文献情報
文献番号
200922008A
報告書区分
総括
研究課題名
血液、尿等、生体への侵襲が少ないバイオマーカーを用いた診断方法に関する研究
課題番号
H20-認知症・一般-006
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
松原 悦朗(弘前大学 大学院医学研究科)
研究分担者(所属機関)
- 鷲見 幸彦(国立長寿医療センター)
- 服部 英幸(国立長寿医療センター)
- 関山 敦生(兵庫医科大学)
- 滝川 修(国立長寿医療センター)
- 渡邉 淳(国立長寿医療センター)
- 鄭 且均(国立長寿医療センター)
- 加藤 隆司(国立長寿医療センター)
- 遠藤 英俊(国立長寿医療センター)
- 道川 誠(国立長寿医療センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
アルツハイマー病(AD)は、少子超高齢化社会が目前に迫った本邦において、根本治療が切望される代表的疾患である。しかしながら客観的証拠に基づいたその診断指標はなく、早期治療介入や新規治療法開発への大きな障害となっている。可及的速やかに軽度認知障害(MCI)やADに移行する前段階で患者を抽出し、根本治療導入までの期間短縮と介護予防推進を図る必要があり、本研究ではその目的達成のため、血液や尿等を使用し、MCIやADを発症する可能性のある患者を予測するスクリーニングマーカーと、MCIやADを特異的に選別する診断マーカー取得を目指す。
研究方法
MCI/ADスクリーニングバイオマーカー検証のため、多施設連携認知症検診とメラトニン経口負荷による脳内蓄積Aβ血中排泄負荷試験を、またMCI/AD診断バイオマーカー検証のため集団探索研究を展開する。さらにこうした早期診断を可能とする体制作りの基盤整備目的に早期対応方法確立を目指す。
結果と考察
健常高齢者を6年間追跡評価した結果、追跡開始時の血漿Aβ濃度が健常高齢者からMCIへとコンバートした症例ではすでに低い傾向にあり、ADを発症した症例では統計的にも有意に低下していることが明らかとなった。血漿Aβ40濃度には著変なく、血漿中Aβ40/Aβ42比を検証すると、健常高齢者からMCIとADの両者へコンバートした症例においては、追跡開始時の健常時期からすでに高値を呈していることが明らかとなった。この結果は、血漿Aβ42測定と、Aβ40/Aβ42比測定が、MCI/ADの発症リスクを予測するスクリーニングバイオマーカーとして有望であることを示唆している。集団探索研究の検体収集はH22の解析に向け健常高齢者とADで完了、MCIとnon-AD型認知症で約50%と継続中である。H22施行予定のメラトニン経口負荷による脳内蓄積Aβ血中排泄負荷試験対象のMCI患者のリクルートとFDG-/Amyloid-PET施行枠確保は完了した。また認知症早期発見を念頭に認知症在宅家族教育支援プログラム開発の一環として作製した家族向け認知症テキストの実用性を確認した。
結論
MCI/ADスクリーニングバイオマーカーとして、血漿Aβ42測定と、Aβ40/Aβ42比測定が有望であることを明らかとした。
公開日・更新日
公開日
2010-05-24
更新日
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