NDB等を活用した歯科医療提供体制の評価に資する持続可能な指標確立のための研究

文献情報

• 文献番号: 202222037A
• 報告書区分: 総括
• 研究課題名: NDB等を活用した歯科医療提供体制の評価に資する持続可能な指標確立のための研究
• 課題番号: 22IA1011
• 研究年度: 令和4(2022)年度
• 研究代表者(所属機関): 福田 英輝(国立保健医療科学院)

研究分担者(所属機関)

• 三浦　宏子(北海道医療大学　歯学部)
• 猪飼　宏(京都府立医科大学　医学・医療情報管理学講座)
• 小野塚　大介(大阪大学大学院　医学系研究科口腔内微生物制御学共同研究講座)
• 高橋　秀人(国立保健医療科学院)
• 大寺　祥佑(国立研究開発法人国立長寿医療研究センター　医療経済研究部)

• 研究区分: 厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
• 研究開始年度: 令和4(2022)年度
• 研究終了予定年度: 令和5(2023)年度
• 研究費: 4,060,000円
• 研究者交替、所属機関変更: 研究分担者：小野塚大介 京都府立医科大学（～令和4年5月31日）→大阪大学大学院（令和４年6月1日以降） 研究分担者：大寺祥佑 国立保健医療科学院（～令和4年5月31日）→国立研究開発法人国立長寿医療研究センター（令和4年6月1日以降） 国立保健医療科学院

研究報告書（概要版）

研究目的

　地域の実情に即した歯科医療提供体制を構築するには、各自治体における歯科保健医療に係る課題を抽出・分析する必要がある。本研究の目的は、レセプト情報・特定健診等情報データベース（ＮＤＢ）等を用いることで、地域における歯科医療提供体制、あるいは歯科疾患の有病状況の評価に資する容易で信頼性が高い指標の開発とその評価方法を検証し、提示することである。

研究方法

令和４年度は、以下３つのサブ研究を実施した。
①歯科医療提供体制の評価に資する指標を検討するため、Medline、Scopusおよび医学中央雑誌を用いた文献検索を実施した。検索対象は2013年以降に発刊された英文論文と和文論文であった。②歯科疾患の「結果（アウトカム）」改善のための歯・口腔保健事業に関する指標を抽出し、三層D-Plus評価マトリクスへの当てはまりについて検討した。③歯科医療管理学の専門家に対して、地域の歯科医療関連の状況を反映していると考えられる歯科診療行為の抽出を依頼した。抽出された歯科診療行為の算定状況について、ＮＤＢ（National Data Base）オープンデータ、およびオンサイトリサーチセンターを活用した匿名レセプト情報を用いて、都道府県別、性年齢区分別の情報統計を作成した。

結果と考察

①については、歯科口腔保健サービスの提供状況に関する地域差を分析した英文論文を2件、また和文論文4件を抽出した。これらの系統的レビューで抽出した論文を精査したところ、地域差が認められる歯科算定項目としてあげられていたのは傷病名では歯周病であった。また、診療行為としては歯周病治療に関する諸項目に加えて、歯科訪問診療や周術期口腔機能管理に関する項目であった。②については、都道府県における既存指標について、e-stat、および都道府県の事業を参考に指標を抽出した。これら指標については、三層D-Plus評価マトリクス、すなわち、行政、施設(歯科、学校等)、個人に分類した三層について、それぞれStructure(設備、人、組織等の外的インフラ)、Process(過程：どのように行う)、Output(事業結果：外的に見える変化)、Outcome(結果：個人の変化、本質的な変化)の観点から表にまとめることができた。③については、歯科医療管理の専門家によって選出されたレセプト項目は、48歯科診療行為、および12歯科診療加算であった。これらレセプト項目については、ＮＤＢオープンデータ、およびオンサイトリサーチセンターでのＮＤＢ情報を用いて都道府県別および性・年齢区分別の情報統計を作成した。また、都道府県間格差を検討するためSCR（標準化レセプト出現比）算出のためのエクセルシートを作成した。

結論

以下の３つのサブ研究を実施し、研究成果を得た。①系統的レビューの結果、地域差が顕在化しやすいレセプト項目を抽出することができた。②都道府県における既存指標をもとに、３層D-Plus評価マトリクスを作成した。ＮＤＢ情報は、おもに治療などの介入行為のデータであるが、社会統計として考えた場合、Structure指標、Process指標をよりデータ化する工夫が必要だと考えられた。③特定の視点に基づき48歯科診療行為、および12歯科診療加算を選出した。選出した歯科診療行為及び歯科診療加算については、地域の歯科疾患の有病状況および歯科医療提供体制についての実情を反映した指標となりうる可能性があるが、ＳＣＲ（標準化レセプト出現比）の都道府県比較、および歯科医療提供体制に関する指標との相関分析を通じたさらなる研究が必要である。

公開日・更新日

• 公開日: 2023-05-30
• 更新日: -

収支報告書

• 文献番号: 202222037Z