災害時における医療機関の役割分担及び連携の検討に資する研究

文献情報

文献番号
202222021A
報告書区分
総括
研究課題名
災害時における医療機関の役割分担及び連携の検討に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
笠岡 俊志(熊本大学病院 災害医療教育研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,240,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は災害拠点病院および災害拠点病院を支援する医療機関に求められる機能および要件を提示し、レジリエントな災害時医療提供体制を明らかにすることである。本研究では令和2年7月豪雨において被災した人吉・球磨地域、水俣・芦北地域、八代地域の3つの医療圏を対象にして各地域の災害拠点病院を中心とする災害医療対応について情報収集を行い、今後、求められる医療機関の機能や要件について検討を行う。
研究方法
令和3年度は調査項目の妥当性を検討した上で、郵送によるアンケート調査を実施した。対象とする上記3医療圏の86医療機関(災害拠点病院3、病院27、有床診療所56)に調査票を送付し、43医療機関(災害拠点病院3、病院11、有床診療所29)から回答を得た。
 令和4年度は調査結果の集計と分析を進めるとともに、保健所や消防機関の担当者にヒアリングを行い災害時の医療機関の連携について検討を行った。
結果と考察
書面によるアンケート調査では人吉・球磨地域9医療機関、水俣・葦北地域13医療機関、八代地域21医療機関の合計43医療機関から回答を得た。有床診療所の耐震化率が低く、半数以上の医療機関が洪水想定区域に立地していた。有床診療所の自家発電機の所有率が低く、職員用食料の備蓄は半数以下の医療機関であった。災害時要配慮者のうち透析患者のリスト化が進んでいた。発災前のBCP作成は10医療機関(25%)のみであり、そのうち3医療機関では診療業務の継続が困難となっていた。水害への事前対策や消防機関との連携にも課題がみられた。被害状況の調査結果よりライフラインの維持、EMIS入力、人材・環境の確保の重要性が示唆された。医療機関の災害時連携強化のために、各々の医療機関におけるハザードの認識と水害に対するライフラインならびにサプライチェーンに関する対策が不可欠である。発災後に増加する救急患者・重症患者は災害拠点病院に集中するが、福祉施設間連携や病院-福祉施設間連携は災害拠点病院の負担のみならず病院間連携の負担も減らすことが考えられる。透析患者と同様に医療ニーズの高い慢性疾患においてもネットワークを構築することが災害時の医療連携につながるものと考えられる。さらに有床診療所を含む医療機関のEMIS入力を推進するために平時からの訓練も重要と考えられる。
結論
豪雨災害での診療機能停止がライフラインやサプライチェーン、医療機器による影響が大きかったことを考えると、水害対策を考慮したBCPにおいて、これらの課題を検討・追加することで、災害時にも医療機能を維持し、平時と同様の医療機関連携が可能となるものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-06-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222021B
報告書区分
総合
研究課題名
災害時における医療機関の役割分担及び連携の検討に資する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1017
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
笠岡 俊志(熊本大学病院 災害医療教育研究センター)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は災害拠点病院および災害拠点病院を支援する医療機関に求められる機能および要件を提示し、レジリエントな災害時医療提供体制を明らかにすることである。本研究では令和2年7月豪雨において被災した人吉・球磨地域、水俣・芦北地域、八代地域の3つの医療圏を対象に各地域の災害拠点病院を中心とする災害時医療対応について情報収集を行い、今後、求められる医療機関の機能や要件について検討する。
研究方法
令和3年度は調査項目の妥当性を検討した上で、郵送によるアンケート調査を実施した。アンケート内容は資料参照。対象とする上記3医療圏の86医療機関(災害拠点病院3、病院27、有床診療所56)に調査票を送付し、43医療機関(災害拠点病院3、病院11、有床診療所29)から回答を得た。
 令和4年度は調査結果の集計と分析を進めるとともに、保健所や消防機関の担当者にヒアリングを行い、災害時の医療機関の連携について検討を行った。
結果と考察
書面によるアンケート調査では人吉・球磨地域9医療機関、水俣・葦北地域13医療機関、八代地域21医療機関の合計43医療機関から回答を得た。有床診療所の耐震化率が低く、半数以上の医療機関が洪水想定区域に立地していた。有床診療所の自家発電機の所有率が低く、職員用食料の備蓄は半数以下の医療機関であった。災害時要配慮者のうち透析患者のリスト化が進んでいた。発災前のBCP作成は10医療機関(25%)のみであり、そのうち3医療機関では診療業務の継続が困難となっていた。水害への事前対策や消防機関との連携にも課題がみられた。被害状況の調査結果よりライフラインの維持、EMIS入力、人材・環境の確保の重要性が示唆された。医療機関の災害時連携強化のために、各々の医療機関におけるハザードの認識と水害に対するライフラインならびにサプライチェーンに関する対策が不可欠である。発災後に増加する救急患者・重症患者は災害拠点病院に集中するが、福祉施設間連携や病院-福祉施設間連携は災害拠点病院の負担のみならず病院間連携の負担を減らすことも考えられる。透析患者と同様に医療ニーズの高い慢性疾患においてもネットワークを構築することが災害時の医療連携につながるものと考えられる。さらに有床診療所を含む医療機関のEMIS入力を進めるために平時からの訓練も重要と考えられる。
結論
豪雨災害での診療機能停止がライフラインやサプライチェーン、医療機器による影響が大きかったことを考えると、水害対策を考慮したBCPにおいて、これらの課題を検討・追加することで、災害時にも医療機能を維持し、平時と同様の医療機関連携が可能となるものと考えられた。

公開日・更新日

公開日
2023-06-26
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222021C

収支報告書

文献番号
202222021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,612,000円
(2)補助金確定額
1,612,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,170円
人件費・謝金 444,909円
旅費 577,160円
その他 216,761円
間接経費 372,000円
合計 1,612,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-06-26
更新日
-