が困難で第I相~単群第II相試験止まりのことが多く、基礎研究との橋渡し的な要素が強く、評価基準の厳しい現行のGRADEシステムでは十分な評価が難しいことも確認された。また、エビデンスが不十分のため、有力研究者のエキスパートオピニオンでガイドラインの推奨が決定される傾向が強いことも確認された。調査の結果希少疾患・難病においては、GRADEシステムではエビデンスの評価が困難であることが確認された。
結論
来年度も研究の継続が必要である。
公開日・更新日
公開日
2023-06-14
更新日
-