血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植を含めた外科治療に関する研究

文献情報

文献番号
202220026A
報告書区分
総括
研究課題名
血液製剤によるHIV/HCV重複感染患者に対する肝移植を含めた外科治療に関する研究
課題番号
21HB2002
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
江口 晋(国立大学法人 長崎大学 大学院医歯薬学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 江川 裕人(東京女子医科大学 消化器外科)
  • 江口 英利(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 上平 朝子(独立行政法人国立病院機構大阪医療センター 免疫感染症科)
  • 遠藤 知之(北海道大学病院)
  • 玄田 拓哉(順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科)
  • 嶋村 剛(北海道大学病院 臓器移植医療部)
  • 高槻 光寿(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター)
  • 長谷川 潔(東京大学大学院医学系研究科 臓器病態外科学 肝胆膵外科)
  • 長谷川 康(慶應義塾大学 医学部)
  • 中尾 一彦(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 展開医療科学講座 消化器病態制御学分野)
  • 原 哲也(長崎大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系))
  • 八橋 弘(独立行政法人国立病院機構長崎医療センター)
  • 四柳 宏(東京大学 医科学研究所 先端医療研究センター感染症分野)
  • 日髙 匡章(島根大学 医学部 消化器・総合外科)
  • 上村 悠(国立国際医療研究センター ACC)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和3(2021)年度
研究終了予定年度
令和5(2023)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
HIV/HCV重複感染者(以下重複感染者)は近年HIVによる関連死は激減、HCVによる肝疾患死が問題となっていた。患者は徐々に高齢化しており、様々な悪性腫瘍を発症している。背景として血友病が存在するため、標準的な治療を受けられていない可能性がある。我々が行った全国調査(血友病患者に対する肝胆膵外科手術)では、肝切除に関して切除範囲が狭められ、積極的な治療が控えられている可能性が示唆された。各ブロック拠点病院と連携、当該患者における悪性腫瘍に対して適切な治療が行われるよう情報提供を行っていく。コロナ禍で重複感染者は受診の頻度が低下、各ブロック拠点病院と連携、オンライン診療、面接の推進を図り肝不全へ陥る前に肝移植適応を診断、適切に対処していく。肝移植の適応基準と周術期の最適・最新プロトコルを確立、ACC救済医療室と連携し患者情報を共有し、適切なタイミングでの移植医療の提示を行うことを大きな目的とする。また血友病合併の重複感染者に対する適切な外科治療の提供と治療ハンドブック作成は薬害患者救命のために急務であり、独創性も極めて高い。周術期のリハビリについても言及する。
研究方法
①重複感染者(血友病)における悪性腫瘍等に対する外科治療ガイド作成
② HIV/HCV重複感染者における肝移植周術期プロトコルの改訂
③ HIV/HCV重複感染者における肝細胞癌(HCC)対する肝移植(脳死、生体)の検討
④ エイズ診療拠点病院との連携(オンライン診察、面談の施行・実証研究)
⑤ 肝移植適応基準の検証・改訂
⑥ 重複感染者の肝機能検査データの蓄積と解析
⑦ HCVに対するDAA治療後の肝機能変化、悪性腫瘍の発生頻度について研究を施行している.
結果と考察
現在、血液製剤によるHIV/HCV重複感染者の脳死肝移植登録基準や周術期管理を確立し、肝移植適応のある患者さんに対して、速やかに脳死登録を行い、脳死肝移植を実行でき、良好な経過を得た。今後、現行の肝移植適応症例をなるべく多く拾い上げ、薬害被害者の救済を継続していく。班研究の進捗を社会に発信していくことを今後も継続していく。 下記に現在の項目別実施経過を記す。
① 重複感染者(血友病)における悪性腫瘍等に対する外科治療ハンドブック作成(令4⁻5年) 令和5年:肝細胞癌の全国調査、血友病症例に対する肝胆膵外科手術全国調査のまとめから、外科診療ガイド作成へ向けて、班員と協力し、文献などの資料を調査する。診療ガイドを完成させる。
② HIV/HCV重複感染者における肝移植周術期プロトコルの改訂(令和3-5年) 令和5年:脳死肝移植ドナーのオファーがあれば、プロトコルに則って重複感染患者の脳死肝移植を遂行する。
③ HIV/HCV重複感染者における肝細胞癌(HCC)対する肝移植(脳死、生体)の検討(令和3-5年)令和5年:重複感染患者における肝細胞癌症例の検討から、外科治療ハンドブック作成の資料とする。
④ エイズ診療拠点病院との連携(オンライン診察、面談の施行・実証研究) 令和5年:拠点病院からの相談を受け、オンライン面談、診察を行う。ACC、拠点病院からの患者紹介、オンライン面談、診察から肝移植登録への速やかな移行を行う
⑤ 肝移植適応基準の検証・改訂 令和5年:拠点病院や脳死肝移植施設へ情報のフィードバックを行い、肝移植が必要な患者さんへ情報提供を行っていく。
⑥ 重複感染者の肝機能検査データの蓄積と解析 令和3年:FIB4アプリを導入、全国ブロック拠点病院へ周知、重複感染患者がアクセス、自分で肝硬度を測定し、高値であれば、かかりつけ医へ相談することを促した。令和5年:DAA後の肝機能変化、肝発癌調査を解析し、公表予定である
結論
今後も各研究項目についてデータ収集、解析を行い、発表、報告を行っていく。班研究の進捗を社会に発信していくことを今後も継続していく。
HIVは長期的治療疾患であり、四栁班、藤谷班との連携を十分に行い、肝不全の予防、啓発活動、血友病に対する外科治療の標準化を追求していく。またCOVID-19感染拡大の現状でも救済が必要な方を的確に拾い上げ、必要な治療を行っていくことを継続した。

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

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公開日・更新日

公開日
2024-04-02
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文献番号
202220026Z