美容医療における医療安全を確保し、医療安全に係る諸制度との連携を実装して安全な美容医療のシステムを構築するための研究

文献情報

文献番号
202222032A
報告書区分
総括
研究課題名
美容医療における医療安全を確保し、医療安全に係る諸制度との連携を実装して安全な美容医療のシステムを構築するための研究
課題番号
22IA1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
朝戸 裕貴(獨協医科大学 医学部形成外科学)
研究分担者(所属機関)
  • 大慈弥 裕之(北里大学 医学部形成外科・美容外科)
  • 吉村 浩太郎(自治医科大学 形成外科)
  • 橋本 一郎(徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部)
  • 山本 有紀(和歌山県立医科大学 医学部)
  • 石河 晃(東邦大学 医学部)
  • 杉山 文(広島大学大学院 医系科学研究科 疫学・疾病制御学)
  • 南須原 康行(北海道大学医学部・歯学部附属病院医療安全管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
2,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の先行研究である令和元年度厚生労働科学特別研究事業「美容医療における合併症の実態調査と診療指針の作成」および令和2-3年度厚生労働科学研究費(地域医療基盤開発推進研究事業)「美容医療における合併症実態調査と診療指針の作成及び医療安全の確保に向けたシステム構築への課題探索」において、合併症調査についてWEB登録システムによる前向き調査を開始した。診療指針の作成については美容医療に関係する5学会(日本美容外科学会JSAPS, 日本美容皮膚科学会JSAD, 日本美容外科学会JSAS,日本形成外科学会JSPRS, 日本皮膚科学会JDA)から委員を選出し、完成した診療指針案を2020年11月に日本美容外科学会(JSAPS)機関誌の42巻特別号として掲載、関連学会HPにも全文掲載した。さらに美容医療患者集団を対象に意見聴取する仕組みを構築すべく、webサイトを作成した。
今後は美容医療においても医療事故情報収集等事業や医療事故調査制度、医療安全支援センターなどの既存の医療安全に係る制度と連携し、再発防止策の立案と普及が可能な体制について検討する必要がある。 本研究では、美容医療において発生した患者の安全に関する事案を既存の医療安全に係る制度において効果的に活用するための方策を検討し、医療安全の向上に資することを目標とする。

研究方法
令和4年度及び令和5年度、2年間の研究であり、以下の3項目の目的に沿って行う。
① 美容医療有害事象実態調査
朝戸裕貴が研究代表者として統括し、吉村浩太郎研究分担者と杉山文研究分担者を中心に、美容医療有害事象の実態調査をおこなう。各施設で診療した重度合併症と後遺症の種類と数、および原因と考えられる医療行為の内容(施術、手技、材料、機器、麻酔など)について調査する。調査方法はweb登録システムによって依頼する。疫学・統計学の専門家である杉山文研究分担者がデータの解析及び統計学的解析をおこなうことで、精度の高い実態把握を行う。
②診療指針作成と診療指針活用調査
大慈弥裕之研究分担者、橋本一郎研究分担者及び山本有紀研究分担者を中心に診療指針を作成する。
まず現在作成中の診療指針について研究分担者および関連団体からの研究協力者の協議の下に完成させる。また美容医療診療施設における美容医療診療指針の活用状況について調査を行い、診療指針の改訂に活かす方策を明らかにする。
② 医療安全諸制度との連携システム構築への取り組み
朝戸裕貴研究代表者、大慈弥裕之研究分担者、石河晃研究分担者、吉村浩太郎研究分担者、南須原康行研究分担者を中心に、医療安全諸制度との連携システム構築にむけた取り組みを行う。既存の医療事故情報収集等事業や医療事故調査制度、医療安全支援センターなどと連携した、再発防止策の立案と普及の方策を検討する。医師に対してはケーススタディなどを踏まえたweb講習などのコンテンツを作成し、教育活動を行う。患者に対しては医療安全センターでの相談につなげるリーフレット作成、さらに医療安全センター職員の対応ガイド等を作成していく。

結果と考察
令和4年6月21日の班会議において研究内容の確認と研究の進め方について検討を行った。有害事象調査における調査項目や診療指針活用調査における調査項目を決定した。これらは人を対象とする医学研究に該当するため研究代表者の施設において倫理審査書類を作成し、承認を得た。その後有害事象調査と診療指針活用調査に関わる分担研究者施設においても本研究の倫理審査申請を行った。施設により倫理審査承認を得るための所要期間が異なるため、有害事象調査と診療指針活用調査に関しては年度内に実際の研究開始には至らなかった。
有害事象調査に関してはwebページの必要な修正を加えて令和5年度に実施予定である。また、 先行研究の結果である診療指針について必要な監修作業を行い、令和4年9月に刊行された。刊行から半年以上経過してから令和5年度に診療指針の活用調査を実施予定である。
令和4年12月14日の班会議において、美容医療に携わる医療機関における医療安全講習に使用できるビデオを作成することが決まり、講習内容に研究班外部からの弁護士にも加わっていただき、ビデオ講習の収録および監修作業を行った。すでに外部弁護士の講演と南須原康行分担研究者の講演内容については作業を終えている。公開方法などについて令和5年3月14日の班会議において検討を行った。Youtubeを利用する公開方法では広告が入るため、広告の入らない公開方法を検討している。



結論
美容医療の質を担保する基盤となる本研究事業は意義が大きく、引き続きすすめるべき研究である。

公開日・更新日

公開日
2023-06-23
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222032Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,501,000円
(2)補助金確定額
2,197,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,304,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 264,078円
人件費・謝金 666,972円
旅費 94,320円
その他 370,800円
間接経費 801,000円
合計 2,197,170円

備考

備考
① 人件費・謝金が交付決定額より増額した理由:研究遂行のためにビデオ講習を作成することとなり、研究班外部の弁護士に講師を依頼し、謝金の増額が必要となったため。
② 旅費、委託費が交付決定額より減額した理由:旅費についてはCovid-19の影響もあり、対面での班会議は行わずWEB会議にて行ったため、当初想定していた金額よりも減額した。委託費については有害事象調査が開始に至らなかったため委託費が当初想定よりも減額した。
③ 経費の変動はあったが、当年度の研究自体に支障はなかった。各施設での倫理審査に想定以上に時間がかかり研究遂行が遅れているが、次年度に目標達成できる見込みである。

公開日・更新日

公開日
2024-02-28
更新日
-