HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究

文献情報

文献番号
202220027A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染症および血友病におけるチーム医療の構築と医療水準の向上を目指した研究
課題番号
21HB2003
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
渡邊 大(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 臨床研究センターエイズ先端医療研究部)
研究分担者(所属機関)
  • 四本 美保子(根岸 美保子)(東京医科大学 臨床検査医学分野)
  • 矢田 弘史(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター) 血友病科)
  • 野上 恵嗣(公立大学法人奈良県立医科大学 医学部小児科学講座)
  • 松本 剛史(三重大学医学部附属病院 輸血・細胞治療部)
  • 木村 宏之(名古屋大学医学部附属病院精神科)
  • 安尾 利彦(独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター 精神科・神経科)
  • 矢倉 裕輝(独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 薬剤部)
  • 東 政美(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 看護部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
28,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV感染者、血友病患者ともに治療環境の向上によりライフスタイルの変化や高齢化がみられ、包括的なチーム医療がより重要になってきている。このようにHIV感染症および血友病にはそれぞれの課題が残されており、ことに非加熱血液凝固因子製剤によるHIV感染血友病等患者の医療の質の改善に対しては、HIV感染症と血友病の両者の医療水準の向上が必要になってくる。本研究ではガイドライン・HIV診療のチーム医療・精神と心理・血友病・地域医療連携に6つの柱に注目して、チーム医療の構築と医療水準の向上を目指す。
研究方法
HIV感染症については4つの分担研究で、血友病については3つの分担研究で、HIV感染症+血友病については1つの分担研究を計画した。
結果と考察
それぞれの分担研究で研究体制の整備を完了させ、データ収集および解析を実施した。抗HIV療法のガイドラインに関する研究ではエビデンスに基づき、かつ日本の現状に即したHIV治療の指針作成を目指して、毎年度末までに抗HIV治療ガイドラインの改訂版を発行している。今年度も改訂委員全員ですべての原稿を見直し、最新情報を加えた。抗HIV治療ガイドラインの改訂版を2023年3月に発行した。広くガイドラインを活用してもらうために、スマートフォン・タブレット端末での閲覧に適したページを研究班ホームページ内に掲載し、閲覧利便性を充実させた。血友病患者の凝固機能及び血友病診療の包括的チーム医療に関する研究では、大阪医療センターに通院している先天性血友病A患者(125例)について検討した。血友病A患者の67%は関節症を有し、その多くは重症型患者であった。30歳以上の重症血友病A患者では90%以上に、足関節を中心にさまざまな関節に症状がみられた。定期補充療法開始後も、患者の活動に応じたレジメンおよびアドヒアランスの改善が必要であることが示唆された。血友病患者の包括的凝固機能による凝血学的特性解析研究およびFVIII (FIX) 遺伝子解析研究について、それぞれ倫理審査を経て実施承認を受け、データ収集を開始した。HIV領域のコンサルテーション・リエゾン精神医学診療体制の調査開発に関する研究では、HIV診療チームと精神医療チームの連携体制構築の困難要因を明確にするために、心理士のリクルート・半構造化面接を完了した。拠点病院勤務の心理士31名(HIV群)、総合病院勤務の心理士46名(GHP群)からデータを取得し、両群を比較した。健康関連QOLを測定するSF-36と健康と労働パフォーマンスに関するWHO-HPQの調査では両群に統計学的有意な差を認めなかった。詳細は次年度に解析予定である。抗HIV薬に関わる代謝酵素と薬物トランスポーターの遺伝子多型に関する研究では、同意を取得した174名から検体を採取し、遺伝子多型の測定を行った。ビクテグラビルを内服中の39例では、OCT2 808G>T多型を保有した症例でビクテグラビル内服後の血清クレアチン上昇が統計学的有意に高かった(p=0.03)。抗HIV薬のQ&A集については、今年度に承認・販売が開始された持効性水懸筋注製剤を中心に改訂を行った。地域医療連携に関する研究では、HIV陽性者に対して、療養生活における心理社会的な相談、地域医療機関受診の際の受診調整を中心に支援を実施した。HIV感染血友病患者には、定期的な血友病整形外科での関節評価や外来リハビリテーション、循環器疾患の評価として血圧脈波検査を実施した。HIV陽性に関する出前研修は訪問看護ステーション1件と障害者支援センター1件を対象に実施した。地域支援者への情報資材として、「在宅医療を支えるみんなに知ってほしいこと」の改訂を行った。
結論
初年度で研究体制の整備を行い、本年度(2年度)はデータ収集および解析を開始した。最終年度に解析終了させ、ガイドライン・抗HIV療法とチーム医療・精神心理・血友病・地域医療連携の各分野の融合を行うとともに、チーム医療の構築や向上を目指す。

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表
倫理審査等報告書の写し

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202220027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
37,000,000円
(2)補助金確定額
37,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 21,105,793円
人件費・謝金 1,584,775円
旅費 44,440円
その他 5,770,723円
間接経費 8,500,000円
合計 37,005,731円

備考

備考
自己資金5731円

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-