将来の医療需要を踏まえた外来及び在宅医療の提供体制の構築のための研究

文献情報

文献番号
202222035A
報告書区分
総括
研究課題名
将来の医療需要を踏まえた外来及び在宅医療の提供体制の構築のための研究
課題番号
22IA1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 西岡 祐一(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 柿沼 倫弘(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 町田 宗仁(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 明神 大也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 中西 康裕(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 次橋 幸男(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 佐藤 拓也(東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
10,477,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、在宅医療と外来医療においてNDB・KDB等のレセプトデータや介護DB、外来機能報告等を用いて、各地域における医療需要を推計し、効率的かつ効果的な入院外医療の提供体制について検討を行うことを目的とする。
研究方法
① 在宅医療・介護保険サービス提供の実態と将来需要の検討(在宅医療班)
過去に行われた調査(例:平成31年度在宅医療・介護に係る分析支援データ)等を参考にして、在宅医療に関する診療行為コード(医療,NDB及び奈良県KDBを使用)、サービス種類コード(介護,奈良県KDBを使用)を整理する。その上で、各コードの年度、性・年齢、都道府県別の提供量を記述疫学的に分析する。これらの分析結果(奈良県分)から、在宅医療・介護必要量の将来推計を行うことで、政策的介入を行った場合の将来需要の影響を推定する方法を検討する。特に高齢者・後期高齢者に注目し、性・年齢別に層別化したうえで、将来人口推計値を用いて在宅医療に関する各コードの推計を行い、政策的影響の推定を行う。
② 外来医療の実態と将来需要の検討(外来医療計画班)
NDBやDPC、国保DB等の名寄せされたデータベースを用いて、国民がどのような受療行動を取っているか、具体的には同じ医療機関に継続して受診しているか、複数の医療機関に都度受診しているか、一定期間同一の医療機関を受診後に別の医療機関を受診し始めているか等を解析する。また、外来医療で提供されている主だった処置や処方等の医療行為の実施のパターンや、現在厚生労働省内で議論されている、「医療資源を重点的に投入する外来」の実施のパターンを性年齢階級別、さらには必要に応じて細かい分類を用いて分析を行う。
③ 効率的・効果的な入院外医療の提供体制の検討(入院外医療の提供体制班)
1年目は、在宅医療と外来医療を合わせた入院外医療における効率的な医療機能の分化・連携を推進する地域の取り組み事例の調査分析を実施する。
結果と考察
① 在宅医療班
在宅医療に関する診療行為コード(医療,NDB及び奈良県KDBを使用)、サービス種類コード(介護,奈良県KDBを使用)を整理し、各コードの年度、性・年齢、都道府県別の提供量を記述疫学的に分析し現状の把握を行った。在宅医療を詳細に把握するために在宅医療の中で訪問診療のみに着眼し、その重症度を4カテゴリーに区分して集計した。さらに、在宅医療に求められる医療機能に応じた在宅医療の類型化を行った。それぞれの区分ごとの需要推計を行うために在宅医療のニーズが高い後期高齢者に注目し、将来人口推計値を用いて在宅医療に関するカテゴリーごとの需要推計を行った。これらによって今後の政策を検討するうえで重要な成果を得た。
② 外来医療計画班
令和4年度には、患者個人単位でのレセプトを分析し、各患者の受療動向の傾向を精査する目的で、各患者が2019年度に最も頻回に受診した医療機関への受診というものが全体の外来受診に占める割合を分析した。その結果、多くの患者には主となる医療機関があり、その医療機関への受診が外来受診全体の6-7割を占めるということがわかった。また、その「各患者が最も頻回に受診した医療機関」の病院―診療所、病院であればその病床規模といった類型についても分析を行い、都道府県別の傾向の違いを明らかにした。
③ 入院外医療の提供体制班
在宅医療と外来医療を合わせた入院外医療における効率的な医療機能の分化・連携を推進する地域の取り組み事例を把握するため、都市部の事例3件と過疎地である農村部の事例2件を取材した。入院直後より医師のみならず多職種による、①病気の治療を完結させる視点(臓器別専門治療チーム)と、②退院後の居宅等での療養環境までも考える視点(総合診療チーム)の、両方存在することが、診療体制としての鍵であることが、各地に共通して考えられた。

在宅医療の需要推計や外来医療における各患者の受療動向の傾向をみることにより、効率的かつ効果的な入院外医療の提供体制について検討を進めることができた。また、在宅医療と外来医療を合わせた入院外医療の効率的な医療機能の分化・連携事例の調査により、病気の治療と退院後の居宅等での療養の両方の体制を整えることが重要であることが明らかとなった。
結論
本研究は、各都道府県が次年度より策定する医療計画や地域医療構想の実務的な資料として機能することが期待され、特に入院外医療(在宅医療+外来医療)について進めていくべき機能分化連携の方向性やその方法を示す成果となると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
11,000,000円
(2)補助金確定額
10,440,000円
差引額 [(1)-(2)]
560,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,615,703円
人件費・謝金 1,318,892円
旅費 639,330円
その他 6,343,849円
間接経費 523,000円
合計 10,440,774円

備考

備考
収入の「(2)補助金確定額」と支出の「合計」に差異は、自己資金774円です

公開日・更新日

公開日
2024-02-06
更新日
-