医療の質および患者アウトカムの向上に資する、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメント手法の開発

文献情報

文献番号
202222006A
報告書区分
総括
研究課題名
医療の質および患者アウトカムの向上に資する、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメント手法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
林田 賢史(産業医科大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
  • 秋山 智弥(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
  • 森脇 睦子(東京医科歯科大学医学部附属病院 クオリティ・マネジメント・センター)
  • 恒松 美輪子(広島大学 大学院医系科学研究科健康情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、急性期の入院患者を対象に、以下を目的に実施する。
1)看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な、患者アウトカムに関連する看護資源指標を開発する。
2)有事における適切な看護資源配分の検討に活用可能な指標について考案する。
これらを通じて、地域や施設における最適な看護提供体制構築に資する政策提言を目指す。
研究方法
1.看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標の検討
研究協力施設から、「DPCデータ(様式1、EFファイル、Hファイル)」および「入院基本料等の施設基準に係る届出書添付書類 様式9」を収集し、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標に関して、生存退院と死亡退院症例の分布を比較することで検討した。
2.有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の考案(多施設データを用いた分析)
昨年度実施した単施設におけるプレスタディーにおいて考案した有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の開発の方法論ならびに指標について、多施設での汎用化可能性を検討した。具体的には、①普段当該病棟に入院しない診療科や疾患群の患者の入院等で混乱が発生している、②不要不急の患者の割合が減少することで重症患者が相対的に増加している、③重症系病床での療養が望ましい患者が一般病棟へ入院していることを示す指標等について検討した。
結果と考察
1.看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標の検討
死亡退院症例の一日あたりの患者あたり平均看護ケア時間および平均看護ケア充実指数の値は生存退院症例より低い傾向であり、平均看護ケア時間および平均看護ケア充実指数と患者アウトカム(生存/死亡退院)との関連において有意差が見られた。
2.有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の考案(多施設データを用いた分析)
診療科混成度(指標1)、急性期医療提供患者割合(指標5)、ICU相当患者(ICUでのケアと同等のケアが必要と考えられる患者)割合(指標6)等の多くの指標の値が有事と考えられる期間において上昇していた。
結論
看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標として、1日あたり平均看護ケア時間、ならびに看護必要度から算出される1日あたり平均看護ケア充実指数を検討したところ、患者アウトカム向上に資する指標としての利用可能性ならびに基準値算出の可能性について示唆された。
有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標については、診療科混成度や患者の状態像の可視化を通じて、多施設での分析でも同様の結果を確認できたため、昨年度考案した手法は汎用可能であると考えられた。
本研究ではいずれの分析においても様々な限界はあるものの、検討した指標については、地域や施設における最適な看護提供体制の構築に向けた適切な看護サービス・マネジメントに活用可能であると考える。

公開日・更新日

公開日
2023-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-08
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222006B
報告書区分
総合
研究課題名
医療の質および患者アウトカムの向上に資する、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメント手法の開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
21IA1002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
林田 賢史(産業医科大学 大学病院)
研究分担者(所属機関)
  • 梯 正之(広島大学大学院保健学研究科)
  • 松田 晋哉(産業医科大学 医学部・公衆衛生学)
  • 秋山 智弥(名古屋大学 医学部附属病院)
  • 堀口 裕正(独立行政法人国立病院機構 本部 総合研究センター 診療情報分析部)
  • 森脇 睦子(東京医科歯科大学医学部附属病院 クオリティ・マネジメント・センター)
  • 恒松 美輪子(広島大学 大学院医系科学研究科健康情報学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、急性期の入院患者を対象に、以下を目的に実施する。
1)国内外の文献レビュー等をもとに、患者アウトカムに影響する看護資源(量・質)の要素について整理し、我が国の看護サービスと看護関連アウトカムの関係において不足しているエビデンスを明示する。
2)看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な、患者アウトカムに関連する看護資源指標を開発する。
3)有事における適切な看護資源配分の検討に活用可能な指標について考案する。
これらを通じて、地域や施設における最適な看護提供体制構築に資する政策提言を目指す。
研究方法
1.看護関連アウトカムに影響する看護資源要素についての整理
国内外の文献レビュー等をもとに、医療の質や看護関連アウトカム(転倒転落、30日以内再入院、在院日数、死亡率等)に影響する看護関連要素(提供体制、専門性の高い看護師の配置等)を整理した。
2.解析用データベース(DB)の構築
研究参加病院(約1,000の急性期病院)から2019年度、2020年度、2021年度のDPCデータを収集し、解析用DBを構築した。また、そのうちの9病院からは、さらに2019年度の看護職の勤務状況や専門性を有する看護師の配置状況に関するデータを収集し、解析用DBを構築した。
3.看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標の検討
上記2で構築した解析用DBから、患者の性別や年齢、疾患、退院時転帰、入院病棟、看護必要度に関するデータ、看護職の勤務状況に関するデータを抽出し、看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標に関して、生存退院と死亡退院症例の分布を比較することで検討した。
4.有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の考案
有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の開発の方法論や指標について、単施設におけるプレスタディーならびに多施設での汎用化可能性の検討を実施した。具体的には、①普段当該病棟に入院しない診療科や疾患群の患者の入院等で混乱が発生している、②不要不急の患者の割合が減少することで重症患者が相対的に増加している、③重症系病床での療養が望ましい患者が一般病棟へ入院していることを示す指標等について検討した。
結果と考察
1.看護関連アウトカムに影響する看護資源要素についての整理
海外では多くの研究がなされており(多数のレビュー論文やレビュー論文のレビューであるumbrella reviewも存在)、看護関連アウトカムに影響する看護資源要素についての知見がそろっていた。一方、国内での研究については、2段階スクリーニング後に、2006年から2021年までに出版された15件(和文及び英文併せて)が抽出され、わが国での研究はほとんどないことが明らかとなった。国内での看護配置とNursing sensitivity outcomesとの関連を検討した研究においては、使用しているアウトカムが様々かつ結果も一致していない状況であり、国内での研究の必要性が再確認された。
2.解析用データベース(DB)の構築
2019年度、2020年度、2021年度のDPCデータ、ならびに2019年度の看護職の勤務状況や専門性を有する看護師の配置状況に関するデータを収集し、解析用DBを構築した。
3.看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標の検討
今回検討した1日あたりの平均看護ケア時間および平均看護ケア充実指数については、死亡退院症例の値の方が生存退院症例の値より低い傾向であり、統計学的に有意であった。
4.有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標の考案
①不慣れ感、 ②患者構造の重症化、③重症病床押し出され患者対応の指標を考案した。その指標の多くの数値は有事と考えられる期間において上昇する傾向であった。
結論
国内外の文献レビューにより、看護資源と看護関連アウトカムとの関連に関する研究の現状について把握した。看護ニーズに基づく適切な看護サービス・マネジメントに活用可能な看護資源指標については、考案した指標に関して患者アウトカム向上に資する指標としての利用可能性ならびに基準値算出の可能性が示唆された。有事における適切な看護資源配分に活用可能な指標については、病棟の不慣れと患者の重症度に焦点を当てその患者像を明らかにした。今回開発した指標は、「忙しい」という主観的に表現された病棟状況を客観的に表現する有用な指標であり、効率的で安全な人員配置や良好な病棟運営の一助になると考えられる。
本研究ではいずれの分析においても様々な限界はあるものの、検討した指標については、地域や施設における最適な看護提供体制の構築に向けた適切な看護サービス・マネジメントに活用可能であると考える。

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2023-05-31
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222006C

収支報告書

文献番号
202222006Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
400,000円
(2)補助金確定額
400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 543,098円
人件費・謝金 398,150円
旅費 905,640円
その他 1,230,112円
間接経費 923,000円
合計 4,000,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-06-08
更新日
-