地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムの普及啓発のための研究

文献情報

文献番号
202222011A
報告書区分
総括
研究課題名
地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムの普及啓発のための研究
課題番号
21IA1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
  • 柿沼 倫弘(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 中西 康裕(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 渋谷 明隆(北里大学医学部)
  • 佐藤 大介(藤田医科大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
わが国の人口減少と高齢化の進行は、特に地方における急性医療の縮小と関連している。地域の状況は多様であり、そのような環境のなかで医療機関の再編統合(ダウンサイジングや機能分化と連携を含む)は地域の医療提供体制の将来を考えるうえでの選択肢の一つとなっている。本研究では、地域医療構想の達成のための研修プログラムにおいて使用する教材の開発を目的として、再編統合等を達成した医療機関を題材とした研修教材を開発し、学習教材および学習計画書を作成するとともに、重要な医療施策として進められている地域医療構想の達成のために必要な病院管理者向け研修を実施しその評価を行う。さらに、地域医療構想に関する政策と開発した研修プログラムの運用の実際についてレビューし、今後の展望についても検討する。
研究方法
本研究は、次に示した3つの項目について研究を実施した。1:地域医療構想の達成のための研修プログラム教材開発に関する研究、2:・地域医療構想の達成のための病院管理者向け研修の企画と評価、3:・地域医療構想のこれまでと今後の展望である。再編統合等を達成した公立公的医療機関を対象に、再編統合に至った背景・経緯および再編・統合の基本計画・組織体制ならびに再編統合後の医療機能・病院経営の状況等に関するインタビュー調査に基づき、班会議における討議を通じてケースメソッド法で用いるケーススタディ教材を開発した。国立保健医療科学院における病院管理者向け研修で活用し、その評価を行うとともに、今後の展望を検討した。
結果と考察
地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムに必要な学習目的として(1)病院の再編統合という問題解決方法の考え方(2)再編統合における経営形態の理解と病院経営戦略(3)再編統合のプロセスにおける諸課題への対応(4)再編統合に関する合意形成とステークホルダーとの交渉戦略(5)再編統合に関する地域分析および財務分析(6)再編統合に関する組織マネジメントとすることで達成できることが明らかとなった。地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムに必要な学習目的として(1)病院の再編統合という問題解決方法の考え方(2)再編統合における経営形態の理解と病院経営戦略(3)再編統合のプロセスにおける諸課題への対応(4)再編統合に関する合意形成とステークホルダーとの交渉戦略(5)再編統合に関する地域分析および財務分析(6)再編統合に関する組織マネジメントとすることで達成できることが明らかとなった。
 研修はオンライン形式で実施したが、厚生労働省の講義(地域医療構想、働き方改革)を動画撮影して遠隔教育システムに掲載し、事前に視聴しておくことを義務づけて、研修日には質疑応答と補足講義を行った。この方法は多忙な病院幹部職員にとって利便性が高く、また動画視聴とともに質問を事前に提出してもらったことで、より効果的な学びとなったと考える。
地域医療構想調整会議の場が課題を地域で検討する機会となり、各地域の状況を考慮した各地域における持続可能な医療提供体制を構築するための具体的な取組みの実践のためには、以下の2つの人材育成が不可欠であると考えられる:1)県・地域全体の地域医療構想を推進できる人材、2)地域医療構想に資する個々の地域・医療機関において、具体的な取組みを実践できる人材。とくに後者については、数日間かけて、他の同様の立場の参加者とともに意見を交換しあいながら、体系的に学び、具体的な取組みにつながる参加型の研修の機会が必要である。
結論
開発した2つのケースは、それぞれ実際の研修で使用し、それぞれ高い満足度を得た。本分担研究の結果、地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムに必要な教材を開発し研修で実践することができた。自治体職員だけでなく実際に医療サービスを提供する病院等の医療機関が、当該医療政策の意義やねらいについて正しく理解し、実践する必要がある。とくに医療機関のトップである病院長が、政策の推進に向けて具体的な検討・意思決定を行うことが、地域医療構想の達成、医師の働き方改革の推進において欠かせないものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222011B
報告書区分
総合
研究課題名
地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムの普及啓発のための研究
課題番号
21IA1007
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 小林 健一(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 種田 憲一郎(国立保健医療科学院 国際協力研究部)
  • 福田 敬(国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター)
  • 柿沼 倫弘(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 中西 康裕(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 渋谷 明隆(北里大学医学部)
  • 佐藤 大介(藤田医科大学 大学院医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 地域での効率的な医療提供体制の確立に向けて、各都道府県で地域医療構想が策定されている。その実現に向けた取り組みを推進していくためには地域医療構想調整会議における協議を通じて、行政や医療機関だけでなく医療・介護の関係団体、保険者等が連携を図りながら推進していくことが重要である。国立保健医療科学院では令和元年度より「地域医療構想の実現・働き方改革の推進に向けた病院管理者研修」を実施し、人材育成面から地域医療構想の実現に向けた貢献をしてきた。そこで本研究では、再編統合に関する良好事例から示唆を得ることや地域医療構想の達成のための研修プログラムにおいて使用する人材育成研修(ケースメソッド法)に活用するケーススタディ教材の開発を行う。学習教材および学習計画書を作成し、地域医療構想の達成のために必要な病院管理者向け研修を実施し、その評価を行う。さらに、地域医療構想に関する政策と開発した研修プログラムの運用の実際についてレビューし、今後の展望についても検討する。
研究方法
本研究では2年間で次に示した5つの項目について研究を実施した。令和3年度:①公立・民間病院の再編統合事例に関する計量テキスト分析、②・公立病院等の再編統合事例のケースメソッド教材開発に関する研究、令和4年度:③地域医療構想の達成のための研修プログラム教材開発に関する研究、④地域医療構想の達成のための病院管理者向け研修の企画と評価、⑤地域医療構想のこれまでと今後の展望である。再編統合等を達成した公立公的医療機関を対象に、再編統合に至った背景・経緯および再編・統合の基本計画・組織体制ならびに再編統合後の医療機能・病院経営の状況等に関するインタビュー調査に基づき、班会議における討議を通じてケースメソッド法で用いるケーススタディ教材を開発し、国立保健医療科学院における病院管理者向け研修を実施した。
結果と考察
将来的に地域医療連携推進法人の設立を考えている医療機関の幹部職員へのインタビュー調査を通じ、調査から得られたテキストデータを用いて計量テキスト分析を実施したところ、地域医療連携推進法人の設立に関連する病院名が特に多く頻出し、医療機能として「急性期」が多かった。用語同士の共起関係からは再編統合に関わる委員会、医療機能の分化と連携、自治体の立場等が主なテーマの一つであると解釈することができた。
地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムに必要な教材のケーススタディとして、再編統合等の達成に向けた重要な役割は、(1)県と町の協議、首長とのコミュニケーション(2)公立三病院間のまとめ役任命(3)医師会や近隣の病院・診療所の反応(4)協議会組織の立ち上げ、構成員の人選(5)再編統合等の構想計画(医療需要予測、病床規模・機能・体制)に整理されることが明らかとなった。
地域医療構想と医師の働き方改革という2大重要施策について企画した研修では、満足度・役立ち度ともに一定の評価を受けたものと考える。研修受講者の選定については、地域の実情はさまざまであるので、研修受講の選定要件を画一的に定めるのではなく、選定の自由度を残すことが必要と考えるが、今後は状況に応じて、受講者の選定要件を絞り込むことも選択肢として考えられる。
これまでの取組みから、地域医療構想を推進する人材育成については、少なくとも以下の大きく2つの人材が必要だと考えられる、1)県・地域全体の地域医療構想を推進できる人材(県・地域全体の医療機関の実績を示すデータに基づいて、戦略的な助言ができる大学の研究者等)、2)地域医療構想に資する個々の地域・医療機関において、具体的な取組みを実践できる人材。
結論
地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムに必要な教材を開発し研修で実践するに至り、本研究の最終成果が達成された。持続可能な医療提供体制を構築するための具体的な取組みの実践のためには、人材育成が不可欠であると考えられる。意見を交換しあいながら体系的に学び、具体的な取組みにつながる参加型の研修の機会が必要と考えられ、本研究で開発した教材や研修プログラム等が活用できると考える。

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222011C

成果

専門的・学術的観点からの成果
本研究では地域医療構想の達成に向けた病院管理者のための組織マネジメント研修プログラムに必要な教材を開発し、研修で実践した。持続可能な医療提供体制を構築するための具体的な取組みの実践のためには、人材育成が不可欠であることが明らかとなった。意見を交換しあいながら体系的に学び、具体的な取組みにつながる参加型の研修の機会が必要と考えられ、本研究で開発した教材や研修プログラム等が活用できることを明らかにした。
臨床的観点からの成果
臨床的な観点として、地域医療構想の達成に向けた病院再編統合の良好事例の経過を詳細に明らかにすることができた。再編統合等の達成に向けた重要な役割は、1)県と町の協議、首長とのコミュニケーション、2)病院間のまとめ役任命、3)医師会や近隣の病院・診療所の反応、4)協議会組織等の立ち上げ、構成員の人選、5)再編統合等の構想計画(医療需要予測、病床規模・機能・体制)に整理されることが明らかとなった。
ガイドライン等の開発
本研究は社会医学的研究であり、ガイドラインの開発には該当しない。
その他行政的観点からの成果
行政的観点として、今後の病院再編統合を促進するうえで求められる2つの人材を明らかにした、1)県・地域全体の地域医療構想を推進できる人材(県・地域全体の医療機関の実績を示すデータに基づいて、戦略的な助言ができる大学の研究者等)、2)地域医療構想に資する個々の地域・医療機関において、具体的な取組みを実践できる人材。地域医療構想の達成に向けた病院再編統合を推進するうえで本研究成果は貢献すると考えられる。
その他のインパクト
病院再編統合における自治体(特に県)の役割を実際の事例調査で明らかにしたことは、現在再編統廃合を検討している全国の地域や病院にとって有用な情報となる。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
2件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
2024-05-30

収支報告書

文献番号
202222011Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,000,000円
(2)補助金確定額
1,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 346,318円
人件費・謝金 334,433円
旅費 115,300円
その他 204,066円
間接経費 0円
合計 1,000,117円

備考

備考
自己資金額 117円

公開日・更新日

公開日
2023-06-01
更新日
2024-05-17