認知症の包括的ケア提供体制の確立に関する研究

文献情報

文献番号
200922004A
報告書区分
総括
研究課題名
認知症の包括的ケア提供体制の確立に関する研究
課題番号
H19-認知症・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 信夫(独立行政法人労働者健康福祉機構 関東労災病院)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学)
  • 小長谷陽子(認知症介護研修・研究大府センター)
  • 荒井啓行(東北大学)
  • 鳥羽研二(杏林大学)
  • 鷲見幸彦(国立長寿医療センター病院)
  • 武田雅俊(大阪大学)
  • 服部英幸(国立長寿医療センター病院)
  • 遠藤英俊(国立長寿医療センター病院)
  • 荒井由美子(国立長寿医療センター研究所)
  • 長谷川友紀(東邦大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究費
17,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在約190万人とされ今後の急増が予測される認知症のケアに対する包括的かつ実効的な対策を確立する。
研究方法
認知症のケアにについてアンケートや介入を行い,包括的かつ実効的な検討を行った.
結果と考察
【予防】運動とサプリメントの両方を用いて介入した場合、発症を防御する。食行動を是正する栄養指導により介護者の負担を軽減する。
【危険因子】荒井らはアルツハイマー病発症時の降圧剤服用者、非服用者全ての平均収縮期及び拡張期血圧は、非AD患者に比し、明らかに高値であることを見出した。
【非薬物療法による介入】認知トレーニングは作業療法に比べ有意にADASが改善していた。
【薬物治療によるケアの負担軽減への影響】FTDでは周辺症状の悪化が、DLBでは意欲の低下が重要であり、認知症全般では、MCIと比べ生活自立低下が介護負担要因として重要である。
【BPSDに対応できる地域連携システムの構築】長寿医療センターの位置する愛知県知多半島地域における認知症BPSD治療施設の連携の構築を行なった
【身体合併症発症時の急性期病院での対応】一般病院(ことに急性期病院)おいていかに認知症患者に対応していくかその対応策を検討した。認知症患者サポートチーム(DST)を結成し、依頼のあった病棟へ出張して、相談にのるシステムを検討した。
【家族教育プログラムの作成と実施】認知症の家族支援プログラムの開発と評価に関する研究を行い、認知症や、介護方法、介護保険に関する知識を得る座学を行うこととし、家族同士の連携や仲間作りを行った。
【認知症高齢者の家族介護に対して一般生活者が有する感情構造についての研究】認知症の家族を介護することに対して一般生活者が有する感情に着目し、その構造を明らかにすることを目的とし一般生活者2,500名を対象に、自記式質問紙による郵送調査を実施した。
【認知症の人の看取りにおける医療と介護の連携】アンケート調査を行い,家族が安心した看取りができるように医療や介護のシステムを整備すべきだ、看取りの場所は本人あるいは家族の希望を最優先すべきだ、条件を整備してGHでもっと看取りができるようにすべきとの結果を得た.
【認知症患者への医療提供体制に関する検討】認知症患者の身体合併症発症時の受け入れには、病床の規模及び精神科の救急体制及び入院体制の整備が関連することが明らかとなった。
結論
これまでの研究により現在認知症の現場で認知症ケアにかかわっている多様なニーズが明らかとなった。

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-

文献情報

文献番号
200922004B
報告書区分
総合
研究課題名
認知症の包括的ケア提供体制の確立に関する研究
課題番号
H19-認知症・一般-023
研究年度
平成21(2009)年度
研究代表者(所属機関)
柳澤 信夫(独立行政法人労働者健康福祉機構 関東労災病院)
研究分担者(所属機関)
  • 朝田 隆(筑波大学)
  • 小長谷陽子(認知症介護研修・研究大府センター)
  • 荒井啓行(東北大学)
  • 鳥羽研二(杏林大学)
  • 鷲見幸彦(国立長寿医療センター病院)
  • 武田雅俊(大阪大学)
  • 服部英幸(国立長寿医療センター病院)
  • 遠藤英俊(国立長寿医療センター病院)
  • 荒井由美子(国立長寿医療センター研究所)
  • 長谷川友紀(東邦大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 認知症対策総合研究
研究開始年度
平成19(2007)年度
研究終了予定年度
平成21(2009)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
現在約190万人とされ今後の急増が予測される認知症のケアに対する包括的かつ実効的な対策を確立する。
研究方法
認知症のケアにについてアンケートや介入を行い,包括的かつ実効的な検討を行った.
結果と考察
【予防】運動とサプリメントの両方を用いて介入した場合、発症を防御する。食行動を是正する栄養指導により介護者の負担を軽減する。
【危険因子】荒井らはアルツハイマー病発症時の降圧剤服用者、非服用者全ての平均収縮期及び拡張期血圧は、非AD患者に比し、明らかに高値であることを見出した。
【非薬物療法】認知トレーニングは作業療法に比べ有意にADASが改善していた。
【薬物治療によるケアの負担軽減】FTDでは周辺症状の悪化が、DLBでは意欲の低下が重要であり、認知症全般では、MCIと比べ生活自立低下が介護負担要因として重要である。
【BPSD地域連携システムの構築】長寿医療センターの位置する愛知県知多半島地域における認知症BPSD治療施設の連携の構築を行なった
【身体合併症発症時の対応】一般病院(ことに急性期病院)おいていかに認知症患者に対応していくかその対応策を検討した。認知症患者サポートチーム(DST)を結成し、依頼のあった病棟へ出張して、相談にのるシステムを検討した。
【家族教育プログラム】認知症の家族支援プログラムの開発と評価に関する研究を行い、認知症や、介護方法、介護保険に関する知識を得る座学を行うこととし、家族同士の連携や仲間作りを行った。
【認知症高齢者の家族介護に対して一般生活者が有する感情構造についての研究】認知症の家族を介護することに対して一般生活者が有する感情に着目し、その構造を明らかにすることを目的とし自記式質問紙を実施した。
【認知症の人の看取り】アンケート調査を行い,家族が安心した看取りができるように医療や介護のシステムを整備、看取りの場所は本人あるいは家族の希望を最優先、条件を整備してGHで看取りができるようにすべきとの結果を得た.
【認知症患者への医療提供体制】認知症患者の身体合併症発症時の受け入れには、病床の規模及び精神科の救急体制及び入院体制の整備が関連することが明らかとなった。
結論
これまでの研究により現在認知症の現場で認知症ケアにかかわっている多様なニーズが明らかとなった。個別研究では予防的研究では実際の現場での運動、食事指導の推進、生活習慣病対策による発症予防指導、治療的介入では、身体合併症、心理行動症状へ対応できる地域ネットワークの構築とより完成された非薬物的介入の方法論の確立が必要である

公開日・更新日

公開日
2010-06-04
更新日
-

行政効果報告

文献番号
200922004C

成果

専門的・学術的観点からの成果
アルツハイマー病患者の94.5%に総エネルギー過剰を認めた。
軽度認知機能障害群では髄液中のアディポネクチンは有意に高い。
臨床的観点からの成果
サプリメントと運動をあわせて行うことによって全般的認知機能と注意力の改善がみられた。
アルツハイマー病患者は発症時に非アルツハイマー病患者に比べて明らかに血圧が高い。また降圧剤ではARBと脳移行性の高いACE-I使用群が有意に認知機能テストの悪化が抑制されていた。身体合併症を有する認知症患者の管理には認知症専用ユニットは安全性、教育面では有用。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
家族支援・相談事業を地域包括支援せンターが関与して、行政の枠組みの中で動くことの意義は大きい。
急性期の医療機関における認知症に対する医療の整備は不十分である。
その他のインパクト
市民公開講座「認知症の今を知る」を2009年2月7日名古屋市中小企業振興会館で開催した。

発表件数

原著論文(和文)
6件
原著論文(英文等)
5件
その他論文(和文)
102件
その他論文(英文等)
33件
学会発表(国内学会)
1件
学会発表(国際学会等)
2件
その他成果(特許の出願)
0件
「出願」「取得」計0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
小長谷陽子、渡邉智之、太田壽城他
地域在宅高齢者のQuality of Life(QOL)と認知機能の関連性、
日本老年医学会雑誌 , 46 (3) , 160-167  (2009)

公開日・更新日

公開日
2015-06-10
更新日
-