文献情報
文献番号
200922013A
報告書区分
総括
研究課題名
かかりつけ医のための認知症の鑑別診断と疾患別治療に関する研究
課題番号
H21-認知症・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
池田 学(熊本大学 大学院医学薬学研究部)
研究分担者(所属機関)
- 橋本 衛(熊本大学 医学部 神経精神科)
- 水上 勝義(筑波大学 大学院人間総合科学研究科)
- 博野 信次(神戸学院大学 人文学部)
- 今村 徹(新潟医療福祉大学 大学院医療福祉学研究科)
- 数井 裕光(大阪大学 大学院医学系研究科精神医学)
- 森 悦朗(東北大学 大学院医学系研究科)
- 上村 直人(高知大学 医学部 神経精神科)
- 福原 竜治(愛媛大学 医学部 精神科神経科)
- 品川 俊一郎(東京慈恵会医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成21(2009)年度
研究終了予定年度
平成23(2011)年度
研究費
19,800,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
かかりつけ医の認知症診療の実態、専門機関との役割分担についてはいまだ不明な点が多い。そこで、主任研究者は、かかりつけ医から認知症専門医療機関へ紹介された患者を通して、かかりつけ医の認知症診療の実態を調査した。また、各分担研究者は、食行動異常、性的逸脱行動、妄想について疾患別の特徴を明らかにすると共に、レビー小体型認知症、意味性認知症、正常圧水頭症におけるBPSDを検討した。
研究方法
1年間に熊本大学神経精神科認知症専門外来を初診した認知症患者全例を対象とした。患者の生活背景ならびに日常の受診状況を調べるために、全例の居住地域、かかりつけ医の有無を調べた。かかりつけ医があるケースでは、当院への受診がかかりつけ医からの紹介か否かを調べた。さらに紹介患者については、紹介目的、前医の診療科、前医での画像検査の有無、前医での診断ならびに投薬内容を調べた。
各分担研修者は、各々の施設の専門外来受診例において、国際診断基準、MMSE、NPIなど共通の評価尺度を用いて、BPSDを解析した。
各分担研修者は、各々の施設の専門外来受診例において、国際診断基準、MMSE、NPIなど共通の評価尺度を用いて、BPSDを解析した。
結果と考察
調査対象期間に、当院認知症専門外来を受診した患者総数は275名(男性114名、女性161名)であった。かかりつけ医では認知症の鑑別診断はほとんどなされておらず、MRIなどの画像検査は実施されているが、有効に活用されていなかった。認知症治療についても、鑑別診断に基づいた治療は実施されていないことが多く、不適切な薬物投与も少なくなかった。
食行動異常は、原因疾患によらず出現し、認知機能の低下が関連していた。性的逸脱行動は、介護専門職員に対するアンケートに基づけば、60%以上に出現し、疾患毎に内容が異なっていた。妄想は、レビー小体型認知症に高頻度にみられ、誤認妄想が多く、アルツハイマー病では物盗られも妄想の頻度が高かった。意味性認知症では、発症後3年以内に言語症状が、3〜5年の間に常同行動や脱抑制が出現することが明らかになった。正常圧水頭症では、傾眠、無気力に加え、興奮や易刺激性、認知の変動が高いことが明らかになった。とくに、正確な診断が求められているレビー小体型認知症においては、診断ツールとして、認知機能変動を評定する尺度と高炭酸換気応答の有用性を明らかにした。
食行動異常は、原因疾患によらず出現し、認知機能の低下が関連していた。性的逸脱行動は、介護専門職員に対するアンケートに基づけば、60%以上に出現し、疾患毎に内容が異なっていた。妄想は、レビー小体型認知症に高頻度にみられ、誤認妄想が多く、アルツハイマー病では物盗られも妄想の頻度が高かった。意味性認知症では、発症後3年以内に言語症状が、3〜5年の間に常同行動や脱抑制が出現することが明らかになった。正常圧水頭症では、傾眠、無気力に加え、興奮や易刺激性、認知の変動が高いことが明らかになった。とくに、正確な診断が求められているレビー小体型認知症においては、診断ツールとして、認知機能変動を評定する尺度と高炭酸換気応答の有用性を明らかにした。
結論
専門医とかかりつけ医との役割分担、適切な連携について更なる検討が必要である。BPSDの疾患別特徴を明らかにした。
公開日・更新日
公開日
2010-06-10
更新日
-