医療機関の医療安全の連携の現状把握及び促進する手法の開発に関する研究

文献情報

文献番号
202222005A
報告書区分
総括
研究課題名
医療機関の医療安全の連携の現状把握及び促進する手法の開発に関する研究
課題番号
21IA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 修平(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
  • 藤田 茂(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
  • 西澤 寛俊(公益社団法人全日本病院協会)
  • 永井 庸次(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
  • 小谷野 圭子(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
  • 大西 遼(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
2,080,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全を確保するには、医療安全管理担当者の養成・配置のみでなく、望ましい院内体制、活動内容を明らかにし、その達成状況を、適宜、実態を把握し、改善する必要がある。医療安全管理体制相互評価(以後 相互評価)は、医療機関相互の連携を促進し、特に大規模の急性期病院が、資源の限られた小規模、慢性期などの病院を指導、協力することにより、地域全体の医療安全の向上を図る方法として注目されている。
 本研究は、医療安全管理体制、相互評価の実施状況を把握するとともに、相互評価に係る課題を抽出し、全日本病院協会の相互評価のための研修プログラムを改善し、標準的研修プログラムとして実際に実施することにより、効果を実証することを目的とした。
研究方法
令和4年度は令和3年度から継続して、本課題に取り組んだ。COVID-19の感染拡大等により、研究計画の一部変更を余儀なくされたが、当初想定していた研究成果は得られた。まず、令和3年度に実施した相互評価の点検表と教育プログラムの現況調査のための、インタビュー調査については継続して分析を実施した。また、令和3年度に実施した全国の病院を対象としたアンケート調査について、統計解析により相互評価の運用方法等における課題の抽出を行った。
結果と考察
解析の結果、相互評価の実施により医療安全上、得るものがあったと感じた病院の特徴として、開設主体が異なる地域の医療機関と連携していること、相互評価を受ける際に病院幹部が参加している等が明らかになった。
 全日本病院協会の医療安全管理相互評価研修プログラム受講者408名(内、連絡が届く377名が対象)に対して、研修内容の評価、改善点等について質問項目を設定、アンケート調査を実施した。研修受講者を対象としたアンケート調査の有効回答率は23.3%(88/377)であった。調査の結果、7割以上の受講者が相互評価の目的を加算の取得、地域連携の強化、自己点検では気付かない医療安全上の課題の抽出と捉えており、特に2022年度の受講者は2021年度以前の受講者と比べて、地域連携の強化を重視していた。研修会の内容については、全体で9割以上の受講者が満足もしくはどちらかといえば満足と回答しており、2022年度は満足と回答する割合が増加した。
結論
相互評価の点検表と教育プログラムについてのインタビュー調査をまとめた結果、評価者研修を行っている団体がないこと、評価基準や評価方法の標準化、総合的質の確保が課題であることが明らかになった。医療安全体制に関わる基礎的な部分の評価について、評価項目および評価方法(評価者の研修等)の標準化が必要であることが示唆された。
今後は、得られた情報をさらに解析し、相互評価の効果的運用方法を明らかにするとともに、調査結果を相互評価のための標準的教育研修プログラムへの活用について検討する。

公開日・更新日

公開日
2023-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-15
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222005B
報告書区分
総合
研究課題名
医療機関の医療安全の連携の現状把握及び促進する手法の開発に関する研究
課題番号
21IA1001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
飯田 修平(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 長谷川 友紀(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
  • 藤田 茂(東邦大学 医学部 医学科 社会医学講座)
  • 西澤 寛俊(公益社団法人全日本病院協会)
  • 永井 庸次(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
  • 小谷野 圭子(公益財団法人東京都医療保健協会 医療の質向上研究所)
  • 大西 遼(東邦大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
医療安全を確保するには、医療安全管理担当者の養成・配置のみでなく、望ましい院内体制、活動内容を明らかにし、その達成状況を、適宜、実態を把握し、改善する必要がある。医療安全管理体制相互評価(以後 相互評価)は、医療機関相互の連携を促進し、特に大規模の急性期病院が、資源の限られた小規模、慢性期などの病院を指導、協力することにより、地域全体の医療安全の向上を図る方法として注目されている。既に、相互評価のための点検表は複数公表され、相互評価を想定した研修も全日本病院協会が実施している。本研究では、医療安全管理体制、相互評価の実施状況を把握するとともに、相互評価に係る課題を抽出し、全日本病院協会の相互評価のための研修プログラムを改善し、標準的研修プログラムとして実際に実施することにより、効果を実証することを目的とした。
研究方法
令和3年度はCOVID-19の感染拡大と政府の緊急事態宣言の発出等により、研究計画の一部変更を余儀なくされたが、調査は当初計画通りに完了した。まず、相互評価の点検表と教育プログラムの現況調査のため、国立病院機構、労働者健康安全機構、国立大学病院長会議、私立医科大学協会、南大阪医療安全ネットワーク(ベルランド総合病院)に、対面とオンラインを併用し、インタビュー調査を実施した。令和4年度は令和3年度から継続して、本課題に取り組んだ。COVID-19の感染拡大等により、研究計画の一部変更を余儀なくされ、令和3年度に実施した相互評価の点検表と教育プログラムの現況調査のための、インタビュー調査については継続して分析を実施した。次に、全国の病院から病床規模で層化抽出した3,166病院を対象に、郵送法によるアンケート調査を令和4年1月7日発送、1月28日回収という日程で実施した。また同日程で、全日本病院協会の医療安全管理相互評価研修プログラム受講者391名に対して、研修内容の評価、改善点等について質問項目を設定、アンケート調査を実施した。令和3年度に実施した全国の病院を対象としたアンケート調査について、令和4年度は統計解析を実施し、相互評価の運用方法等における課題の抽出を行った。
結果と考察
解析の結果、相互評価の実施により医療安全上、得るものがあったと感じた病院の特徴として、開設主体が異なる地域の医療機関と連携していること、相互評価を受ける際に病院幹部が参加している等が明らかになった。
相互評価の点検表と教育プログラムについてのインタビュー調査では、評価者研修を行っている団体はなく、評価基準や評価方法の標準化、総合的質の確保が課題であると考えられた。各団体が重点項目の評価を重視する傾向にある中で、医療安全体制に関わる基礎的な部分の標準的評価項目と評価方法(評価者の研修等)の確立が必要であることが示唆された。
全国の病院を対象としたR3年度のアンケート調査の有効回答率は20.7%(654/3,166)であった。約8割の病院が同じまたは隣接する市区町村の開設主体が異なる医療機関と相互評価を実施しており、常設の相互評価実施のための部署を設置している。研修受講者を対象としたアンケート調査の有効回答率は40.9%(160/391)であった。約9割の受講者が研修内容に満足していた。R4年度のアンケート調査の有効回答率は23.3%(88/377)であった。調査の結果、7割以上の受講者が相互評価の目的を加算の取得、地域連携の強化、自己点検では気付かない医療安全上の課題の抽出と捉えており、特に2022年度の受講者は2021年度以前の受講者と比べて、地域連携の強化を重視していた。研修会の内容については、全体で9割以上の受講者が満足もしくはどちらかといえば満足と回答しており、2022年度は満足と回答する割合が増加した。
結論
相互評価の点検表と教育プログラムについてのインタビュー調査をまとめた結果、評価者研修を行っている団体がないこと、評価基準や評価方法の標準化、総合的質の確保が課題であることが明らかになった。医療安全体制に関わる基礎的な部分の評価について、評価項目および評価方法(評価者の研修等)の標準化が必要であることが示唆された。
今後は、得られた情報をさらに解析し、相互評価の効果的運用方法を明らかにするとともに、調査結果を相互評価のための標準的教育研修プログラムへの活用について検討する。

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222005C

成果

専門的・学術的観点からの成果
医療安全管理体制相互評価の個別の実践は複数あるが、標準化に関する研究および実践は、本研究グループ以外にはない。全国調査および相互評価を実施している複数のグループへの聴取でも、標準化を検討していない。したがって、本研究グループ以外に「標準的相互評価点検表」を作成していない。相互評価の意義、標準的相互評価点検表およびその解説、相互評価の具体的方法等の教材を作成し、出版し、全国の病院を対象に研修会を開催している。本研究グループ以外には、評価者教育を実施していない。
臨床的観点からの成果
特になし
ガイドライン等の開発
「医療安全管理体制相互評価の考え方と実際 改訂2版」(2023.1 メディカ出版)に本研究の一部を反映し、より医療情勢の変化等に対応する内容に改訂した。「標準的相互評価点検表」およびその解説を改訂した。本テキストは全国の病院で活用されている。
その他行政的観点からの成果
施設基準要件とされている医療安全管理体制相互評価に係る研修会を本研究グループが中心となり、公益社団法人全日本病院協会において実施している。本研究の成果の一部を、研修会のプログラムに反映している。また、本研修会のテキストとして、前掲「医療安全管理体制相互評価の考え方と実際 改訂2版」を使用している。形式的な教育ではなく、標準的な教材作成、研修プログラム作成、研修実施の成果に基づき、質を担保して、全国展開が容易になった。
その他のインパクト
「標準的相互評価点検表」を用いて、標準的な教材作成、研修プログラム作成、研修実施の成果に基づき、「医療安全管理体制相互評価の考え方と実際 改訂2版」(2023.1 メディカ)を出版した。全国の病院および団体が、質を担保した「相互評価体制構築」が容易になったといえる。また、継続研修等の仕組、「相互評価」の評価の基礎となるものである。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
3件
2021.5 日本品質管理学会第125回研究発表会、2021.8 第62回全日本病院学会、2023.3 日本医療マネジメント学会第23回東京支部学術集会
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
3件
医療安全管理体制相互評価研修会を年3回開催 、医療安全管理者養成講習会で講義 、「医療安全管理体制相互評価の考え方と実際 改訂2版」出版

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2023-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
202222005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,601,000円
(2)補助金確定額
2,601,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 200,000円
人件費・謝金 600,000円
旅費 700,000円
その他 580,000円
間接経費 521,000円
合計 2,601,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2024-05-17
更新日
-