医療需要や医師の働き方等の変化を踏まえた病院薬剤師の需要把握のための研究

文献情報

文献番号
202222028A
報告書区分
総括
研究課題名
医療需要や医師の働き方等の変化を踏まえた病院薬剤師の需要把握のための研究
課題番号
22IA1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
安原 眞人(帝京大学 薬学部 地域医療薬学研究室)
研究分担者(所属機関)
  • 伏見 清秀(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
  • 今井 志乃ぶ(鎌田 志乃ぶ)(昭和大学 薬学部薬剤疫学部門)
  • 白岩 健(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
10,025,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
令和3年6月に発出された「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会 とりまとめ」では、薬剤師の従事先には業態の偏在や地域偏在があり、病院を中心として薬剤師が充足しておらず、病院薬剤師の確保は喫緊の課題であると指摘された。さらに、病院の機能・規模やチーム医療の観点から、病院ごとに必要な薬剤師数や業務等の情報を把握した上で、需給推計や確保対策を考える必要があると指摘された。本研究は、医療需要や医師の働き方等の変化、医師等の需給推計方法を踏まえた病院薬剤師の需要推計に資する手法を開発し、病院薬剤師に係わる医療行政の基礎資料の構築を目的とする。初年度は、①病院薬剤師の需要推計モデル構築、②潜在薬剤師数の推定、③病院薬剤師のキャリアパス調査、の課題に取り組んだ。
研究方法
①病院薬剤師の需要推計モデル構築:3回の班会議を開催し、病院薬剤師の需要推計モデルの開発デザインを決定した。日本病院薬剤師会の令和4年度病院薬剤部門の現状調査が令和4年6月1日より8月31日を回答期間として実施され、3508施設からの回答が得られた。病院名をコード化し、日本病院薬剤師会の現状調査データとDPCデータを連結する作業が進行中である。②潜在薬剤師数の推定:厚生労働省に薬剤師届出票の提供申請を行い、令和5年2月に平成16年から令和2年までの9件の薬剤師届出票ファイルが提供され、薬剤師登録番号を指標にして薬剤師の就業状況を経年的に把握できることを確認した。③病院薬剤師のキャリアパス調査:日本医療薬学会の退会者を対象とするアンケート調査を行うことについて、令和4年8月の日本医療薬学会理事会で了承された。帝京大学医学系研究倫理委員会の承認(帝倫22-175号)を得た上で、過去3年の医療薬学会退会者3082人にアンケート調査への協力依頼を送付し、アンケート回答にはMicrosoft Formsを用いた。アンケート調査の回答期間(令和5年2月24日~3月17日)に寄せられた有効回答283件を集計・分析した。
結果と考察
病院薬剤師の需要推計にはDPCデータを用い、病院薬剤師の多様な業務内容毎に患者数、病床数、疾患種別などを変数として必要とされる人数を推定するモデルの開発デザインを定めた。日本病院薬剤師会より令和4年度病院薬剤部門の現状調査結果の提供を受け、特定機能病院、一般病院、療養型病院、精神科病院などの病院機能別の補正係数を加味することで、国内全体の病院薬剤師の需要推計を図ることとした。
潜在薬剤師数の推定には薬剤師届出票を利用することとし、平成16年から令和2年までのデータを入手した。薬剤師登録番号を指標にして、経年的な薬剤師の職種の変遷を調査することが可能であり、各調査年度で10%前後の病院薬剤師が2年後には転職しており、転職先の約70%は薬局であった。年齢別では、20代の病院薬剤師が最も多く薬局へ転職していた。
日本医療薬学会の過去3年間の退会者を対象にアンケート調査を行い、283人の回答を得た。学会を退会した理由では、転職・退職が40%、次いで経済的負担と会員のメリットがないが各28%であった。年齢別の退会者は30~35歳が24%、次いで60~70歳が20%を占め、性別では結婚・出産・育児などを理由とする女性会員の退会が顕著であった。
結論
DPCデータと病院薬剤師会の現状調査データを連携して活用することで、病院薬剤師の多様な業務内容毎に患者数、病床数、疾患種別などを変数として必要な薬剤師数を推定し、DPC病院とは異なる機能の病院群も含めた国内全体の病院薬剤師の需要を推計するモデルの開発デザインを定めた。
最終年度は、病院薬剤師の需要推計モデルを完成させると共に、人口構成の変化や地域医療構想の策定による医療機関の統合・再編が病院薬剤師の需要に及ぼす影響をシミュレーションし、医療行政の基礎資料となる薬剤師需要の推定精度の向上を目指す。

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222028Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,360,000円
(2)補助金確定額
7,144,000円
差引額 [(1)-(2)]
216,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 499,400円
人件費・謝金 243,000円
旅費 152,652円
その他 4,554,403円
間接経費 1,695,000円
合計 7,144,455円

備考

備考
自己資金455円。
データ整理のためにアルバイトスタッフを雇用する予定であったが、研究班員で作業を行ったことと、班会議をWeb会議で実施した結果、支出が削減された。

公開日・更新日

公開日
2024-02-28
更新日
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