HIV感染者を含む血友病患者の高齢化に伴う新たな合併症に関する研究

文献情報

文献番号
202220021A
報告書区分
総括
研究課題名
HIV感染者を含む血友病患者の高齢化に伴う新たな合併症に関する研究
課題番号
22HB1004
研究年度
令和4(2022)年度
研究代表者(所属機関)
木内 英(東京医科大学 臨床検査医学分野)
研究分担者(所属機関)
  • 竹谷 英之(東京大学医科学研究所 附属病院 関節外科)
  • 藤井 輝久(広島大学 病院輸血部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 エイズ対策政策研究
研究開始年度
令和4(2022)年度
研究終了予定年度
令和6(2024)年度
研究費
8,117,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
近年、薬害血友病における多くの課題が解決された結果、患者の高齢化が進行し、新たな合併症が増えている。血友病患者は長年運動を控えてきた人が多く、高血圧・高脂血症・糖尿病などのハイリスク集団である一方、止血治療の進歩の結果、心筋梗塞・脳梗塞などの血栓性障害が散見されている。また、フレイルの進行・筋力低下に伴い、関節症が進行する患者が増え、骨密度低下・骨折リスクも懸念される。本研究では高齢化に伴う新たな合併症に関する疫学データの構築とリスク因子の解明を目的とする。

研究方法
本研究では血友病患者の①心血管障害、②関節症悪化、③骨密度低下に関する分担研究を行う。分担1では、冠動脈・脳血管系の有病率・血栓リスクにつき前向き多施設共同研究を行う。30歳以上の血友病200人を対象に、血友病関連情報、合併症、HIV/HCV感染などを収集し、頭部MRI、冠動脈CT、脈波検査、血管炎症マーカー検査を実施する。分担2では多施設前向き観察研究にて、40歳以上の血友病成人患者を対象に①患者背景、②血友病治療状況。③併存症、④関節状態、⑤身体機能、⑥筋肉量等の体組成、⑦過去のスポーツ参加状況、⑧現在のスポーツ状況、⑨日常生活状況を調査する。分担3では前向き多施設研究にて①骨塩定量:腰椎側面と大腿骨頸部、②骨代謝マーカー、を測定し、アンケートにて関連情報を収集する。
結果と考察
分担1では研究代表者施設のパイロット研究にて44例(血友病A 38例、血友病B 6例)の調査を行った。年齢の中央値は53歳、HIV感染 11例 (25%)であった。冠動脈カルシウムスコアCACS 100点未満38例と100点以上6例を比較したところ、糖尿病が3/38 (7.8%)に対し4/6例(66.7%)と有意に多く(P=0.003)、HIV感染症は8/38 (21%)に対し3/6 (50%)であった(p=0.154)。分担2では研究分担者施設での倫理承認を取得、年度内には協力施設での承認も得られる見込みである。分担3でも研究分担者施設での倫理承認取得、現在33例中5例で骨粗鬆症が判明した。
パイロット研究では冠動脈カルシウムスコアは一般人口よりやや良好で、HIV感染より糖尿病が強く関連していた。今後多施設研究で製剤使用量との関連も調査する。平成28年アンケート調査では血友病患者の身体活動量は厚労省推奨レベルを下回っていた。患者の身体機能向上のために、活動量別の最適な止血治療を抽出する必要がある。血友病では関節症による運動機能低下のため骨粗鬆症の有病率が高いと予想される。
結論
血友病患者に心血管障害は無症状のことが多く、介入的検査による心血管疾患の有病率とリスク因子の解明が必要である。関節症悪化について加齢による運動機能低下のと止血治療との関連について調査する。血友病では骨粗鬆症有病率が高い可能性があり、今後リスク因子の抽出が必要である。

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

収支報告書

文献番号
202220021Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
10,551,000円
(2)補助金確定額
10,551,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,910,040円
人件費・謝金 3,580,592円
旅費 0円
その他 1,636,483円
間接経費 2,434,000円
合計 10,561,115円

備考

備考
支出合計超過分10,115円は自己資金より支弁した。

公開日・更新日

公開日
2024-04-02
更新日
-