小児科医師確保計画を踏まえた小児医療の確保についての政策研究

文献情報

文献番号
202222003A
報告書区分
総括
研究課題名
小児科医師確保計画を踏まえた小児医療の確保についての政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20IA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 健佑(千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 大介(千葉大学 医学部附属病院)
  • 高橋 尚人(東京大学 医学部附属病院 小児・新生児集中治療部)
  • 清水 直樹(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 平山 雅浩(三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座小児科学分野)
  • 和田 和子(大阪府立病院機構 大阪母子医療センター・新生児科)
  • 伊藤 友弥(あいち小児保健医療総合センター 救急科)
  • 佐藤 好範(日本小児科医会)
  • 土井 俊祐(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
3,132,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
小児医療資源が限られるなか、小児医療における地域医療提供体制を病院経営的観点も踏まえて最適化・効率化するための見直しが求められている。小児科医師確保計画および第8次医療計画に資する良質な小児医療機能を将来に引き継ぐための小児医療提供体制に向けた提言を行うことを目的とした研究を行った。
研究方法
都道府県に対してヒアリング調査を行い、現行の都道府県小児科医師確保計画の取り組みにおける課題や効果について検討した。また、令和3年度に実施した小児全国実態調査を用いて「専門性」と「救急性」の関連について定量分析したほか、重症患児の診療体制と診療実績に関する現状分析を行った。
結果と考察
ヒアリング調査により、小児科医師確保における都道府県の現状を概観することができた。小児科医師確保ガイドラインの改定に向け、次の6点の提案を行う。①働き方改革を踏まえた労働力の把握を行い、その対策を講じること、②都道府県は大学等の研究者と連携し、データ分析体制を強化し小児科医師確保計画および小児医療体制の整備に努めること、③働き方改革を踏まえた小児科医師確保について協議会において議論を進めること、④2024年までに働き方改革を考慮した目標医師数に達しない場合は、小児医療圏の再編等を見据えた計画を検討すること、⑤ヒアリングで明らかとなった効果的な施策についてガイドラインに追加すること、⑥医師偏在指標について、小児医療の点から実態を明確にできるように引き続き議論が必要であること。
令和3年度に実施した全国実態調査の定量分析の結果、15歳未満の救急件数の多寡にかかわらず、専門性の指標が一定の水準を満たさない病院が多くあり、救急車の受け入れ件数と専門性のカバー状況の関連は小さいことが明らかになった。また、重症患児の診療体制と診療実績に関する現状分析についてはPICUの整備に関しては地域格差がみられるほか、専門スタッフによる小児集中治療が行われる環境の普及が十分でないことが示唆された。
結論
本研究により小児科医師確保に関する都道府県の現状や効果的な取り組みを明らかとした。本研究で得た知見を医師確保計画策定ガイドラインにおいて共有することで、より実効性のある都道府県小児科医師確保計画の立案に寄与すると考えられる。医師全体と比較し小児科医数は少なく、医療需要に合わせた効率的な医師配置を行うために令和3年度に実施した全国実態調査のような精緻なデータ取得をもとに医師配置を検討していく必要がある。小児科医の増加・定着に向け、小児拠点病院の指定や地域枠制度の運用を進めるほか、2024年度に迫る働き方改革に向けた短期間での医師確保のため、再編を見据えた医療計画が必要となることが明らかになった。

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2023-06-22
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202222003B
報告書区分
総合
研究課題名
小児科医師確保計画を踏まえた小児医療の確保についての政策研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
20IA1003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
吉村 健佑(千葉大学 医学部附属病院)
研究分担者(所属機関)
  • 佐藤 大介(千葉大学 医学部附属病院)
  • 高橋 尚人(東京大学 医学部附属病院 小児・新生児集中治療部)
  • 清水 直樹(聖マリアンナ医科大学 医学部)
  • 平山 雅浩(三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座小児科学分野)
  • 和田 和子(大阪府立病院機構 大阪母子医療センター・新生児科)
  • 伊藤 友弥(あいち小児保健医療総合センター 救急科)
  • 佐藤 好範(日本小児科医会)
  • 土井 俊祐(東京大学 医学部附属病院 企画情報運営部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究分野 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
限られた小児医療資源を最適に配置する医療提供体制および小児医療に関する専門医の配置を最適化・効率化するために、1)小児科医師確保計画に関する課題整理、2)小児科医療の機能要件および施設基準に資する資料となる全国実態調査を実施し、小児科医師確保計画および第8次医療計画の見直しにおける効果的な提言を行うことを目的とした研究を行った。
研究方法
複数回の協議を重ね、全国実態調査を作成・実施し、地理的空間情報分析を含む定量分析を行った。また、小児科医師確保計画に関する課題整理のために都道府県小児科医師確保計画のレビューとヒアリング調査を行った。
結果と考察
1.都道府県小児科医師確保計画のレビュー(1年目)
都道府県における小児科医師確保計画を踏まえ、国が定めるガイドラインのうち、①医療提供体制等の見直し、②医師の派遣調整、③勤務環境の改善、④養成数を増やす取り組みについて有効である可能性が示唆された。
2.小児科医療の機能要件および施設基準に資する資料となる全国実態調査(2年目、3年目)
調査対象899施設のうち557施設の回答(回答率62.0%)があった。地域の実情における3つの傾向が明らかになり、小児科医療体制の検討においては「診療実績」と「地域の実情」を考慮した分析が重要であることが裏付けられた。
(1)15歳未満の救急車受入件数が多いほど、高い小児科医療機能を有している傾向が示唆された。
(2)救急件数と診療実績の「重症度」との関連性の可能性が示唆された。
(3)地理的空間情報分析の結果、診療実績の定量的評価にはいくつかのパターンが考えられた。
①周辺に施設が少なく、規模が大きいために周辺の医療圏を含めた基幹病院になっている地域
②地域周辺に小規模な拠点病院が点在する地域
③周辺に施設が少なく、規模が小さくとも地域医療圏の拠点病院を担っていると考えられる地域
全国実態調査の分析結果を基に、小児科医療機能の施設基準の要件となる定量的区分について検証を行い、小児医療の明確な設備要件や拠点化を進めていく必要がある。
3.都道府県小児科医師確保計画に係るヒアリング調査(3年目)
ガイドラインを遵守しており、独創的な取り組みを記載している6県へのヒアリング調査により、小児科医師確保における都道府県の現状を概観し、小児科医師確保ガイドラインの改定に向け、次の6点の提案を行う。①医師の働き方改革を踏まえた労働力の把握を行い、その対策を講じること、②都道府県は大学等の研究者と連携し、データ分析体制を強化し小児科医師確保計画および小児医療体制の整備に努めること、③医師の働き方改革を踏まえた小児科医師確保について協議会において議論を進めること、④2024年までに医師の働き方改革を考慮した目標医師数に達しない場合は、小児医療圏の再編等を見据えた計画を検討すること、⑤ヒアリングで明らかとなった効果的な施策についてガイドラインへの追加をすること、⑥医師偏在指標について、小児医療の点から実態を明確にできるように引き続き議論を行うこと。
結論
本研究の成果を通じて、小児科医師確保計画および第8次医療計画の見直しにおける基礎資料となる全国実態調査および都道府県ヒアリング調査を踏まえた提案を実施した。

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202222003C

収支報告書

文献番号
202222003Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,071,000円
(2)補助金確定額
4,071,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 899,800円
人件費・謝金 2,194,775円
旅費 1,458円
その他 35,967円
間接経費 939,000円
合計 4,071,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2023-06-19
更新日
-