浸水被害も含めた、新たな医療機関の事業継続計画(BCP)策定に資する研究

文献情報

文献番号
202222007A
報告書区分
総括
研究課題名
浸水被害も含めた、新たな医療機関の事業継続計画(BCP)策定に資する研究
課題番号
21IA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
本間 正人(国立大学法人鳥取大学 医学部器官制御外科学講座 救急・災害医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 小井土 雄一(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 大友 康裕(国立大学法人東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
  • 堀内 義仁(国際医療福祉大学 熱海病院 皮膚科)
  • 阿南 英明(藤沢市民病院)
  • 三村 誠二(独立行政法人国立病院機構本部 DMAT事務局)
  • 湯浅 恭史(徳島大学 環境防災研究センター)
  • 佐々木 宏之(東北大学 災害科学国際研究所)
  • 高橋 礼子(愛知医科大学 災害医療研究センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
1,157,000円
研究者交替、所属機関変更
三村 誠二(徳島県立中央病院・救命救急センター・センター長、令和4年7月1日より独立行政法人国立病院機構本部・DMAT事務次長に異動)

研究報告書(概要版)

研究目的
地震・津波災害に加え、風水害が頻発し河川の氾濫による浸水災害が頻発しこれらの災害に対する病院の備えが喫緊の課題となっている。本研究の目的は、これまでの研究を基に、被害や支援状況、医学分野以外の例えば気象学、土木学、建築学の最新の知見や防災研究所等の専門家の意見を加味し、浸水被害を想定した病院BCPを通して日本全国の病院の備えを強化することとした。
研究方法
以下のテーマについて分担して研究を行った。
「病院避難や病院支援におけるDMATや医療班との連携に関する研究」(小井土雄一 研究分担者)
 「学術専門家連携とBCPに関する研究」(大友康裕 研究分担者)
「BCPの考え方に基づいた災害対応マニュアルについての研究」
(堀内義仁 研究分担者)
「浸水被害を想定した病院避難に関する研究」(阿南英明 研究分担者)              
「浸水被害を想定した病院BCPの遠隔研修にかかわる研究」(三村誠一 研究分担者)  
「徳島県内の医療機関におけるBCP連携に関する研究(湯浅恭史 研究分担者)
「頻発・激甚化する豪雨水害とBCPのあり方に関する研究」(佐々木宏之 研究分担者)   
 「愛知県内の医療機関におけるBCP策定状況調査とBCP連携に関する研究」(髙橋礼子 研究分担者)     
結果と考察
・厚労省主催のBCP策定研修や広島県主催のBCP策定研修会を通して、これまでのBCPチャックリストを改訂し、別途作成した水害BCPと区別するために震災に備えたBCPチェックリスト(2023年版)を作成した。
・熊本水害において病院避難を余儀なくされた医療機関に対してヒアリング研修会を実施し、被災医療機関が受援に際して重点的な対応を要する項目を抽出する。これらの抽出された項目に加え、過去の研究報告書やDMAT活動報告書、日本DMAT隊員養成研修資料等を参照し、風水害にて浸水リスクのある被災医療機関を対象とした病院対応マニュアルの項目を整理し、「発災直後の病院対応チェックリスト」を作成した。
・日本地震学会、地域安全学会、日本火山学会、日本原子力学会を選び、「災害から国土と命を守る専門家をどう育てるか」をテーマにシンポジウムを開催した。学会・学術集会・研究班会議を通じて、最新の研究知見を収集した。特に各学会から提供された人材育成についての情報は、医療機関の浸水災害に対するBCP策定に有益であると考えられた。
・水害対策BCP策定に必要なチェックリストの項目(チェック項目)を、前年度に続き実際に行われた県主催のBCP策定セミナー(広島県、計3回)で応用し、さらに重要なものへの絞り込みと追加をおこない、確定した。
・水害被害を想定した場合の病院避難の判断に関して、受援医療機関等および支援団体各々の視点で「水害における病院避難の受援及び支援に関する指針」としてまとめた。
・共通タイムラインに基づく訓練手法の検討を行い、徳島県内の医療機関での訓練の実施し、改善方法の検討とBCP連携を検討する上での課題を抽出した。また、徳島県内の医療機関を対象とした訓練手法の研修会を実施した。
・災害拠点病院765病院中221病院(28.9%)、非災害拠点病院7406病院中2044病院(27.6%)が洪水浸水想定区域内に立地。また災害拠点病院765病院中19病院(2.5%)、非災害拠点病院7406病院中405病院(5.5%)が土砂災害ハザードエリア内に立地。
・報道・文献ベースの解析では、浸水被害を経験したほとんどの病院が洪水浸水想定区域内に立地。
・既存・新規設置病院別、ハザードマップ上の想定浸水深別、さらにタイムラインとして、水害に対する病院BCPに盛り込むべき項目を抽出した。
・愛知県の事例からEMIS施設情報・浸水期間を踏まえた愛知県西部の医療機関の現状把握と、各医療機関のBCPの詳細分析を基に、浸水地域(特に広範囲かつ長期湛水が見込まれるエリア)BCPにおける追加項目(案)として、
最大浸水継続期間、診療制限・生活機能制限等を行った上でのライフライン・食料等の対応可能期間
、医療機関の対応方針、事前準備としてEMIS施設情報の入力・更新の4点を提言した。
結論
本研究班の成果として以下の5点があげられる。
① 浸水被害に対する病院の備えを強化するために、病院の浸水対応BCPのひな形やチェックリストを提示したこと
② 浸水被害に対する病院の備えを強化するための研修会を試行開催し、コンテンツを検討したこと
③ 防災研究所等の専門家の意見を加味して、浸水被害に対する病院の防災力を強化したこと
④ 防災学術連携体を通して共同シンポジウムを開催し、医学分野以外の例えば気象学、土木学、建築学の最新の知見を共有したこと
⑤これまでに作成提示した震災向けチェックリスト等をアップデートしたこと

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222007B
報告書区分
総合
研究課題名
浸水被害も含めた、新たな医療機関の事業継続計画(BCP)策定に資する研究
課題番号
21IA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
本間 正人(国立大学法人鳥取大学 医学部器官制御外科学講座 救急・災害医学分野)
研究分担者(所属機関)
-
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222007C

成果

専門的・学術的観点からの成果
災害拠点病院765病院中221病院(28.9%)、非災害拠点病院7406病院中2044病院(27.6%)が洪水浸水想定区域内に立地。災害拠点病院765病院中19病院(2.5%)、非災害拠点病院7406病院中405病院(5.5%)が土砂災害ハザードエリア内に立地していること、浸水被害を経験したほとんどの病院が洪水浸水想定区域内に立地していた。都道府県別データを公開することで、各都道府県行政担当者、医療関係者に各地域の浸水リスク、医療機能継続について警鐘を鳴らすことができると考えた。
臨床的観点からの成果
医療機関のBCPチェックリストを改定した。浸水被害を想定したチェックリストを新たに作成した。これらを指標として、医療機関のBCP整備が推進されると考える。またチェックリストはBCP策定事業等の研修会に教材として利用されることが臨床的・社会的意義としてあげられる。
ガイドライン等の開発
・震災を想定したBCPチェックリスト(改定)
・浸水被害を想定したBCPチェックリスト
・水害における病院避難の受援及び支援に関する指針
その他行政的観点からの成果
新たなBCPチェックとして、都道府県に対して通知されることが見込まれる。
その他のインパクト
日本災害医学会学術集会会期中に、防災学術連携体特別シンポジウムを開催した。

発表件数

原著論文(和文)
9件
原著論文(英文等)
42件
その他論文(和文)
13件
その他論文(英文等)
1件
学会発表(国内学会)
55件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
38件
令和3年度厚生労働省事業 継続計画(BCP)策定研修(年間16回)、令和4年度厚生労働省事業継続計画(BCP)策定研修(年間16回)、令和3年度広島県事業継続計画(BCP)策定事業研修3回、令和4年度

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-

収支報告書

文献番号
202222007Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
1,503,000円
(2)補助金確定額
934,000円
差引額 [(1)-(2)]
569,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 275,725円
人件費・謝金 176,400円
旅費 0円
その他 136,195円
間接経費 346,000円
合計 934,320円

備考

備考
千円以下の端数の、320円は自己資金

公開日・更新日

公開日
2023-07-06
更新日
-