都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するための研究

文献情報

文献番号
202222034A
報告書区分
総括
研究課題名
都市機能等の整備と協調してアクセシビリティを確保しつつ持続可能な医療提供体制を構築するための研究
課題番号
22IA1008
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科)
研究分担者(所属機関)
  • 村松 圭司(産業医科大学 医学部 公衆衛生学)
  • 石田 円(国際医療福祉大学 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
7,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2025年の地域医療構想の実現と次期医療計画の策定に向けて、地域を主体とする医療提供体制についての検討が進められている。近年では各種のオープンデータの整備を通じて検討のための基礎データは充実してきているものの、現場での議論で利用するにはデータの加工が不可欠であり、現場ですぐに活用可能な実務的資料の整備が求められている。本研究では、①地域分析用統合データベースを構築し、②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価を可能とするとともに、③再編統合事例で利用されてきた都市整備事業や、④活用可能な補助金等の調査を行い、持続可能な医療提供体制を構築するための情報とノウハウを整備することを目的としている。
研究方法
①地域分析用統合データベースについては、2011年から2021年までの保険医療機関総覧を整備し、2015~2020年のDPC調査と2019~2020年の病床機能報告のオープンデータに収載された病院について、保険医療機関番号に基づく統合データべースの構築を行った。
②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価については、アクセシビリティを可視化する地域区分として、公益財団法⼈統計情報研究開発センターが提供する平成27年度国勢調査地域メッシュ統計のうち、基準地域メッシュ(第3次地域区画、一辺約1Km、以下1Kmメッシュ)の区画データを用いた。運転時間については、1Kmメッシュの重心点から病院までの運転時間が最も短くなる経路を探索して計算を行った。なお、道路ネットワークデータは、2021年4月1日までに供用・廃止される道路について2021年1月時点で調査を行ったものを利用し、道路の種別ごとに移動速度を定め、交差点毎に6秒の通過時間を加算することにより算出した。この結果を用いて各種の資料を作成した。
③医療機関の再編等と連動した交通網・都市整備事例についての調査、④交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査については、コミュニティバスの運用事例を対象として調査を行った。
結果と考察
①地域分析用統合データベースについては、保険医療機関番号に基づく7,509施設のデータを統合した。また、DPC調査データについては2018~20年のMDC別集計を一体化した資料などを公開・更新し、病床機能報告については、2019年度調査結果資料に画面を追加し情報の充実を図った。
②医療機関の再編等に伴うアクセシビリティ変化の評価については、基礎的な資料として、病院単位の診療圏の地図のほか、選択した1Kmメッシュの近隣にある病院の地図および一覧、地域・DPC病院群に基づいて候補とする病院を絞り込んだ上で指定運転時間内にアクセス可能な病院数を表示する地図およびさらに病院を絞り込んだ場合のシミュレーション結果などを提供する資料を作成し、インターネット上で公開を行った。
③医療機関の再編等と連動した交通網・都市整備事例についての調査、④交通網・都市整備において活用可能な補助金等の調査については、コミュニティバスの普及状況と導入・運用費用、関連する法律・補助金についての資料をとりまとめることができた。また、より詳細に地域調査を行った結果、医療機関名称が使用されているバス停の数、医療機関に関連した停車場の追加やルート再編、病院移転に伴う路線再編やバスロータリーの追加などの事例を収集することができた。
本研究結果のさらなる活用を図るには、各資料の利用に際しての説明資料の充実と、地域における具体的な分析のシナリオを想定した利用ガイドの整備が必要であると考えられる。特に後者については医療計画の策定とその普及啓発の観点から地域の基礎的な状況を知るためのスタートアップガイドと、医療機関の再編統合を視野に入れた課題検討ガイドを中心として制作を進めることが求められる。
結論
本研究では、DPC調査・病床機能報告オープンデータの統合データベース化、自動車による運転時間に基づく理論的診療圏データの整備、コミュニティバスに注目した調査を通じた整備・再編事例や補助金等の活用状況把握を行った。また整備されたデータについては、無償利用可能なデータ可視化サービスであるTableau Publicを通じて一般に公開した。今後は整備されたデータ等に基づく情報提供の充実と新規データの追加を行うとともに、こうした情報を活用するための説明資料や検討シナリオに沿ったガイドなどの整備を行うことで、地域における持続的な医療提供体制の確保にむけた具体的な検討に資することができるものと期待される。

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222034Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
9,100,000円
(2)補助金確定額
9,100,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,381,577円
人件費・謝金 0円
旅費 0円
その他 4,620,000円
間接経費 2,100,000円
合計 9,101,577円

備考

備考
収入を上回る支出分については自己資金を利用した。

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
-