地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進するための政策研究

文献情報

文献番号
202222010A
報告書区分
総括
研究課題名
地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進するための政策研究
課題番号
21IA1006
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
今村 知明(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
  • 藤森 研司(東北大学 大学院医学系研究科 公共健康医学講座医療管理学分野)
  • 伏見 清秀(国立大学法人 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医療政策情報学)
  • 石川 ベンジャミン光一(学校法人 国際医療福祉大学 大学院医学研究科 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部 医療マネジメント学科)
  • 瀬戸 僚馬(東京医療保健大学 医療保健学部 医療情報学科)
  • 小林 美亜(山梨大学大学院総合研究部医学域)
  • 野田 龍也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 小林 大介(国立大学法人京都大学 大学院医学研究科)
  • 佐藤 大介(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 西岡 祐一(奈良県立医科大学 公衆衛生学講座)
  • 赤羽 学(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
  • 吉村 健佑(国立大学法人千葉大学 医学部附属病院)
  • 明神 大也(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部 公衆衛生学講座)
  • 佐藤 拓也(東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
22,239,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
2025年の地域医療構想の実現に向け、各都道府県の構想区域において今後の医療提供体制についての協議が進んでいる。平成30年4月からの第7次医療計画においては、令和2年度に各都道府県において中間見直しが行われたところである。本研究班は、これまで医療法に位置づけられている地域医療構想、医療計画と密接に関わりながら研究を進めてきた。
厚生労働科学研究費補助金「地域医療基盤開発推進研究事業」として、平成30年度から令和2年度において「地域の実情に応じた医療提供体制の構築を推進するための政策研究(H30-医療-一般013)」の3年間の研究を通じ、わが国における公衆衛生の専門家が一同に介して研究を進めてきた。その成果については、第七次医療計画の中間見直しにおいて、追加的評価指標の検討や選定について技術的な助言を行い、また地域医療構想においては都道府県が地域医療構想の実現に向けた医療提供体制の議論や医療機関連携の検討に資するべく定量的なデータ分析やマニュアルやツール作成による支援を行い、その成果を世の中に発信してきた。
本研究班については、令和6年度からの第八次医療計画の策定に向けて、地域医療構想による病床の機能分化・連携、在宅医療・介護連携の推進をはじめとした医療計画の課題を抽出し、国の施策の検討に資する研究を行うものとする。都道府県が実施した医療計画の中間見直し、新型コロナウイルス感染症等の新興感染症の動向や将来の医療受給の予測を踏まえ、PDCAサイクルを回せるしくみづくりや技術的な助言、医師偏在対策や医師確保計画、医療や介護との連携等について課題を整理した上で、NDBやDPC等のデータ分析を活用しつつ、技術的な助言を行う。
研究方法
本研究班は5つの分担班に分けて研究を進め、班会議を通じて、研究の進捗状況の管理、調整を行いながら進める。

① 医療計画班・・・都道府県の第7次医療計画中間見直しの内容についての収集分析、医療介護連携等、第8次医療計画に向けた論点の整理および指標検討。
② 感染症企画班・・・医療計画への「新興感染症等の感染拡大時における医療」の追加に向けて政策上必要な指標および既存事業への感染症対策関連指標の盛り込みについて検討。
③ 大規模データ班・・・病床機能報告の内容の分析、調査項目についての検討およびに活用方法の検討。DPCデータやNDBを用いた都道府県や二次医療圏の医師や医療偏在に関する分析手法の開発。
④ 地域実情分析班・・・地域医療構想の推進に資する急性期医療と回復期医療との連携事例調査および地域医療構想の推進のための都道府県でのデータ分析体制の調査。
⑤ 実地検証班・・・奈良県の医療および介護のKDBデータを活用した分析を実施。
結果と考察
① 医療計画班・・・第8次医療計画の指標について、各疾病・関係者担当から提出された指標案について整理し、集計仕様を決定した。
② 感染症企画班・・・医療計画への「新興感染症等の感染拡大時における医療」の追加に向けて指針への掲載内容について、施設認定要件等の詳細を検討し、指針案を取りまとめた。また、医療計画の指標として盛り込むべき案の作成を行った。
③ 大規模データ班・・・圏域の人口・病床機能別病床数と医師の人員規模について分析した結果、高度急性期・急性期を合わせた急性期等および慢性期の病床において、医師の人的資源が限定的となっている施設に依存している地域を明らかにすることができた。
④ 地域実情分析班・・・地域医療連携推進法人における人事や体制整備状況、亜急性期病院との連携、訪問看護ステーションの再編・統合・連携などに係るヒアリングを行い、結果をとりまとめた。また、地域医療構想を進めるにあたり、都道府県が独自にデータ分析を行い検討を進めるための体制について都道府県へのヒアリングを行い、結果を取りまとめた。
⑤ 実地検証班・・・奈良県の医療および介護のKDBデータを活用した分析を実施し、在宅医療に関する診療行為コード、サービス種類コードの整理を実施した。また、各コードの各コードの年度、性・年齢、都道府県別の提供量を記述疫学的に分析し現状の把握を行った。
第8次医療計画の策定に向けた新規指標の精査や、地域医療構想を推進するための参考となる分析や調査を行うことができ、今後の各都道府県での医療計画、地域医療構想の推進に役立つものであると考えられる。また、新興感染症等拡大時の医療提供体制を検討し、指針案の取りまとめや指標の検討を行うことができた。
結論
本研究の成果は、各都道府県が次年度より策定する医療計画や地域医療構想の実務的な資料として機能することが期待され、わが国の5疾病6事業の推進や評価および病床機能の分化・連携や病床の効率的な利用に資する成果であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2023-06-09
更新日
2023-06-12

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-09
更新日
2023-06-12

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202222010Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
22,239,000円
(2)補助金確定額
22,239,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 4,937,556円
人件費・謝金 3,496,107円
旅費 2,206,400円
その他 11,628,472円
間接経費 0円
合計 22,268,535円

備考

備考
収入の「(2)補助金確定額」と支出の「合計」に差異は、自己資金29,535円です

公開日・更新日

公開日
2024-02-06
更新日
-