ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究

文献情報

文献番号
202221005A
報告書区分
総括
研究課題名
ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究
課題番号
20HC2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 四柳 宏(東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野)
  • 磯田 広史(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 是永 匡紹(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター)
  • 米澤 敦子(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 中島 康之(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 梁井 朱美(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 及川 綾子(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 浅井 文和(特定非営利活動法人日本医学ジャーナリスト協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究費
17,881,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝炎対策基本指針において、肝炎についての正しい知識を普及し、これにより肝炎患者等に関わる者が肝炎患者に対して適切な対応を行うことができるようにすることが必要であるとされている。これまで政策研究で実施された肝炎患者に対する偏見や差別に関する調査において、その実態が纏められ示されているが、それらをどのように伝え、偏見や差別を解消するための方策につなげていくかについては十分な検討がなされていない。偏見や差別の解消のために、既存の方法に加え、ソーシャルメディア等を活用した方策の有効性を検討する。特に、肝炎患者と関わることが多い医療機関等においての啓発や、高校生等の若年層への啓発方法について検討を行う。
研究方法
1. 肝炎ウイルス感染者への偏見差別を防止する為の事例集、解説集を内容とするホームページ、ソーシャルメディアを作成して公開する。
2. 偏見・差別の地域差を考慮した上での公開シンポジウムを開催する。
3. ウイルス性肝炎に対する治療の進歩を考慮した上での偏見差別や患者QOLに関した患者調査をおこなう。
4. 高校生等の若年層への啓発の教材として動画を作成し、Youtube上に公開した。
結果と考察
1. 肝炎ウイルス感染者への偏見差別を防止する為の事例集、解説集を内容とするホームページを更新した。事例集・解説集の紹介は3事例増やして14事例とした。2023年2月23日までに11162ユーザーがHPに閲覧アクセスした。B型肝炎の感染性に関する内容についての検索が多く見られた。
2. 偏見・差別の地域差を考慮した上での公開シンポジウムを8月に名古屋市、12月に金沢市で開催し、公開模擬授業は3月に東京で開催した。毎回40名近くの患者やその家族や市民や医療従事者が参加し、肝炎患者の偏見差別の問題についての問題提起、事例紹介、今後の課題などについて活発な意見交換をおこなった。
3. ウイルス性肝炎に対する治療の進歩を考慮した上での偏見差別や患者QOLに関した患者アンケート調査(2021年調査)結果を集計し、2012年に同様におこなった調査(2012年調査)結果と比較検討した。
 「肝炎に感染していることで偏見差別を受けるなどいやな思いをしたことがある」と回答した者の頻度は、2012年調査と2021年調査では変化がみられなかったが、C型肝炎患者では14.2%から11.1%と有意に減少しており、回答者の特徴として、C型肝炎患者よりもB型肝炎患者で、男性よりも女性で、高齢者よりも若年者に多いという特徴がみられた。
 悩みとストレスの頻度は、50.5%から33.7%へと明らかに減少し、特にC型肝炎患者では50.9%から26.2%へと半減していた。その理由としては、C型肝炎患者のSVR率が、41.1%から91.4%へと増加していたことが考えられる。DAA治療の普及により、高率なウイルス排除が可能となり、このことがC型肝炎患者の悩みとストレスの軽減に大きく貢献したと考えられた。
4. 高校生等の若年層への啓発の教材として、学校生活の場においてB型肝炎の感染性や感染症への差別偏見の問題を扱いながら、適切な対処法を指導する内容の3分12秒の動画を作成し、Youtube上に公開した。
結論
1. 肝炎ウイルス感染者への偏見差別を防止する為の事例集、解説集を内容とするホームページにおいては、B型肝炎の感染性に関する内容についての検索が多く見られた。
2. 偏見・差別の地域差を考慮した上での公開シンポジウムおよび公開模擬授業においては、毎回40名近くの患者やその家族や市民や医療従事者が参加し、肝炎患者の偏見差別の問題についての問題提起、事例紹介、今後の課題などについて活発な意見交換をおこなった。
3. ウイルス性肝炎に対する治療の進歩を考慮した上での偏見差別や患者QOLに関した患者アンケート調査結果(2021年調査)および2012年に同様におこなった調査結果(2012年調査)と比較検討した。
 「肝炎に感染していることで偏見差別を受けるなどいやな思いをしたことがある」と回答した者の頻度は、C型肝炎患者では有意に減少しており、回答者の特徴として、C型肝炎患者よりもB型肝炎患者で、男性よりも女性で、高齢者よりも若年者に多いという特徴がみられた。
 悩みとストレスの頻度は明らかに減少し、特にC型肝炎患者では半減していた。その理由としては、C型肝炎患者のSVR率が増加していたことが考えられる。DAA治療の普及により、高率なウイルス排除が可能となり、このことがC型肝炎患者の悩みとストレスの軽減に大きく貢献したと考えられた。
4. 高校生等の若年層への啓発の教材として、学校生活の場においてB型肝炎の感染性や感染症への差別偏見の問題を扱いながら、適切な対処法を指導する内容の動画を作成し、Youtube上に公開した。

公開日・更新日

公開日
2024-03-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

文献情報

文献番号
202221005B
報告書区分
総合
研究課題名
ソーシャルメディア等を活用した肝炎ウイルス感染者の偏見差別の解消を目指した研究
課題番号
20HC2001
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 四柳 宏(東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野)
  • 磯田 広史(佐賀大学医学部附属病院 肝疾患センター)
  • 是永 匡紹(国立研究開発法人 国立国際医療研究センター 肝炎・免疫研究センター 肝炎情報センター)
  • 米澤 敦子(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 中島 康之(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 梁井 朱美(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 及川 綾子(特定非営利活動法人東京肝臓友の会)
  • 浅井 文和(特定非営利活動法人日本医学ジャーナリスト協会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 肝炎等克服政策研究
研究開始年度
令和2(2020)年度
研究終了予定年度
令和4(2022)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 肝炎対策基本指針において、肝炎についての正しい知識を普及し、これにより肝炎患者等に関わる者が肝炎患者に対して適切な対応を行うことができるようにすることが必要であるとされている。これまで政策研究で実施された肝炎患者に対する偏見や差別に関する調査において、その実態が纏められ示されているが、それらをどのように伝え、偏見や差別を解消するための方策につなげていくかについては十分な検討がなされていない。偏見や差別の解消のために、既存の方法に加え、ソーシャルメディア等を活用した方策の有効性を検討する。特に、肝炎患者と関わることが多い医療機関等においての啓発や、高校生等の若年層への啓発方法について検討を行う。
研究方法
1. 肝炎ウイルス感染者への偏見差別を防止する為の事例集、解説集を内容とするホームページ、ソーシャルメディアを作成して公開する。
2. 偏見・差別の地域差を考慮した上での公開シンポジウムを開催する。
3. ウイルス性肝炎に対する治療の進歩を考慮した上での偏見差別や患者QOLに関した患者調査をおこなう。
4. 高校生等の若年層への啓発の教材として動画を作成し、Youtube上に公開した。
結果と考察
1. 肝炎ウイルス感染者への偏見差別を防止する為の事例集、解説集を内容とするホームページ、ソーシャルメディアを公開した。2023年2月23日までに11162ユーザーがHPに閲覧アクセスした。B型肝炎の感染性に関する内容についての検索が多く見られた。
2. 偏見・差別の地域差を考慮した上での公開シンポジウムを、2022年3月に東京で、8月に名古屋市、12月に金沢市で開催し、公開模擬授業は2023年3月に東京で開催した。毎回40名近くの患者やその家族や市民や医療従事者が参加し、肝炎患者の偏見差別の問題についての問題提起、事例紹介、今後の課題などについて活発な意見交換をおこなった。
3. ウイルス性肝炎に対する治療の進歩を考慮した上での偏見差別や患者QOLに関した患者調査を41施設で実施した。2021年6月より5440名の肝疾患患者にアンケート用紙を配布し、2994名(54.1%)から回収できた(2021年調査)。2012年に同様におこなった調査(2012年調査)結果と2021年調査結果を比較検討した。
「肝炎に感染していることで偏見差別を受けるなどいやな思いをしたことがある」と回答した者の頻度は、2012年調査では変化がみられなかったが、C型肝炎患者では14.2%から11.1%と有意に減少していた。
悩みとストレスの頻度は、50.5%から33.7%へと明らかに減少し、特にC型肝炎患者では50.9%から26.2%へと半減していた。その理由としては、C型肝炎患者のSVR率が、41.1%から91.4%へと増加していたことが考えられる。DAA治療の普及により、高率なウイルス排除が可能となり、このことがC型肝炎患者の悩みとストレスの軽減に大きく貢献したと考えられた。
4. 高校生等の若年層への啓発の教材として、学校生活の場においてB型肝炎の感染性や感染症への差別偏見の問題を扱いながら、適切な対処法を指導する内容の3分12秒の動画を作成し、Youtube上に公開した。
結論
1. 肝炎ウイルス感染者への偏見差別を防止する為の事例集、解説集を内容とするホームページ、ソーシャルメディアを公開した。B型肝炎の感染性に関する内容についての検索が多く見られた。
2. 偏見・差別の地域差を考慮した上での公開シンポジウムおよび公開模擬授業においては、毎回40名近くの患者やその家族や市民や医療従事者が参加し、肝炎患者の偏見差別の問題についての問題提起、事例紹介、今後の課題などについて活発な意見交換をおこなった。
3. ウイルス性肝炎に対する治療の進歩を考慮した上での偏見差別や患者QOLに関した患者アンケート調査(2021年調査)結果および2012年に同様におこなった調査(2012年調査)結果と比較検討した。
「肝炎に感染していることで偏見差別を受けるなどいやな思いをしたことがある」と回答した者の頻度は、C型肝炎患者では有意に減少しており、回答者の特徴として、C型肝炎患者よりもB型肝炎患者で、男性よりも女性で、高齢者よりも若年者に多いという特徴がみられた。
悩みとストレスの頻度は明らかに減少し、特にC型肝炎患者では半減していた。その理由としては、C型肝炎患者のSVR率が増加していたことが考えられる。DAA治療の普及により、高率なウイルス排除が可能となり、このことがC型肝炎患者の悩みとストレスの軽減に大きく貢献したと考えられた。
4. 高校生等の若年層への啓発の教材として、学校生活の場においてB型肝炎の感染性や感染症への差別偏見の問題を扱いながら、適切な対処法を指導する内容の動画を作成し、Youtube上に公開した。

公開日・更新日

公開日
2024-03-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-03-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

行政効果報告

文献番号
202221005C

収支報告書

文献番号
202221005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
19,490,000円
(2)補助金確定額
19,490,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,271,842円
人件費・謝金 972,682円
旅費 3,240,428円
その他 12,397,927円
間接経費 1,609,000円
合計 19,491,879円

備考

備考
自己資金額1,879円

公開日・更新日

公開日
2024-04-05
更新日
-