文献情報
文献番号
202222013A
報告書区分
総括
研究課題名
人生の最終段階における臨床経過ならびに死の徴候に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1009
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
小川 純人(東京大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
830,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
人生の最終段階における機能低下のパターンや疾患等を踏まえた類型化、死の徴候を含めた臨床経過について国内外の文献レビューを通じて明らかにする。また、実際に人生の最終段階における臨床経過や死の徴候を見守り、看取った経験を有する全国医師を対象にWebアンケート調査を行い、人生の最終段階における臨床経過や死の徴候に関して時間軸・疾患別に整理し、実臨床データに基づいた体系的整理を行う。
研究方法
人生の最終段階における機能低下のパターンや疾患等を踏まえた類型化、死の徴候を含めた臨床経過について国内外の文献レビューを通じて明らかにする。また、実際に人生の最終段階における臨床経過や死の徴候を見守り、看取った経験を有する全国医師を対象にWebアンケート調査を行い、人生の最終段階における臨床経過や死の徴候に関して時間軸・疾患別に整理し、実臨床データに基づいた体系的整理を行う。
結果と考察
人生の最終段階における機能低下パターンや臨床経過に関する国内外の文献レビューについては、事前協議にて採用基準(日本語または英語の論文、人生の最終段階の具体的兆候を記載している)、除外基準(小児に関する内容、症例報告または個人的意見)、検索式を決め、Pubmed、Cochrane Library、医中誌(国内文献のみ)にてそれぞれ文献検索を行ってきた。現段階で、これらの抽出された文献について内容、要旨等を確認し、分析を進めているが、1)人生の最終段階の患者において多く報告されている兆候は、疼痛、呼吸困難、食思不振、嚥下障害、意識レベルの変化(せん妄を含む)などであった点、2)死亡の原因疾患(がん、認知症など)により人生の最終段階における兆候が異なっている可能性が示唆された点 3)人生の最終段階や看取りの段階で認められる兆候について、その出現時期・経過に関するエビデンスは未だ不十分である可能性が高い点などが挙げられ、現在も更なる文献検索、ならびに文献内容を精査しエビデンスとなる文献を抽出している。
また、これまでに全国のリビング・ウイル受容協力医師を対象として、人生の最終段階における臨床経過や死の徴候に関するWEBアンケートを作成、回答依頼を行ってきており、現在までに約440名のリビング・ウイル受容協力医師からの回答を収集できている。現在、WEBアンケート回答内容の分析を進めている。LightGBMアルゴリズムに基づく決定木モデルにより、死の兆候の合計数(死の1週間+死の48時間前+死の1日前)を予測するのに重要な設問について検討した結果、「患者さんの緩和ケアの有無について教えてください」、「患者さんのリビング・ウイルの有無について教えてください」の重要度が大きく、死の兆候の予測に貢献している可能性が示唆された。人生の最終段階における機能低下のパターンや臨床経過に関するエビデンスは未だ確立しておらず、国内外の文献レビューを通じたこれらの体系化、類別化を進めることは貴重な知見となり、人生の最終段階や看取りに適切に対応するなどの社会的急務にも応える重要性、発展性を有していると考えられる。また、わが国における実臨床や看取りデータに基づいて、人生の最終段階における機能低下や死の徴候を体系化することは、今後のわが国における人生会議や在宅医療・ケア・看取りを推進する上での基盤的知見となる可能性があり、国民啓発の上でも重要と考えられる。
また、これまでに全国のリビング・ウイル受容協力医師を対象として、人生の最終段階における臨床経過や死の徴候に関するWEBアンケートを作成、回答依頼を行ってきており、現在までに約440名のリビング・ウイル受容協力医師からの回答を収集できている。現在、WEBアンケート回答内容の分析を進めている。LightGBMアルゴリズムに基づく決定木モデルにより、死の兆候の合計数(死の1週間+死の48時間前+死の1日前)を予測するのに重要な設問について検討した結果、「患者さんの緩和ケアの有無について教えてください」、「患者さんのリビング・ウイルの有無について教えてください」の重要度が大きく、死の兆候の予測に貢献している可能性が示唆された。人生の最終段階における機能低下のパターンや臨床経過に関するエビデンスは未だ確立しておらず、国内外の文献レビューを通じたこれらの体系化、類別化を進めることは貴重な知見となり、人生の最終段階や看取りに適切に対応するなどの社会的急務にも応える重要性、発展性を有していると考えられる。また、わが国における実臨床や看取りデータに基づいて、人生の最終段階における機能低下や死の徴候を体系化することは、今後のわが国における人生会議や在宅医療・ケア・看取りを推進する上での基盤的知見となる可能性があり、国民啓発の上でも重要と考えられる。
結論
人生の最終段階の患者において多く報告されている身体兆候は、現時点での解析結果によれば、疼痛、呼吸困難、食思不振、嚥下障害、意識レベルの変化(せん妄を含む)などであり、国内外の文献レビュー等の解析などから、死亡の原因疾患により人生の最終段階における兆候が異なっている可能性が示唆された。また、現在リビング・ウイル受容協力医師を対象としたアンケート回答の解析を実施しており、わが国の臨床現場における、人生の最終段階の臨床経過や死の徴候に関するデータや特性等が明らかになる可能性が示唆された。
公開日・更新日
公開日
2025-05-27
更新日
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