潜在看護職の復職に係る実態把握及び効果的な支援方策の検討のための研究

文献情報

文献番号
202222039A
報告書区分
総括
研究課題名
潜在看護職の復職に係る実態把握及び効果的な支援方策の検討のための研究
課題番号
22IA1013
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
武村 雪絵(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 市川 奈央子(東京大学 大学院医学系研究科)
  • 磯部 環(東京大学 大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
4,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 多様な背景を持つ潜在看護職の効果的な復職には、個別の状態とニーズに応じた学習を自ら組み立て、場所や時間に制約されずに学習を進められる復職支援プログラムが求められる。本研究は、潜在看護職に対する新たな復職支援プログラムのあり方を提案するために、求職者(看護職)、求人者(医療介護施設)、復職支援者(ナースセンター等)への調査から復職に関するニーズと復職支援の実態を明らかにし、開発すべきプログラムコンテンツの内容、構成、効果的な提供方法等を検討することを目的とする。具体的には次の4つの研究を行う。
1.復職支援における看護職及び求人施設のニーズの把握
2.復職支援の先駆的な取り組み及び好事例の情報収集
3.ナースセンターで実施されている復職支援の実態把握
4.復職支援プログラム開発ニーズの同定、及び、実現可能で効果的な復職支援実施方法の検討
 今年度は、1.復職支援における看護職及び求人施設のニーズの把握としてインターネット調査を実施し、2.復職支援の先駆的事例・好事例の情報収集として事業所視察とインタビューを実施した。
研究方法
1.復職支援における看護職及び求人施設のニーズの把握
1)看護職調査
 3ヶ月以上の離職経験のある就業・非就業看護職を対象に、インターネット上で無記名アンケート調査を実施した。研究参加者は都道府県ナースセンターを介して募集した。個人属性、就業歴、離職理由、復職動機、受けたことのある復職支援の内容、復職支援を利用した理由/利用しなかった理由、有益と感じた支援/感じなかった支援、復職支援への要望等を尋ねた。
2)施設管理者調査
 医療介護施設で看護職の採用選考に携わる看護管理者等を対象に、インターネット上で無記名アンケート調査を実施した。研究参加者は都道府県ナースセンターを介して募集したほか、全国から無作為抽出した500施設に依頼文書を送付した。個人属性、施設特性、所属施設の看護師採用状況、復職支援に関するニーズ等を尋ねた。
2.復職支援の先駆的な取り組み及び好事例の情報収集
 インターネット検索や広報誌等から、看護職の復職支援に関して先駆的な取り組みを行っている事業者を選出し、承諾が得られた1事業所への視察とインタビューを行った。
結果と考察
1.復職支援における看護職及び求人施設のニーズの把握
1)看護職調査
 復職支援を受けたことがある者は、回答者2,298人中、892人(38.8%)であった。受けたことのある復職支援内容は「個別相談(窓口・電話・メール等)」「実技演習」「対面の講義」の順に多く、いずれも80%以上の者が「役に立った」と回答した。対面支援により復職への不安が軽減され、復職が後押しされていることがうかがえた一方で、居住地や家庭の事情で対面支援が利用できない者の復職を支援するには、オンラインプログラムの充実や自由度の高い研修プログラムが必要であることが示唆された。
2)施設管理者調査
 病院、介護施設、訪問看護事業所、診療所等の看護管理者、事務職、医師等393人から回答を得た。潜在看護職が復職するにあたり受けてほしい研修内容として、「看護実践手技」「感染対策」「医療安全」がいずれの施設種類でも特にニーズが高く、病院では「電子カルテの操作方法」、介護施設や訪問看護事業所では「急変対応」「接遇」のニーズが高かった。求職者と求人施設の効果的なマッチングには、希望する復職先によって、研修内容や支援内容をカスタマイズする必要性が示唆された。
2.復職支援の先駆的な取り組み及び好事例の情報収集
 インタビューは、当該事業所で復職支援に携わる職員5名へのグループインタビューとした。インタビューでは、インタビューガイドに基づき、復職支援の内容、提供方法、利用状況、感じている課題等を尋ねた。引き続き、内諾を得ている複数の事業所への視察とインタビューを進め、データを質的に分析する予定である。
結論
 多様な背景を持つ潜在看護職が、個別の状態とニーズに応じた学習を自ら組み立て、場所や時間に制約されずに自身に必要な内容を学習することを可能にするような、新たな復職支援プログラムのあり方を提案することを目指し、今年度は、復職支援における看護職及び求人施設のニーズを数量的に把握した。また、復職支援の先駆的な取り組み及び好事例の情報収集を開始した。
 次年度は、アンケート回答者からインタビュー調査参加者を募り、復職に関するニーズについて質的な検討を加えると同時に、復職支援事業者への視察とインタビュー調査を進める計画である。また、今年度明らかになったニーズと先進事例の成果・課題を統合し、ナースセンター実態調査の調査票を開発し、調査結果を基にプログラム開発ニーズの同定と実現可能で効果的な復職支援実施方法について、専門家によるパネル討議により検討する予定である。

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222039Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
5,290,000円
(2)補助金確定額
5,290,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,479,831円
人件費・謝金 2,183,993円
旅費 124,980円
その他 311,196円
間接経費 1,190,000円
合計 5,290,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2024-05-17
更新日
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