アミロイドイメージングを用いたアルツハイマー病の発症・進展予測法の実用化に関する多施設大規模臨床研究

文献情報

文献番号
200922007A
報告書区分
総括
研究課題名
アミロイドイメージングを用いたアルツハイマー病の発症・進展予測法の実用化に関する多施設大規模臨床研究
課題番号
H20-認知症・一般-005
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
石井 賢二(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 岩坪 威(東京大学大学院 医学系研究科 神経病理学分野)
  • 渡辺 恭良(理化学研究所 分子イメージング科学研究センター)
  • 千田 道雄(先端医療センター 分子イメージング研究グループ)
  • 須原 哲也(放射線医学総合研究所 分子イメージングセンター)
  • 田代 学(東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター)
  • 加藤 隆司(国立長寿医療センター 長寿脳科学研究部)
  • 尾内 康臣(浜松医科大学 分子イメージング先端研究センター)
  • 塩見 進(大阪市立大学大学院 医学研究科 核医学)
  • 松成 一朗(先端医学薬学研究センター 臨床研究開発部)
  • 百瀬 敏光(東京大学大学院 医学系研究科 核医学分野)
  • 織内 昇(群馬大学大学院 医学研究科 放射線診断核医学)
  • 佐藤 元(東京大学大学院 医学系研究科 公衆衛生学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成20(2008)年度
研究終了予定年度
平成22(2010)年度
研究費
20,805,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、アルツハイマー病(AD)の克服に向けて、その病態の本質的進展を客観的に示す指標(surrogate marker)として最も期待されているアミロイドイメージングの検査方法を標準化し、国内の基盤整備を行うと共に、収集したデータにもとづいてADの発症予測法を確立、実用化する。これにより、認知症による要介護者減少のための実用的早期介入法の実現を促進する。
研究方法
厚労科学・ナノメディシン研究課題による新規製剤開発プロジェクトおよび厚労省長寿科学・経産省NEDOによるJ-ADNI臨床研究プロジェクトと連携し、プロトコル共通化と基盤整備をおこない、世界4極のADNI研究におけるアミロイドイメージング研究と互換性のあるデータを得るとともに、本邦で検査可能な最大限の症例数を確保する。
平成20年度は薬剤合成、撮像法等の検査法の標準化を行った。これにもとづいて、平成21年度は実施施設基盤を更に整えた。J-ADNI登録症例検査を実施、更に追跡可能な既存のデータも加え、その臨床的な意義について基礎的な検討を行うと共に、診断精度の向上を目指し、種々の解析方法の開発を行う。

結果と考察
プロトコル共有施設は19施設となった。本邦症例の健常者(HC)、軽度認知障害(MCI)、AD各群における陽性率はJ-ADNI PiB症例(75例)でHC 32%、MCI 70%、AD 93%、J-ADNI外症例(449例)でHC 19%、MCI 55%、AD 87%であった。J-ADNI症例ではAPOE ε4保有者では陽性率が際立って高く、ε4とアミロイド集積との強い相関が示唆された。アミロイドイメージング陰性のAD、陽性のHCが存在することについては、画像の感度、臨床診断の両面でその意義を検討する必要があり、病理評価を含めた追跡研究体制を整えてゆかなければならない。現在の検査法は集団効果の解析には十分な精度があると考えられるが、治療対象の選択や治療効果判定には更に精度の高い診断方法が求められる。今後、頭部撮影に適したPETカメラの性能評価法や基本仕様の検討、装置間差の補正法についても検討を重ねる。
結論
本研究前半の目標である検査法の標準化と普及をほぼ達成した。今後集積したデータの解析により、その臨床的意義に関わるエビデンス構築の基盤を作り、最終目標であるアミロイドイメージングによるアルツハイマー病の発症・進展予測法の確立を目指す。

公開日・更新日

公開日
2010-05-24
更新日
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