数理最適化モデルによる小学校区グリッドに基づく多組織連携システム(MACS)の解析

文献情報

文献番号
202222023A
報告書区分
総括
研究課題名
数理最適化モデルによる小学校区グリッドに基づく多組織連携システム(MACS)の解析
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1019
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 博之(岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 災害医療マネジメント学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 暁洋(岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医))
  • 竹内 孔一(岡山大学大学院自然科学研究科)
  • 平山 隆浩(岡山大学 岡山大学学術研究院 医歯薬学域 災害医療マネジメント学講座)
  • 伊藤 弘人(東北医科薬科大学 医学部 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,660,000円
研究者交替、所属機関変更
研究分担者である伊藤 弘人は、令和4年4月1日より、労働者健康安全機構から東北医科薬科大学医学部 医療管理学教授に異動となった。 なお、中尾博之、渡邉暁洋は研究終了後の令和5年4月1日に異動となっている。

研究報告書(概要版)

研究目的
現在、巨大災害や広域感染症などの災害医療では、広域医療情報システム(EMIS)、J-SPEED によって情報収集する手段が確立されてきた。一方では、膨大な情報から優先すべき情報を取捨選択し、可視化させる情報処理システムも不可欠である。本研究では、グリッド・マッピング分析(GMA)に基づく健康地理学的評価を理解し、小学校区を基本単位とした医療行政の管理・統制の支援を容易するために、迅速・自動化されたAI を用いた情報処理システム(A-MACS:優先業務推定及び情報可視化)を開発することである。
研究方法
1) 可視化が地域の災害医療活動の負担を軽減と戦略について、災害時の医療活動関連情報7 項目について検討する。2) 過去の災害時医療活動記録をもとに、優先業務が推定できるシステムを開発するために、ニューラルネットワークを用いた手法を開発する。
3) 汎用性・拡張性を担保するために、小学校区単位で地域情報を一連のGoogle アプリを用いた情報入力、集計処理、可視化できるシステムを開発する。
4) 被災地調査・文献に基づき、災害時の在宅患者医療機器管理システムの課題を抽出する。
5) 災害に強い地域づくりに寄与する病院に関するフレームワークを開発する。
結果と考察
1) 災害時の医療活動関連情報7 項目の可視化が地域の災害医療活動の負担の軽減と戦略に有益であることを確認した。
2) ニューラルネットワークを用いた手法による優先業務が推定できるシステムが有益であることが確認できた。
3) 小学校区単位で地域情報を一連のGoogle アプリを用いた情報入力、集計処理、可視化できるシステムを開発できた。なお、このシステムは汎用性があるため、優先業務推定システムとも互換性を設定されている。
4) 災害時の医療機器管理として、在宅患者受け入れ体制や電力供給の可視化が必要であることが判明した。A-MACS を基にした資源再配置支援システムの開発が急がれる。
5) 開発したフレームワークは、災害時に地域の病院が理解すべきことを支援するものである。
結論
電子化によるデータを知的情報に変換は、広く「組織間学習」が可能となり、多機関連携による意思決定と実行を容易にする。この手段として、本A-MACS は互換性を有し、他のシステムとの連携が可能であることが確認された。今後は、医療班や医療機器をはじめとする資源再配置システムの開発とA-MACS との連携可能にしたい。災害時活動における、情報入力から活動までの過程を包括的に地域管理ができることになる。

公開日・更新日

公開日
2024-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222023B
報告書区分
総合
研究課題名
数理最適化モデルによる小学校区グリッドに基づく多組織連携システム(MACS)の解析
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1019
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
中尾 博之(岡山大学 学術研究院 医歯薬学域 災害医療マネジメント学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 渡邉 暁洋(岡山大学 学術研究院医歯薬学域(医))
  • 竹内 孔一(岡山大学大学院自然科学研究科)
  • 平山 隆浩(岡山大学 岡山大学学術研究院 医歯薬学域 災害医療マネジメント学講座)
  • 伊藤 弘人(東北医科薬科大学 医学部 医療管理学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
研究分担者である伊藤 弘人は、令和4年4月1日より、労働者健康安全機構から東北医科薬科大学医学部 医療管理学教授に異動となった。 なお、中尾博之、渡邉暁洋は研究終了後の令和5年4月1日に異動となっている。

研究報告書(概要版)

研究目的
被災した集団に対して最大多数が必要な医療を受けられるために、地域文化、住民のつながりを考慮して、効率的な情報収集と迅速な意思決定が求められる。地域の最小単位である小学校区は、非災害時から医療政策的に情報収集と意思決定の伝達が効率的である、と考えられる。
本事業の目的は、災害医療ではグリッド・マッピング分析(GMA)に基づく健康地理学的評価に基づき、小学校区を基本単位とした医療行政の管理・統制の支援を容易する必要があることを明らかにすることにある。このために、迅速・自動化されてAIを用いた情報処理システム(A-MACS:優先業務推定及び情報可視化)を開発する。
研究方法
資料、インタビュー、過去の災害時医療活動記録の分析により、 医療情報の健康地理学的評価の意義、在宅医療機器の運用・管理の意義、防災計画と病院業務存続計画の関係について検討した。一方、自動情報収集・可視化システムと優先業務順位推定システムの開発を行った。
結果と考察
小学校区単位で健康地理学的評価をすることが、災害医療活動の負担軽減と戦略決定に有益であることを確認した。在宅患者情報や医療機器の在庫情報、在宅患者受け入れ体制や電力供給の可視化が必要であることが判明した。「災害に強い地域づくりに寄与する病院に関するフレームワーク」を考案した。汎用性・拡張性のある無償のGoogleアプリを活用して、情報入力、集計処理、可視化できるシステムを開発し、優先業務を推定できるシステムを開発した。
 「考察」:既存の広域災害・救急医療情報システムなどが情報収集に主眼がおかれているが、本システムはデータベースの情報をもとに自動で活動方針を示す機能に主眼が置かれている。デジタル化は生情報を理解しやするためのものであり、災害時に知りたい医療活動関連情報(被害状況、医療需要、供給できる医療、追加できる医療、インフラ、生活基盤、物流管理)を、健康地理学的評価を行い、視覚化することは有益である。視覚化のための地理空間情報では、平時の文化的・行政的活用のある小学校区であることが相当であるだろう。災害時の膨大な情報を人間工学的視点で捉えるために、①労力分散、⑵自動化、⑶視覚を利用した単純化、④制限のある共有が必要である。一方、地域の災害医療に関するフレームワークから、災害への備えにおける「地域社会のハブ組織」の存在の重要性を理解する必要性を強調していく必要がある。
本事業A-MACS では、クロノロジー作成の分散化、集計の自動化、データのダッシュボード化や地図へのプロットが利用できるシステムをGoogle 無料アプリでベースに開発した。また、優先業務の選定では、ニューラルネットワークを用いた手法を考慮しておくことによって、前述の「健康地理学的評価とデジタル化」に活用できると考えている。
一方、地域医療の中心的存在である在宅医療機器の運用・管理を一元化し、最適再配置システムの開発が今後必要であろう。
結論
災害医療情報を自動で収集し、健康地理学的評価を可能にする汎用性のあるシステムの開発を行った。災害医療では、多機関・多職種の連携が必要であり、災害時の膨大な情報を人間工学的視点で捉えるためには、①労力分散、⑵自動化、⑶視覚を利用した単純化、④制限のある共有が欠かせない。
今後は、A-MACS の実装検証を行い、対応不十分な在宅医療運用・管理システムの開発に取り組む。

公開日・更新日

公開日
2024-07-05
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-07-05
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では、Google 無料アプリをもとに、①データ・クレンジング、②AIを活用した優先業務の順位選別、⑶地域状況の可視化、を有した統合システムを開発した。これによって、医療行政管理を理論的考察した結果、小学校区を基礎単位としたグリッド・マッピング分析(GMA)によって健康、文化、生活環境、地理を鳥瞰できる「健康地理学的評価」の可視化が可能になった。成果は、日本臨床救急医学会、日本災害医学会などで発表し、注目されている。
臨床的観点からの成果
現有の災害医療情報システムと違って、本研究ではデータ・クレンジング、優先業務の順位選別、状況の可視化が可能となった。災害対策本部での災害経過記録(クロノロジー)作成や評価に膨大な作業労務が費やされているが、それらの大半を半自動化させることができるようになった。その結果、混乱する災害時の指揮系統を円滑にすることに寄与できる。一般に提供されているデータを用いて、安価で全国版に拡張する手立ても確立している。
ガイドライン等の開発
該当なし。
その他行政的観点からの成果
現在のところ、成果はありません。
その他のインパクト
このシステムは、実災害時での利用はもとより、シミュレーションとして訓練・研修で利用でき、データ蓄積がなされれば災害医療活動の予測が将来可能になるかもしれません。
実災害での利用経験はありませんが、令和4年に岡山県災害拠点病院医療救護要員研修会、岡山県井原市、岡山市内医師会連合会研修会で開催された災害研修会でシミュレーション演習で利用しました。今後、同様に地域単位での災害医療研修会での利用が見込まれます。

発表件数

原著論文(和文)
4件
1. 竹内孔一、山崎瑶、渡邉暁洋、平山隆浩、中尾博之. 災害医療におけるクロノロジーの分析. 電子情報通信学会信学技報. 121(415) NLC2021-31, 19-23, 2022. 2. 伊藤
原著論文(英文等)
1件
Ito H, Aruga T. A conceptual framework to assess hospitals for disaster risk reduction in the commun
その他論文(和文)
1件
中尾博之、災害対策の基本 災害対応マニュアル、腎と透析、91(2):200-3:2023.
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
15件
第25回日本臨床救急医学会総会,第59回日本医療・病院管理学会総会,,第28回日本災害医学会総会などで発表
学会発表(国際学会等)
1件
Ito H & Aruga T. A conceptual framework to assess hospitals for disaster risk reduction in the commu
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
4件
香川県BCP研修会,井原市研修会,令和4年度岡山県災害拠点病院医療救護要員研修会, 岡山市内医師会連合会

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
竹内孔一、山崎瑶、渡邉暁洋、平山隆浩、中尾博之
災害医療におけるクロノロジーの分析
電子情報通信学会信学技報 , 121 (415) , 19-23  (2021)
原著論文2
伊藤弘人、有賀徹、丸山嘉一、蛭間芳樹、野口英一
地区防災計画と病院業務存続計画
地区防災計画学会誌 , 25 , 61-69  (2020)
原著論文3
伊藤弘人、丸山嘉一、蛭間芳樹、野口英一、有賀徹
地区防災計画と病院業務存続計画
地区防災計画学会誌 , 23 , 72-75  (2022)
原著論文4
伊藤弘人、蛭間芳樹、野口英一、有賀徹
地区防災計画と医療
地区防災計画学会誌 , 22 , 87-97  (2021)
原著論文5
Ito H, Aruga T.
A conceptual framework to assess hospitals for disaster risk reduction in the community.
Int J Disaster Risk Reduction , 77  (2022)
https://doi.org/10.1016/j.ijdrr.2022.103032

公開日・更新日

公開日
2023-06-26
更新日
2024-07-05

収支報告書

文献番号
202222023Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,157,000円
(2)補助金確定額
2,157,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 100,022円
人件費・謝金 0円
旅費 226,978円
その他 1,333,000円
間接経費 497,000円
合計 2,157,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-05-17
更新日
-